あわむら赤光語りつくす!『聖剣使いの禁呪詠唱』全22巻・著者セルフレビュー(その3)

 

『聖剣使いの禁呪詠唱』完結記念、あわむら赤光先生ご自身が語りつくす全巻セルフレビュー企画の最終回!

 

◆1~7巻のセルフレビューはこちら

◆8~14巻のセルフレビューはこちら

 

15巻
2016年2月刊行
同時刊行:ラスボスちゃんとの終末的な恋愛事情、ゴブリンスレイヤー

 

石動が「逸脱」しはじめる15巻

 

――いよいよこの企画も最終回ですね。では15巻の見所から。

 

サツキと春鹿のがんばり、そして試合で石動を倒した瞬間、明暗分かれる二人、がまず一つの見どころで、その辺りrefeia先生がカバーイラストと一枚めくったところにある口絵イラストで印象的に仕上げてくださってます。さすが! 一方、その石動も挫折の果てに一つの境地にたどり着くというか、一歩だけ踏み込むんですが、その瞬間もrefeia先生の素晴らしいイラストと合わせて、印象深いシーンになったのではないかと。

 

――この巻から石動にも大きな変化がありましたね。

 

賢明なる読者さん諸氏にはきっと、石動が原作者に贔屓されてるキャラだとお気づきのことかと思います。それでも見て見ぬふりして「石動好き」って言ってくださる読者さんのことが僕は大好きです! で、そんな石動がこの巻ではヂーシンと密通したり、新たな力を得たりと、いろいろ動き回るんですが、その辺りの裏話は最終22巻のあとがきの方で触れております。ここで言っちゃうと最終巻のネタバレになるんで言えないんですゴメンナサイ。決して決して最終巻買ってね! っていう商売のためじゃないんです。

 

――他にもこの巻ならではの裏話などありますか?

 

この15巻は第3弾のドラマCD付の特装版も出ました。で、第2弾の時に、アフレコに絶対に連れていってもらうため、命を削って優良作家になったって言ったじゃないですか? でもその後、僕は気づいたんですよ。

 

――気づいた、とは?

 

たとえ締切がヤバくても、担当さんを泣き落とせばいいじゃない、と。

 

――………………?

 

早く書き上げるためには、むしろ不良作家であるべきなのではないか?と。

 

――………………????

 

そんで「アフレコに行って英気を養わないと原稿が落ちてしまう」とまいぞーさんを脅迫し、原稿のゴールがぜんぜん見えないけどアフレコ行ってきました! 

 

――聞きたくなかった裏話だなー!

 

アフレコ最高でした! 自分で書いた脚本をキャストの皆様に読んでいただくのがうれしいか恥ずかしいかは作家によって個人差があるみたいなのですが、僕はうれしさしかなかったです。ワルブレはキャストさんに本当に恵まれた作品でした。その後でまいぞーさんに鬼のようにスケジュールを締め上げられたんですが、何も後悔はありませんでした。


20160610warubure_shoei

16巻
2016年6月刊行
同時刊行:最強喰いのダークヒーロー、29とJK

 

怒濤のあわむら赤光5ヶ月連続刊行、開始

 

――続いて16巻の見所を。

 

海! 水着! 合宿! 裏切り! な16巻です。

 

――最後なんかちょっとおかしいですね。

 

あと見開きカラーイラストの、レーシャの魔剣レプラザン覚醒は最高にかっこいいです。そもそもこの覚醒アイデアは、refeia先生がデザインしてくださったレプラザンを初めて拝見した時に、「この二又? になってる刀身かっけえ!」て興奮しつつ、その隙間に光が宿ったらさらにかっこいいんじゃないかと思ったのが元となってます。
他にも静乃の杖とか、refeia先生デザイン発のアイデアはたくさん作中に盛り込まれてます。僕が「黒魔は武器使わないんで、静乃には何も持たせなくていいです!」って言った時、refeia先生が「まあメインキャラだし、何か持たせておきますよ」って仰ってくれなかったら、ワルブレシリーズでもはや定番になってるゴーレムって要素はなかったかもです。

 

――そ、そういえばこの巻にも美味しそうな料理シーンが出てきますが……

 

ジョージア料理を取材しようとわざわざジョージア料理店さんを探して

 

――突撃したら、とても美味しかったんですよね!?

 

はい、とても美味しかったです!!

