あわむら赤光さらに語る!『聖剣使いの禁呪詠唱』全22巻・著者セルフレビュー(その2)

 

さてさて、『聖剣使いの禁呪詠唱』完結記念と称してあわむら赤光先生にご自身の視点からシリーズをふりかえるセルフレビュー企画の続編です!

 

◆1~7巻のセルフレビューはこちら

 

今回は8巻からスタートして、14巻までのインタビューをまとめました。ご覧ください。

 


8巻
2014年8月刊行
同時刊行:ファタモルガーナの館、未来/珈琲 彼女の恋。

 

シリーズ初の短編集はラブコメ特化

 

――さて、引き続き8巻から。こちらの見所を教えてください。

 

ワルブレ初の短編集です。全編イチャイチャだらけですので、サツキ、静乃、レーシャ、まーや、春鹿それぞれのラブコメ回を楽しんでいただければ。

 

――文庫書き下ろし短編ばかりではなく、再録のエピソードを含みますね。7巻より過去の時点のお話を扱っているので、不自然にならない工夫もなされています。

 

「GA文庫マガジン」に寄稿した短編を再録したものがメインです。とはいえ、短編の作業は本編と別スケジュールで進みますので、締切にあっぷあっぷした記憶ばっか残ってます。

 

――再録といえば、モモ先輩がメインの短編はかわった出自の作品でしたね。

 

春鹿の短編だけは1巻刊行前に書いて、試読用としてWEB掲載したものです(正確には加筆修正版)。本編で本格的に登場するのは3巻からと遅い彼女ですが、しっかり最初からヒロインしてたんだぜー、思い入れあるキャラなんだぜー、という気持ちを込めて加筆修正しました。次の9巻では春鹿が表紙になるのは決まっておりましたので、ここでやはり短編集をやって春鹿短編再録するしかないって、まいぞーさんと話し合いましたね。


9巻
2014年11月刊行
同時刊行:魔王子グレイの勇者生活(チートライフ)、天壌穿つ神魔の剣

 

実現、男祭り!

 

――続いては9巻です。こちらの見所といえば?

 

あの強敵だったエドワード、シャルルが仲間として共闘する! シリーズでも屈指の見どころだと自負しております。見開きの扉挿絵でもrefeia先生に諸葉&エド&シャルルの男祭りを描いていただいたのが、いい思い出です。

 

――シャルルの男ツンデレぶりが可愛くて、初稿を拝読した一番の感想が「シャルルがメインヒロインになってるんですけど!?」だったことを思い出しました。

 

まいぞーさん、そんなこと言ってましたね。それから田中先生にフランス支部のブレーズという、いぶし銀二人に縁の下を支えられて諸葉が戦うシーンは、書いててとても楽しかったです。今になって思い返すと、諸葉がヒロインズやストライカーズ以外を引きつれて戦うシーンって珍しいかも? 第一次白騎士機関総力戦ともいえる9巻だからこそ書けたお話ですね。

 

――諸葉より強いキャラが現れたのも初めてですね。

 

はい、馬迭戈さん登場巻でもあります。ある意味、諸葉をボコボコにできちゃう彼の存在と特訓シーンは、果たして読者さんに受け入れられるのかと、実は、正直、恐かったりしたんですが、「ラノベ読者さんはそんなネットで言われてるほど狭量ではないはずだ!」と信じて世に送り出しました。次の10巻で売上が下がったらどうしようかと布団の中で震えてましたが、逆に上がったので出てきました。

 

 


 

10巻
2015年1月刊行
同時刊行:ジンクスゲーム、異世界ラ皇の探求者

 

大台の10巻突入&アニメ放送開始

 

――いよいよ二桁の巻数に突入です。見所は?

 

「万里校長が生徒本位の学校作りをした理由」も含めれば、1巻からずっと伏線を張られ続け、7巻で意味深に登場した熾場亮と、ついに激突するのがこの10巻です。

 

――シリーズを開始する時に、10巻くらいまでは続けたいですね、と話しあっていたのが良い思い出です。実際には倍以上の22巻まで続くのですが。

 

この巻はワルブレアニメの放映時期と合わせて上梓しました。なので表紙はrefeia先生に「ワルブレシリーズを象徴するイラストを」というふんわりした要望で丸投げしました。

 

――いやー、ひどい話ですよね。

 

いや、なんで他人事なんですか(笑) しかも最終巻でももう一度、そのふんわりした要望を丸投げしてしまいましたよね。

 

――ひどい話ですよね。

 

実際に仕上がったイラストはさすがの一言でした。アニメスタートのタイミングにふさわしい、堂々としたワルブレメインキャラ3人の姿が見事に描かれています。同じくふんわりした発注から最終巻を飾るにふさわしい完璧なイラストになった22巻と、この10巻表紙とを見比べていただけると面白いかと!

