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2009年10月28日更新!


攻殻機動隊S.A.C.2nd GIGがBD×最新技術で発売! 神山監督INTERVIEW



写真をクリック!  バンダイビジュアルは、どんな再生機でも高いクオリティでの映像再現を可能にする最新の映像技術「SBMV Extend(※)」を採用したBlu-ray Disc BOX「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」を、11月・12月と順次発売する。

「攻殻機動隊」は士郎正宗氏のコミックを原作とし、1995年に押井守監督の手により「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」として劇場アニメ化。第一級の近未来SFアクション作品として認知され、その後21世紀に入ってからも多くの映像作品が登場。多くのファンを獲得している。原作はインターネットも普及していない20年も前にスタートしたものだが、ネットワークの功罪についての先見性は、今なお色褪せていない。

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)」は、2002年にPPV(※)で公開されたTVアニメ作品。2000年代初期を代表する作品である今作が、最新の映像技術を用いてついに復活を遂げる。

 今回は発売記念して、監督を務めた神山健治(かみやま けんじ)氏にインタビューを敢行。当時の制作の状況や、作品作りの拘りについてお聞きした。話は11月からの劇場公開を控えた最新作「東のエデン 劇場版I The King of Eden」についても及んでいるので、興味のある人は是非読んで、新たな視点を得て「攻殻 S.A.C.」または「東のエデン」の視聴に臨んでもらえればと思う。


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■攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX 1
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■攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX 2

【編集部注】
※SBMV Extend = カラーバンディングが記録されているマスター映像(10bit)に対し、その低減を行った上でDVDやBlu-rayの規格である8bit信号への高品位な変換を実現する技術。「攻殻機動隊 S.A.C.」シリーズのBlu-ray Disc BOXでは、今回発売される「2nd GIG」から、この最新技術が適用される(詳細はこちら
※PPV = ペイ・パー・ビュー。視聴ごとに料金を払うシステム。「攻殻機動隊 S.A.C.」は2002年10月よりパーフェクト・チョイスで放映された後、2004年に地上波で放送された。

◆ ◆ ◆


潤沢なスタッフで作ったわけではなかった「攻殻機動隊 S.A.C.」

──今回発売されるリマスター版をご覧になって、いかがでしたか?

 技術が向上して、とても綺麗だ、と思ったのが第一印象ですね。今見ると元の映像にさすがに荒い部分もありますが、当時としてもTV作品として考えればかなり作り込んではいるつもりでしたから、良かったと思います。

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──制作スタッフがかなり自分たちを追い詰めて作ったのでは、と感じるクオリティですが?

 押井さんの劇場版「イノセンス」と同時期に進行していたわけですが、僕らの「攻殻機動隊 S.A.C.」は、「攻殻機動隊」という作品をもっと世に広めよう、映画の公開も盛り上げようという思惑があって制作されたものです。

 今でもあまり見られないくらい、予算にしても製作期間にしても破格の好条件でしたよね。準備に1年、製作に1年をかけることができた。2000年の春には第1話ができていたと思います。2002年の「イノセンス」公開後には真ん中くらいまでは完成してて、その頃にはもう「2nd GIG」に展開することも決定していました。

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 ただ、決して潤沢なスタッフで作ったわけではありませんでした。会社は押井さんの映画に全力を注いでいましたから。その中で、自分たちのやれるだけのことをやったという感じです。


劇場版とは異なる「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」

──先輩である押井さんが作られていた「イノセンス」とは、世界観や描写が異なるものに仕上がったと思いますが、そのあたりはどういった考えで作られていましたか?

 押井さんの描く「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」は、「ブレードランナー」に代表されるサイバーパンク的な緻密な舞台設定を駆使して世界観を構築していました。ただ、スタッフが限られていた僕らにはそこまでプロダクトデザインを追い込むことはできないし、そういう描写は無理だろうと分かっていました。

 例えばタチコマが日常の風景の中に登場するのは、当初はやはりみんなが違和感を覚えたようで、内部でも「原作通りやった方がいいんじゃないか?」とも言われましたね。ただ、近未来的ではあるけど身近な風景──つまり、瓦屋根が残っているような風景の中にタチコマが現れる方が、ロボットやサイバーパンクの知識を持っていない視聴者にも理解しやすいであろうという思いはありました。

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 制約上の理由もありましたが、僕の中にはそういう確信があって、スタッフの中にも不安視する声がありましたが、おかげさまで試写でそれらも払拭されて、「攻殻機動隊 S.A.C.」の独自の雰囲気が作られる結果となりました。また、“刑事物”といってもいいフォーマットを意識したことで、視聴者の人に意図通りすんなりと受け入れてもらえた。僕らは周りの目が押井さんに集中してたというのもあって注目もされていない分、気負いもプレッシャーもなく自由にやらせてもらいました。

──メンバー個人のエピソードを掘り下げる構想は最初からありましたか?