 

正義のためには戦わない諸葉

 

ワルブレシリーズでは正義、正義って頻繁に口にするキャラとしないキャラとで、意図的にわけてます。本人の善悪には関係なく。諸葉はストライカーズの号令を除けば、滅多に口にしないキャラです。なぜかといえば、二度の前世で「正義のために」戦い抜いた結果、あまりに強すぎる彼は世界の敵になってしまったからです。だから諸葉はもう懲り懲りというか、「正義のため」には戦わず、自分の信念にのみ沿って戦ってます。諸葉は善性の人ではありますが、正義の人では決してないです。シリーズを通してずっと描いてるんですが、その最たるものがこの16巻かな、と。諸葉の決め台詞は「俺は――俺から奪っていく奴を、絶対に許さない」なんです。


2016年7月 我が驍勇にふるえよ天地刊行


 

20160729warubure_shoei17巻
2016年8月刊行
同時刊行:S級御曹司たちがゆく異世界契約支配者生活《ルーラーズ・ライフ》

 

短編集もついに第3弾

 

――シリーズ22冊のうちの3度めの短編集ですね。見所からお願いします。

 

今回はヒロインズとのラブコメ話は控えめで、異色な短編を集めました。エドワードやシャルルで一本書けたのは、特に楽しかったですね! あと「GA文庫マガジン」に寄稿したまま宙ぶらりんだった、AJサンと諸葉の旅話は個人的にお気に入りでしたので、書籍化できてよかったです。

 

――この頃、あわむら先生は多忙を極めておりました。5ヶ月連続刊行チャレンジという大変なスケジュール!

 

この前の16巻から次の18巻まで、新スタートした僕のもう一つのシリーズ「我が驍勇にふるえよ天地」を間に挟みつつ、「あわむら赤光 五か月連続刊行!」みたいに宣伝したんですよね。で、読者さんよりむしろ、知り合いの作家さんたちに「がんばりすぎじゃない?」って反響あったんです。

 

――同業者さんだからこそ驚かれるわけですね。

 

でも、実はこの17巻は過去に寄稿した短編を集めたものだったので、「5冊出すとは言ったが、5冊書くとは言ってないんです……」と白状するのがちょっと恥ずかしかったです。

 


2016年9月 我が驍勇にふるえよ天地2


20160929warubure_shoei18巻
2016年10月刊行
同時刊行:アキハバラ∧デンパトウ、百億の金貨と転生者

 

満を持しての『静乃の前世編』

 

――18巻といえば、見所は決まっていますね。

 

はい。シリーズ構想時からずっとずっと書きたかった、でもありがたいことにシリーズが長期化してまだ語ることができなかった、「静乃の前世話」回です。ずっと意図的に伏せてきた、前世の静乃の名前が明かされるのもこの18巻となります。

 

――読者さんの反響も一際大きかった印象です。執筆当時はどんなお気持ちだったのでしょうか?

 

毎日「静乃可愛い」「サツキごめん」って言って書いてました。

 

――(笑)

 

他にもイベント目白押しの巻で、丈弦が大金星を挙げるシーンなんかもお気に入りです。才能に欠片も恵まれなかった彼が、六翼会議の一翼を倒す説得力のために、この18巻まで丁寧に積んできた描写が集約されたシーンです。

 

――個人的には、レナードと諸葉の決着はシリーズ屈指のバトル描写だと思っています。

 

ありがとうございます。実は“閃剣”レナードは、1巻を読んでくれた同期の逢空万太さんが「こんなキャラどうよ?」って提案してくれて、僕が「いただき」ってもらったアイデアをさらにふくらませて肉付けしたキャラなんです。

 

――おお、そうだったんですね!

 

だから愛着もすごくて、大切にしようって思ってたんです。

 

――出番が遅かったわりに、活躍も多い敵キャラだったのにはそんなわけがあったんですね。

 

はい。さらには諸葉とのあの決戦シーンは初めから頭の中にありました。そこに至るまでの『積み』という意味でも、ずっと意識して出番の多い敵役にしていました。

 


19巻
2017年2月刊行
同時刊行:たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語、ぜったい転職したいんです!!

 

クライマックス、開幕

 

――「最後の戦いの始まり」の巻ですね。

 

ここから最終巻まで、たった1日間の激戦を描いたお話になってます。だから通常「エピローグ」とするところを「ノット エピローグ」にしてます。まだこのエピソードは終わってませんという意味を込めて。

 

――この辺りは、ワルブレのクライマックスおさらい記事に詳しく書いてあります。

 

◆関連記事

完結直前! 5分で分かる聖剣使いの禁呪詠唱・最終巻予習編

 

――また、この巻からサツキがシリーズ最大級のキーパーソンになっていきますね。

 

毎日「サツキ可愛い」「静乃ごめん」って言って書いてました。

 

――18巻と逆なんですね(笑)

 

あと、この巻からいわゆるボスラッシュも始まります。19巻は貝利仙女との決着回です。

 

――純粋な戦闘力の比べあいで諸葉があれほど追い詰められるのは珍しいですよね。シリーズでも名試合の一つに数えられる激戦でした。

 

