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2010年08月26日更新! |
監督らとともに、「ブレイク ブレイド」においてメカニックデザインを担当した柳瀬敬之氏にインタビューを行った。同作品の大きな魅力である緻密なメカニックデザインは、どのように生まれたのか? 第二章のBDや第三章の劇場鑑賞前にこのインタビューを読めば、本編のゴゥレムの描写をより楽しめるはずだ。――デザインされたゴゥレムが実際に動いているのをご覧になっていかがですか?
柳瀬:劇場作品ならではの仕上がりですよね。羽原監督はロボットを動かすのが巧いですし、アミノ総監督のコンテは分かりやすいですし、感動しました。非常に線の多いデザインなので、作画監督さんのほうである程度省略してもらえればと思っていたのですが、こんなに忠実なまま動くとは思いませんでした。正直びっくりしています。
――「ブレイク ブレイド」では原作があった上でのメカニックデザインとなりましたが、どのような手順で行われたのでしょうか?
柳瀬:原作コミックの中で描かれているゴゥレムの登場シーンを全機分パソコンに取り込んで整理する、言わば設定考証の作業からスタートしました。指先や足の裏のような部分を描いてるコマは1つや2つしかないので、片っ端からすべて集めるしかなかったんです。
膨大な量をスキャニングからすべて一人で処理していたのですが、その作業はXEBECさんにお願いすればいい、と後になって判明しました(笑)。吉永先生の描かれるゴゥレムのデザインのバランスは、原作の話数によって変化しているんです。そのため、作業に取りかかった時点で最新の話数を基準にデザインしていますね。
――デザインする上で苦労した点はありましたか?
柳瀬:特に大変だったのは、ゴゥレムの関節を理論的に構築していくことでした。アニメで動かしたり模型になった時にちゃんと可動するのか、という整合性が必要なんです。そのため、原作の中で描かれている関節について一個ずつ「肘がどこで曲がるか?」「首がどこまで曲がるのか?」といったことを検証していくのが一番苦労しましたね。たとえアニメでは陰に隠れて見えない場所でも、どういう仕組みか考えておくことは必要です。勝手に作るわけにはいかないため、原作にあるものをすべて確認していく作業となります。
――1からオリジナルのデザインを作っていくのとはまるで別の仕事となるんですね。
柳瀬:ただ、元のデザインを自分の中に叩き込んだ上で、原作コミックで見えてない部分のディティールを想像で描いていく作業は発生します。これは従来のメカニックデザインの仕事に近いですね。そうした箇所は吉永先生にチェックをお願いするのですが、最初にデザインしたデルフィングとエルテーミスは特に何度も直しました。
作業の後半になれば、ある程度ディティールのフォーマットができてくるのでチェックで直すことも少なくなりましたが。「このパーツは原作に描かれてないな」と自分でデザインを作った後に改めて確認してみたら「しまった、原作で描かれてた……」と気付くことも何度もありましたね(笑)。
――デザインを上げるための所要時間は一体あたりどれくらいだったのでしょうか?
柳瀬:ゼロからだと10日程度ですね。エルテーミスやファブニルのバリエーションものだと一週間かかるかかからないかといったところです。最初に起こしたデルフィングやエルテーミスなどに関してはどれくらいかかったかもわかりませんね(笑)。細部の設定で時間がかかるんです。原作で描かれているゴゥレムの線が多いので、それは減らせませんから。
後半は一体あたり一週間くらいで上げてましたね。ラドゥンは形状がわかりやすかったですね。
――デザインしていく上で気付かれた、デルフィングの魅力はありますか?
柳瀬:僕が好きなのは、今までにないバランスのロボットであり、しかもそれがアクションで格好良く見えることですね。デルフィングだけはフレームが他のゴゥレムと全く違いますね。靱帯が無いので、一番機械的です。アニメで顔のアップなどを見ると、原作通りデルフィングをうまく再現できたのかなと思っています。
―― デルフィングの好きなポーズやアングルなどはありますか?
柳瀬:オープニングなどの、顔から突っ込んでいくところですね。あとは着地した時の膝立ては普通に立っているポーズよりも好きです。やはりコトブキヤさんや千値練さんも、膝立のポーズができることを念頭に置いて作られているのでしょう。千値練さんのデルフィングは膝が大きく曲がるのに驚きました。ここまで曲がるようにはデザインしていないのになあ(笑)。
コトブキヤさんの方は、実は商品化とアニメ化のタイミングがたまたま合っていて、しかもそれをクロスフレーム(※柳瀬氏デザインによる素体)のシリーズで出すという偶然が重なりました。コトブキヤさんはアニメ基準のデザインですが、千値練さんの方は原作7,8巻のバランスに近いデザインですね。
――各ゴゥレムのデザインの違いはどのように表現したのでしょうか?
柳瀬:デルフィングは別物として、ファブニルとエルテーミスがそれぞれ基準になっていますね。最初は原作よりも各ゴゥレムの個性を強調したようなデザインにしようという話もありましたが、最終的には原作でのディティールの違いがそのままアニメのデザインにも表われています。実は、ファブニルの顔のラインは搭乗者によってみんな微妙に違うんですよ。このバリエーションで部隊の人数分、10種類くらい描き起こしましたね。
また、肩の国旗は通常横に入っているのですが、バルド将軍配下の兵士だけは斜めに入ってます。武器もそれぞれでけっこう違いますね。ロギンのファブニルはスナイパーなので、ロングプレスガンに固定するための突起が付いているんですよ。ゼスのエルテーミスも、彼の魔力が高いので一体だけ銃口が大きいんです。
――普通に原作を読んでいるだけでは気付かない部分までデザインに起こされているんですね。
柳瀬:こういった細かいこだわり積み重なりによって、世界観がリアルになっていますね。たとえば、ゴムの存在しない世界なのでゴゥレムの掌には滑り止めの細かい線が入っているんですよ。また、関節にあてがわれている布は、石と石が擦れるのを防ぐためのものですね。バイクのフェンダーのような役割です。
通常、こういった細かいディティールや機体の個体差はTVアニメだと省略するところですが、「ブレイク ブレイド」の場合はあえて忠実に再現しています。TVアニメだとスケジュール的に不可能ですね。ゴゥレムを走らせることすら無理かもしれない。これをアニメで再現するのは非常に大変ですが、現場でこだわってくれています。
――柳瀬さんのメカニックデザインの作業は既に完了しているのでしょうか?
柳瀬:ほとんど終わっていますが、演出の都合で「この部分はどうなっていますか?」と現場から訊かれることもありますね。デルフィングが換装しているシーンなどは後からレイアウトに合わせてディティールを決めました。
――では最後に、今後の見所をお教え下さい。
柳瀬:多重装甲になった第三形態デルフィングの、パージや轢き逃げなどの活躍っぷりですね。さらにそこからのパージと轢き逃げ。あんな轢き逃げをするロボットはこれまでいなかったですよね(笑)。パージする時のギミックについては、原作を元に想像で設定したのですが、そこへ原作サイドから細かいチェックが入りました。おそらく、吉永先生の中では具体的な設定が決まっているのでしょう。また、四章以降では登場するゴゥレムの種類自体もどんどん増えていきます。ぜひご期待下さい。
ストーリーだけでなく、メカニック描写なども魅力の「ブレイク ブレイド」。劇場の大スクリーンでゴゥレムの迫力のバトルを堪能しよう。今後多数登場するという新ゴゥレムなどにも期待が高まる一方だ。
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