

で、前回・前々回の話を要約しなさいと現国の試験に出たら、正解は「押井守監督の言うことを全部、真に受けてはいけません」となるのでしょうか。
とにかく「さて、どうなる」と〈引き〉で終わっていた話の顛末は、〈絶賛発売中!〉の「COMICリュウ」を見ていただければ、手にとっていただければ、そのままレジに持っていっていただければ、さらにはサイフから480円出していただければ、一目瞭然なのですが、とにかく『女立喰師列伝』は無事完成いたしました。ばんざーい、ありがとー、やったー、さよーならー♪
ととと。これだと終わってしまうので、少しタイムリープ。
予算については〈押井発言×2.5倍〉が必要になったのですが、いや世の中捨てたもんじゃあないです。これこれしかじかのことがあり(中略:ここではまだちょっとナイショ)、大野は大変感謝しておるのです。
もろもろ〈中略〉している間に、暦はいつしか6月になっておりました。
『日本ふるさと沈没』なるコミック・アンソロジー(これもまた絶賛発売中)を作りながらも、監督に一報です。
押井さん、お金はなんとかなるようになりました。さあ撮りましょう、いま撮りましょう、すぐ撮りましょう!
「いやあ、もうポシャッタのかと思っていたよ」
な、なんてことを。なんとかすると言っておいたじゃないですか。
「わかったわかった。じゃあ、すぐにシナリオにするよ」
ほっ。やっと本格的にスタートです。実は、今年は多忙な押井監督。文化放送で月一放送中のラジオドラマ『ケルベロス 鋼鉄の猟犬』(なんと10月からは毎週放送に!?)やら、その頃はまだ極秘だった映画祭のためのヴェネチア渡航やら、色々のためのロケハンやら絵コンテやら、嘘偽りなくスケジュールはみっちり。
押井さん、ポッキリじゃあなかったけど、約束のもうひとつはよろしくお願いしますね。納品日は「COMICリュウ」創刊号発売の一ヶ月前ですから、このカレンダーだと18日の金曜日に完パケで。
「それ、伸びます?」
あ、K保社長(株式会社デイズ)。ちょっと待ってください、印刷所に訊いてみます。ピピピのピ。週明けの21日まではOKです。いいですか押井さん。
「なんとかするよ」と押井監督。
しかたがない、真に受けましょう。
で、スケジュール組みです。上記のように埋まっている押井さんの日程に、デイズのK田女史が、心霊医師ばりにグイッと腕を突っこんで、ギュイッと広げて、ピッと固定。
「7月の中旬、このあたりで撮るしかないですね」とK保さん。
「わかった」
今度こそ走り出しました、女立喰師キャラバン。「犬は吠えても」ではなく「犬(が好きな人)が吠えるから」、進んでいる気もするけれど。
そうなると僕の出番はありません。というか、出番どころが分かりません。
出演者・撮影・効果・音響次への連絡。てきてきぱきぱき。餅は餅屋とは、昔の人はよく言ったもんだ。
編集部代表としてM岡氏に「まかせた」と言って、僕は創刊号本体の準備に集中。ネームを見たり、対談をセットしたり、書店の説明会で地方に行ったり、ポスター・チラシ・小冊子もろもろの宣伝素材をつくったりと、ヒーヒーフーフー出産呼吸でやり過ごしている間に、キャラバン大疾走。
M岡氏よりどしどしと連絡が入ので、それにあわせて動くだけです。
「○日、スタッフの顔合わせです」行きまーす。「○日に音響の打ち合わせです。川井さんと若林さんがきます」ラジャー。「ロケハンでT県に」任せまーす。「○日、衣装合わせです」はいはーい。「○日と○日、感謝する人たちとの打ち合わせです」行かせていただきます……。
そんなこんなで、つるべ落としな速度でいつの間にやら撮影当日。
日曜朝、弊社「COMICリュウ」の編集部は、「戦後思想」編集部に早変わり(いや、なにも変わってはいないのですが)。押井監督は今回撮影を担当する湯浅弘章くん(『ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2006』審査員特別賞受賞)を使いまくっています。
あ、押井さん、それ“くまの●―さん”だから(著作権問題で)撮っちゃダメですよっ。ああ、その“キング●ドラ”もダメ。
「あるものは使うのが、僕のスタイルだからさ」
で、そこにあった──というか、いたリュウの編集部員は総出演。私はなぜか年齢が10歳引き上げられています。これイジワル?