 9課のメンバーについては、原作でも踏み込んだ設定がされていないですし、第1シーズンでは僕もあまり深く掘り下げることを躊躇していました。そのせいで、最初は過去のないキャラを動かすことについての違和感がありましたね。

 現実の人間関係においても、バックボーンが分からないまま真の意味で親しくなることはないでしょう? 親しみやすくする、という方向でキャラクターに感情移入させようとした結果、若干原作とは異なる性格を帯びたキャラもいます。トグサもある意味でドジっ子的な部分が強調されていたり、バトーは男らしくありつつもウェットな部分を表現してみたり、というようなところですね。

 中でも素子は難しかった。年齢不詳だし全身義体のスーパーウーマンだし、謎も多い。ある程度描写した時点で、これ以上は素子に肉迫するのは難しいと感じたんです。その分、課長の荒巻に注力するわけですよ。指揮官としての彼と、作品作りで陣頭指揮をとる立場になった自分とがリンクしますから。

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 士郎さんに限らず、原作者が他人に自分のキャラの過去を作ることを良しとするか、ということもあって、登場人物の過去に関わる描写は、なるべく断定を避けてぼかすようにしました。本当かもしれないしウソかもしれない、と曖昧にすることによって、第1シーズンでは原作からの乖離を防ごうとはしています。「2nd GIG」では逆にそれを意識してバランスを取りながら荒巻を引っ込め、素子を前面に出せたかな、と思っています。

──作品中のCGの扱い方も劇場版とは違っていましたが、表現のビジョンについてはいかがですか?

 CGを使用するのは、最初50カットくらいを想定していましたが、最終的には全体の1/3にもなりました。派手なタチコマの登場シーン、アクションシーンよりも、高速道路上の車の群れといったむしろ地味なカットに使っています。

 僕は「車」の演出には拘りがあって、あの溢れんばかりに高速道路に密集する自動車というのは、インフラとしての道路の役割が、情報インフラであるところのネットワークに取って代わられている時代の暗喩なんです。CGの場合、作ったデータが蓄積していきますから、話数が進むにつれて車種も増えて効果的に使えました。

──制作中、劇場版チームや押井さんと情報交換などはされましたか?

 それはなかったですね。あえて、向こうのチームの仕事場には近づかないようにしていました。与えられたリソースとスケジュールの制約の中で、どこまで自分たちのチームがやれるのかを僕自身が見てみたかった、というのが理由です。ただ、押井さんに影響を受けてこの業界に入っていた僕は、押井さんを目指して作品作りをしていたはずなのに、フタを開けてみると結果はずいぶん違っていましたね。

「TVで『攻殻』は無理だよ」といって手伝ってくれなかった人もいたくらい、「攻殻機動隊 S.A.C.」は注目されていなかったんです。それでも頑張れたのは、若い連中だけで集まって作ってましたから、制作自体が楽しかったからですね。今振り返ってみると、新人監督の時しか味わえない輝きがあった気がします。

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自分が熱く思っているものが周りにも喜んでもらえる、というのが理想

──神山監督の作品には、さまざまな印象的なモチーフが登場します。それらに込められたメッセージ性についてお聞かせください。

 実は、メッセージがあって作品を作りたいというのが最初の動機ではないんですよ。「攻殻 S.A.C.」の“サリンジャー”にしても、「東のエデン」の“ニート”にしても、もともとアニメはすべてが「作り物」なので、逆に「あるある」と身近に実感できる要素を入れることでリアリティを出す手法に過ぎません。少なくとも、そちらが出発点です。

「攻殻 S.A.C.」のサリンジャーについても、初めはその本をポケットに入れて持ち歩いている人と、トグサたちメインキャラクターがすれ違うだけでも良かったんです。そのことによって、僕らの生きている世界の延長なんだ、ということを示そうと思ったんですね。地続き感を出すための触媒というような役割として使おうと。それで「攻殻 S.A.C.」の展開する未来の時代に、紙に印刷された「本」というものが残っているかどうかを、士郎さんにも尋ねてみたんです。そしたら、「ないだろう」っておっしゃるんですよ。

