タイトルの分析と検討:「イツカカカセオ!」改め「踊る星降るレネシクル」

 よく仕事で辿り着くことが多いサイトは「REVの雑記::Group::Lightnovel」、サトです。今回は4月15日発売のGA文庫大賞第2回前期《奨励賞》受賞作「踊る星降るレネシクル」のお話しです。
 GA文庫大賞受賞作は最終選考時に、その作品の一番担当になりたい人が担当になるようなことが多いのですが、本作もそんな流れで、私が担当させて頂く事になりました。
 著者である裕時悠示先生とお会いした時に「タイトルの変更の検討」を相談しました。
サト「この作品は面白いです。タイトルも内容にぴったり合っています。目を引きますし、勢い、インパクトもあります」
裕時(以下、敬称略)「ありがとうございます!」
サト「でも、タイトルを変えた方がいいのでは、という意見も何人かから出ました」
裕時「!? 割と自信もあったのですが、なぜでしょう?」
サト「まず、今のライトノベル市況は、コミックの文化圏と比べるとまだまだ狭く、残念ながら保守的な傾向があります。目立っているのが、“悪目立ち”になって、買い控えられるリスクがあります」
裕時「多少、違和感があった方が記憶に残ると思ったのですが……」
サト「それは確かに記憶に残ります。特に『カ』が並んでいるところはデザイナーさんが苦労しそうだな……と思いましたし。あと、読者に与える情報が少ないところも懸案事項です」
裕時「与える情報……!?」
サト「これはあくまで一つの切り口ですが、タイトルは次のようなパターンに分けられるかもしれません。
1:タイトルから内容までを想起できる(「○○○○の野望」「○いよれ! ○○○○さん」「サ○ラ○○○○」「○は○○が○ない」等)
2:タイトルからニュアンスくらい伝わる(「○海○○○○!」「○○×○○」「○○○○○○の○しい書き方」「○○の○○ナ」等)
3:オビ、あらすじ含めての理解や、読んだ後にわかる(「○○!」「○○○○ッ○」「デ○○○○!!」等)
例の作品がどれに該当するかは、ある程度は観測者によってブレるでしょうが、この切り口だと、本作はどれに近いと思いますか?」
裕時「……3?」
サト「そうです。これら3パターンとヒットの確率は正直、正解がある訳ではありません。イラスト等がライトノベルは重要ですしね。ですが、デビュー作は「賞」というプラスがある一方、「作家の知名度」はないところからのスタートなので、“情報量”は多くした方が良いかも、という意見です。他に「いつかカカセオ!」として違和感を中和する案もあるんですけどね、作風に合った勢いは減るので悩ましいんです」
裕時「わかりました! 検討してみます」
――それから一ヶ月後――
サト「編集長! 裕時先生からタイトル案が来ました!」
K村「どーれ、見せて貰おうか……」
サト「……その数191!
K村「多いわー!」
サト「裕時先生のコメントもついてます」
K村「ほーう、読んでみ」
サト「『グゥレイト! 数だけは多いぜ!』」
K村「数だけかよ!」
サト「タイトル案ありがとうございました。 案の数はいままでのGA文庫で一番です」
裕時「ありがとうございます! で、どれが採用ですか?」
サト「ボツです」
裕時「は?」
サト「全ボツです(ニコッ)。もう一度挑戦しましょう!」
――さらに数週間後――
サト「再提出ありがとうございました」
裕時「さあ来い担当おおお! 実はオレはあと一回刺されただけで死ぬぞおお!」
サト「裕時先生のイチオシのいいですね、ピンときました!」
裕時「よっしゃああああ!!」
K村「ん~、ちとピンとこないな」
裕時&サト「ウボァー!」
そんなこんなで決まったタイトルが「踊る星降るレネシクル」です。
略して「るるル」。
4月15日発売です。よろしくお願いします。