明けて翌日はメインイベント、ケツネコロッケのお銀役の兵藤まこさんが登場。あいにくの大雨のなか、緑に囲まれたT県S市の廃墟は、カメラのレンズを通せば、ほらベイルートに。参加者も全日のうちで最も多く、にぎやかかつ豪華な撮影風景。当日の様子は、「COMICリュウ」創刊号に、杉浦守氏によるコミックレポートが掲載されています。
当初は3日間といっていた撮影日程は倍に伸びましたが、無事終了。いくつかの小さなトラブルがありながらも。編集・アフレコなどなど片付いていって……押井さん、ビックリです。ほんとに納期守られてます
約束の18日に関係者を集めての上映会&打ち上げ。キャラバンの全貌(ほぼ)が明らかになる。ようやく目的地に到着ってことですよね。皆さんお疲れ様です。ありがとうございました。
監督のコメントです。
「※億円かけての劇場作品も撮れば、こういった※百万円の作品も、同じように本気で作る。これが《映画》というジャンルへの恩返しだと思っています」
と、ちょっといい話の後、
「『立喰師列伝』もそうだし、今回の「外伝」もそうだけど、自分がやりたいことはいい続ける。言い続ければ実現する」
皆さん、笑っています。思い込みは大切ですよね。努力と根性、あと策略とわがままと一抹の愛嬌──ですか、押井さん。でもまあ無事完成してよかったよかった。
「でですね。『女立喰師』はシリーズとして、あと5本は撮りたい。クレープのマミもタコ焼きのめぐみもいますし、新キャラも思いつきましたので。制作が決定した暁には皆さんまたご協力をおねがいしたと……」
皆さん、笑うしかないようです。
ほっとしたのもつかの間、このキャラバンには終着点は存在しないようである。
追記:「COMICリュウ」創刊2号(10月19日売/12月号)からは、2大押井キャラ夢の共演、いうなれば『マジンガーZ対デビルマン(東映まんがまつり)』的なサプライズ・コミック企画が連載開始! タイトルは『ケルベロス×立喰師 腹腹時計の少女』。作画は『犬狼伝説 紅い足痕』の杉浦守氏。いかなる作品になりますことやら、乞う御期待!!
【おわり】

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立喰師列伝
大な知識と見事な話術で代金を支払わずに立ち去る“立喰師”と、飲食店主たちとの真剣勝負を描いた、アニメーションと実写の融合に挑んだ新感覚ムービーがついにDVDに!
監督:押井守
ディスク枚数:2
販売元:バンダイビジュアル
DVD発売日: 2006/9/22
時間:90分
ASIN: B000G1VK0M
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COMICリュウ
70年代後半から80年代前半にかけてコミックファンを熱狂させた「リュウ」がまったく新しくなって新創刊!「最近のコミックは歯応えがない」という硬派なファンのため、伝説がいまドラマチックに蘇る!!
販売元:徳間書店
執筆陣:執筆陣:宮部みゆき×中平正彦、京極夏彦×樋口彰彦、梶尾真治×鶴田謙二、神崎将臣、安永航一郎、五十嵐浩一、ふくやまけいこ、小石川ふに、ひらりん、松本規之、安彦良和、吾妻ひでお ほか 《毎月19日発売》
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(C)八十八粍・デイズ /立喰師保存会2006 ※写真提供:デイズ
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