 否定されて、逆に「そんなはずはないんじゃないか」と考えているうちに、いつの間にか物語全体に浸透する要素になってしまった。僕は、16歳の時にサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を読んで「この主人公は俺だ」というくらいに衝撃を受けました。サリンジャーが描いているテーマのようなものは、危うい言い方をすれば若い人にとって、ドラッグのような魅力があるんです。初監督作品の時にも、気づかれない程度に入れ込んでやろうというような野心もありました。

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「東のエデン」のニートというモチーフにしても、自分の学生時代に味わっていたバブル前夜の日本に流れていた漠然とした不安感のようなものが、ネットワーク世代として生きている若者たちにも共感する部分があるんじゃないか、というところがスタートですよね。

 メッセージ性ということについては、テーマありきでもないし、視聴者にウケるものを要素として入れることで売ってやろうというのではありません。ただ、お客さんを楽しませるには、自分が強く思い入れているものでなければ難しいだろう、ということです。

 例えば、ブルース・リーが自分の映画の中でヌンチャクを武器に使いましたが、僕らが中高生の頃というのはそれを見てみんな「カッコいい」と真似して、額にポコポコぶつけてたわけですよ(笑)。でも、ブルース・リーは拳法の強さを追求して道具として使っているだけで、ヌンチャクを売ろうという意図で作品に登場させたわけじゃない。そういう伝わり方が、理想ですよね。

──劇場版の公開が待たれる「東のエデン」ですが、どういった狙いで作品を作られていますか?

 最初は滝沢 朗(たきざわ あきら)というキャラクターに結晶化された、“状況を変えていける人間”を描写したい、というところからスタートしています。若い頃には周りにああいう魅力的な人間がいっぱいいました。それが今では腹の出たただのオヤジになってしまっている。あれほど輝いて他人を惹きつけていた人間が、どうして凡庸になってしまうのか、と不思議に思うわけですよ。そこで、そんな輝いているキャラクターをアニメに登場させたかった、というところが発端になって企画を立ち上げました。

 でも、それだけでは作品としては成立しませんから、ほかの作品でいえば“戦い”であったり“謎解き”だったりという物語のギミックや、セレソンのシステムやノブレス携帯(電話)といったガジェットを発明しました。あとは先ほども言ったような、自分の中で“今最も興味のあること”を足しています。

 基本的には自分のやりたいこととか、寝る間も惜しんで調べたいと思えるようなものがコア部分にないと、オリジナル作品を創るのは難しいと思いますね。

 10年も業界でやっていると、自分自身の年齢も上がって、どんどん若いスタッフが入ってきます。ですが中には、本当にアニメが作りたくて入社してきたの? と首を傾げたくなるような子もいるわけですよ。週休2日じゃなきゃヤダというなら、僕らの世代であればそもそもこんな職業選ばないでしょう? そんな世代間のギャップを感じている、自分の現在の心情の正体はなんだろう? というような思索が、反映されているんですよ。

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ファンへのメッセージ

──では、最後に「攻殻機動隊 S.A.C.&2nd GIG」Blu-ray Disc BOXの発売に当たって、ファンにメッセージをお願いします。

 10年経ったタイトルをこうした最新の技術で甦らせていただけることを、嬉しく思います。何回もの視聴に耐えるようにと願って作っていた当時の想いが叶った心境です。今見返してみると、古く感じる部分──携帯が登場した前後の時代に発生した齟齬のようなものが、「攻殻 S.A.C.」にも見えるかもしれません。発売し直されるこの機会にもう一度見ていただけると、新たな発見があるかと思います。それも含めて楽しんでください。

 この発売をきっかけに、今の時代に即した「攻殻 S.A.C.」を作ろうよ、という動きにも繋がるかもしれませんしね。

──もし「攻殻 S.A.C.」を新たに制作しようという企画が持ち上がったら、また監督をやってみたいですか?

 誰かが作る、と言い出したら、「いやいや待ってよ」と言うかもしれませんね(笑)。もし機会をもらえれば、やってみたいです。

──今日はありがとうございました。




攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX 1
発売日:2009年11月25日予定
購入はこちら:Amazon.co.jp

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX 2
発売日:2009年12月22日予定
購入はこちら:Amazon.co.jp

価格:各2万1,000円(税込)
発売元:バンダイビジュアル



(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
※掲載しました写真は開発中の為、実際の製品と異なる場合がございます。

■関連リンク
バンダイビジュアル
Production I.G
攻殻機動隊 S.A.C. 公式



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