貝利仙女は僕がポロっと思いついてポロっと登場させた後出しのキャラなのはすでにお話しましたよね。そういうと「おまえ、その場の思いつきでモノ書いてんのかよ!」と批判されそうですが、諸葉の新たな一面(馬迭戈に「殺し合いなら諸葉とは絶対に絶対に戦わない」といわせるほどの強い殺意)を引き出すことができたのもこのキャラのおかげとも言えるので、結果的にはグッドアイデアだったと思っています。


20巻
2017年6月刊行
同時刊行:元勇者、印税生活はじめました。、進め!たかめ少女 高雄ソライロデイズ。

別視点から語られるワルブレ

 

――それでは20巻の見所を。これは異色の一冊でしたね。

 

主人公でもないのにロング過去回想をやる男、熾場亮のその学生時代のお話です。同時に田中先生の正体や、真のラスボス駿河安東の遠大な計画が明かされる巻でもあります。

 

――第1巻のセルフリメイク的なストーリーでもありますよね。

 

熾場の学生時代のエピソードは、諸葉と対比的に作ってあって、常に1巻を手元に置いて参照しながら書いてたんですが、この似て非なるお話を書くのが意外と面白くて仕方ありませんでした。決して手抜きじゃないヨ。あと、熾場や万里の代の年表を緻密に作ってなかったんで、特にまーやがどの時期に何をしていいのか、矛盾が起きないかなど、情報のサルベージに苦労したのも今ではいい思い出です。

 

――初校と決定稿で印象ががらっと違う話になりました。

 

この巻は「現代軸での諸葉VS熾場」「過去軸での熾場の学生時代」という二つの軸が、交互に語られる構造となっております。で、初稿の時には「現代軸は諸葉視点」「過去軸は熾場視点」という風に僕は書いてました。

 

――でもそれだと、章ごとのつながりが悪いし、なんの話か分かりにくかったんですよね。

 

それでまいぞーさんが「いっそ一冊通して熾場視点の方が盛り上がるでしょ」と言ってくれたんです。僕は「熾場視点統一でいいの?」「主人公でもないのに、そんなの書いちゃっていいの?」と大興奮でした。遠慮することをやめ、主人公でもないのに熾場亮のお話を一冊書いちゃいました。

 

――結果的に、熾場の目を通して語られつつも、きちんと灰村諸葉の「主人公たるゆえん」が伝わる物語としてあわむら先生は仕上げてくださいました。

 

知り合いの作家さん方からも大好評でした。ただ、中にはやっぱり「あくまで諸葉たちの話が読みたいんだよなあ」って方もいらっしゃいますよね。ここ一冊だけ、長編ならではのイレギュラー巻ってことでご勘弁ください……。

 


21巻
2017年10月刊行
同時刊行:魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが幸せになってはダメらしい。、魔法使いにはさせませんよ!

 

書きたかったものをもう我慢しない21巻

 

――ラストが近づいてきました。続いて21巻です。

 

最終巻一つ前の巻という全編バトル回再びなのですが、中でも特に諸葉と田中先生の戦いは、これもシリーズ構想時点からずっと温めていたシーンです。才能なんて微塵もないはずなのに、諸葉をしてランクSの誰よりも怖いと言わしめた男の戦いぶりにご注目いただければ。

 

――諸葉の叔母・エリカさんの正体もこの巻でついに判明しますね。

 

はい。18巻辺りからじっくりとシリーズのまとめに入って、途中でふくらんだアイデアというよりは、構想時からあった結末周辺のアイデア、書きたいのをがまんして五年くらい温めていたアイデアを、次から次へと書いていって、これはもう本当に楽しかったです。

 

――長期シリーズが結末にむかう時ならではの感覚ということですね?

 

僕の前作の「あるいは現在進行形の黒歴史」も全10巻とかなりの長編シリーズなんですけど、やっぱりコメディなんで、そこまで先の先を考えるというよりは、ライブ感重視で書いてたんで。

 

――そういう意味では、21冊めにして初めての経験ということでしょうか。

 

シリーズのために用意していたアイデアを残さず使って書くというのは、このワルブレで初めての経験をさせてもらいました。

 

そして、最終巻へ

22巻
2018年6月刊行
同時刊行:百神百年大戦

 

――そしてそして、いよいよ22巻! 

 

はい、最終巻です。大変に読者さんをお待たせしてしまった巻でもあります。申し訳ありません。そのあとがきでも詳しく書いてますが、とにかく僕が「有終の美を飾りたい!」という想いばかりが空回りして、シリーズ最大の難産となってしまいました。しかし苦労した分だけ、素晴らしい最終巻を書き上げることができたと信じております。最高のラストバトルと、最高の大団円を、あわむら史上最厚のページ数でお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします!! ここまでご清聴、ありがとうございました。


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