 

原作とアニメで結末が違うキャラ

 

10巻ではお話したいことがいっぱいありますがもうひとつだけ。この巻で活躍する熾場亮は諸葉と対比的な人物として構想を練りました。で、実はもう一人、諸葉と対比的に構想して描いたキャラクターがいます。1巻で登場し、この10巻で退場する石動の弟・巌です。僕はこの厳を勝手に「ワルブレ三大ゲスキャラ」の一人として認定しております。僕はゲスキャラを書くのも読むのも大好きですので、こいつもすごく愛したキャラの一人です。でも、その末路はどうしようかとけっこう悩みました。で、ワルブレアニメと原作では、巌の結末が違うのはご存知でしょうか? アニメの巌が最後、清々しいまでに叫ぶあのシーンは、まさに稲垣監督のお人柄のよさがありありと表れた結果だと思うんですよね。僕は脚本や絵コンテ段階でそれを拝見しまして、おかげで踏ん切りがつきました。僕はやっぱりゲスキャラにはゲスの美学を貫いて欲しいなと! なので最後まで巌は、どうしようもない奴として描ききったんですが、改心して欲しかった勢の皆さん、ゴメンナサイ……!

 

 


 

 

11巻
2015年2月刊行
同時刊行:路地裏バトルプリンセス、電想神界ラグナロク、勇者が魔王を倒してくれない

 

海外エピソード第2弾、アメリカ支部編

 

――10巻から間を置かず翌月に刊行された11巻について教えてください。

 

諸葉、アメリカに行く――の回です。外国に行くのは5巻のロシアに続いて二度目です。アメリカ支部の面々がアットホームなキャラなので、今回は殺伐とした雰囲気にはなってません。……なってませんよね?

 

――海外編ということで、何か気をつけて書かれたことはありますか?

 

チェコ料理を取材しようとわざわざチェコ料理店さんを探して突撃したんですが、とても美味しかったです!!

 

――あれ、ロシア編でも同じこと言ってませんでしたっけ?

 

それはそうと、6巻でもやってたんですがこの11巻でも、ドラマCD付の特装版が出ました。6巻の第1弾の時、てっきりアフレコには必ず呼んでもらえると思って、ドキドキしながら原稿サボってナルガクルガ狩ってたんですが、そんな不良作家はアフレコに呼んでもらえず、収録はとっくに終わっていたという悲しい事件がありました。

 

――あ、これ一生恨まれるやつですね……。お招きせず申し訳ございませんでした。

 

なので僕は優良作家に生まれ変わるため、この時期は死ぬ気で締切守りました。9巻が11月発売、アニメ化合わせで10巻が翌年1月発売、11巻が2月発売と、なんと4か月で3冊書くという異次元締切だったのに途中で気づいたんですが。

 

――いま考えるとかなりおかしいスケジュールですね……。

 

だからなんで他人事なんですか(笑) ともあれ、アフレコに立ち合いたいという執念のおかげでまいぞーさんが組んだ殺人的スケジュールを成し遂げることができました。今後全ての著作にドラマCD付けてくれたら、僕は永遠に優良進行できるんじゃないっすかね?

 


 

12巻
2015年6月刊行
同時刊行:ギルティ・アームズ

 

諸葉不在の物語再び。だが――

 

――続いて12巻の見所は。

 

諸葉不在の亜鐘学園に、恐るべき六翼会議の背教者たちが襲い来る、ピンチに次ぐピンチの12巻です。ラブコメ要素がほとんどなく、ずっとバトルしてる巻です。ワルブレシリーズでもここまで徹底してるのは珍しかったり。そして、ついに駆けつけた諸葉のシーンはrefeia先生のかっこよすぎるイラストも合わせて、バシィィッと決まった一幕だと思っております。

 

――この巻もほぼ諸葉不在のお話でしたね。

 

はい。諸葉がアメリカに行っている間の学園を舞台にずっとピンチが続くわけで、7巻の悪夢再びというか、これプロット的に大丈夫? という疑心暗鬼はあったんです。ところが、いざ書いてみれば杞憂でした。やっぱりサツキを代表に、逆境におけるメンタルが清々しい連中が多いおかげで、ピンチはピンチなんだけど、読み手にストレスよりも応援したくなる気持ちを抱いてもらえる、そういうお話が書けた手応えがありました。

 

アニメと影響しあった展開も

 

実は諸葉がアメリカから帰ってくる手段として、当初はまーやが万里の《移ろいの門》を引き継いで、完成させるという展開を構想していました。

 

――あれ? でもそれって……

 

はい。これ、アニメの脚本会議でアイデアを求められて、先にそちらで使っちゃったんです。なので原作で後から同じことしてもしょうがないから変化をつけようと考えました。むしろアニメをご覧になった読者さんが「アニメ通りに上手くいくんでしょ……あれ、そうじゃないの!?」と、ハラハラしてくれるんじゃないかとイタズラ心がわきまして。原作ではアニメとは逆に、まーやが失敗するという展開にしてみました。もちろん、まーやはただ可哀想な少女で終わらずに、後の巻でしっかりリベンジを決めるという構想の下で12巻を書いてます。

 


 

13巻

2015年8月刊行
同時刊行:幻葬神話のドレッドノート、仮面魔女の解放戦記《レジスタンス》、教導覇帝の完戦常勝譚〈パーフェクトヴィクトリア〉

 

シリーズ史上最高に××なお話たち

 

――13巻は短編集第2弾ですね。

 

短編集第1弾(8巻)同様、各ヒロインズとのイチャイチャを堪能していただければと。それから12巻が殺伐バトル回でしたので、ここで短編集やるしかない! とまいぞーさんと話し合った記憶があります。シリーズ史上最高に頭が悪くてえっちな話ばっかりになったのは計算外です。計算外ですよ。

 

学年が上がるかどうかはこうして決まった

 

シリーズ構想を練るに当たって、諸葉たちが進級するか否かは決めかねて、けっこう後回しにしてました。

 

――そういえば決めていませんでしたね。実際には諸葉たちは進級して学年が上がっていきます。

 

二十冊以上かけて作中一年終わらないシリーズがあってもいいじゃない。という冗談はさておき、決めかねた理由は石動迅という美味しいキャラが卒業しちゃうと、諸葉たちとのからみが少なくなってしまうからです。しかしある日、「石動が校長になっちゃえばいいじゃない」というアイデアが降ってきまして、それが決め手になりました。

 

――石動が校長になることが決め手? 詳しく聞かせてください。

 

「石動が校長になる」「じゃあ万里さんどうすんの?」「あ、六翼会議にさらわれればいいんだ!」「敵も《移ろいの門》使ってきたらエゲツなくていいじゃん!」とアイデアが次々と連鎖していって。

 

――あー! そういうお考えがあったんですね……。初めて聞きました。

 

そうなんです。こうして、晴れて諸葉たちは進級できることになりました。

 


 

14巻
2015年10月刊行
同時刊行:出番ですよ!カグヤさま、超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!

 

見所もりだくさんの14巻

 

――14巻の見所もお聞かせください。

 

灰村さんちの里帰りに続く、静乃さんちのお宅訪問! さらに、まーやが12巻のリベンジかますところや、なんといってもシャルルVS熾場ですね!

 

――この巻ではシャルルが諸葉に高級中華をふるまうお話がありますね。

 

中華街を取材しようと横浜行って中華料理店さんをいろいろ回ったんですが、とても美味しかったです!!

 

――またそれですか!

 

美味しかったです!

 

――他にも14巻の秘蔵エピソードなどはありますか?

 

ありますあります。14巻はいっぱいあるんです。静乃のおじいちゃんと諸葉がやり合うシーンは、実はかなりばっさり削っています。漆原家のキャラがもっている「煮ても焼いても食えない」感じは書いていてホント楽しくて。そのラスボスたるおじいちゃんは、筆が止まらなくて困ったくらいです。

 

――あのおじいちゃんが目立ちすぎると、なんの話か分からなくなっちゃいますからね。それから諸葉の叔母さんであるエリカが初登場する巻でもありました。

 

実は諸葉の叔母が外国人だということはすでに6巻でさりげなく言ってるんです。

 

――そうそう! あの伏線は巧妙でしたね。私、あわむら先生に言われるまで気がつきませんでしたから。

 

えー、ちゃんと読み込んでくださいよー! エリカはこの14巻では顔見せ程度ですが、先々重要キャラになりますし、そのつもりで1巻からずっと折に触れて存在をほのめかしていたキャラでもあります。

 

――かなり踏み込んだ、裏話っぽい感じになってきましたね。

 

裏話といえば、貝利仙女の顔見せ回でもあります。途中まで駿河安東だと思っていた人物が、焼き殺されてみれば実はフェイクの紙人形だった――という展開で出てきた紙人形。あれは、貝利の宝具(パオペイ)なんです。

 

――あそこは初稿では分かりづらくて打ち合わせですごく質問しましたね。

 

いろんな勢力が先々の戦略も見据えた上でフェイクかけまくるんで、読みづらかったかもしれないと後で反省しました。

 

――完結後に、いまさら白状するんですか!?

 

白状ついでにもう一つネタバレ行きます! バトル物ってどうしてもインフレするというか、させなきゃ面白くならないと思っているんですが、さりとて天井は最初に決めておこうというのが、僕の美学だったりします。なのでワルブレに出てくる強キャラは早い段階で既に頭の中にあったし、実はこっそり伏線張りまくりですし、パワーバランスも決定してました。たとえ諸葉でもエドワード相手だと息の根は止められません! でも貝利仙女は――

 

――14巻で急に出てきましたよね。

 

ポロっと直前に思いついて、ポロっと出してしまいました。だからこいつに関しては伏線全く張ってませんし、実質ランクSS一人増やしちゃいました。だってそんなのが駿河安東に仕えていたら、超かっこいいと思ってしまったんです……。

 

――でも、魅力的な悪役として後々の巻までずっと活躍してくれました!

 

そう言ってもらえるとポロッと出した甲斐があります。

 

――さてさて、前回に続いてまた担当なのに聞いたことがない話がどんどん出てきた全巻セルフレビュー第2弾も予定どおり14巻までふりかえりました。残るは15巻~22巻、ワルブレ完結へむけて加速度的に盛り上がっていくクライマックス編です。そちらはまた次の記事でお楽しみください。


あわむら赤光・ワルブレ全巻セルフレビュー(その3)


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