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2010年09月02日更新! |
「ブレイク ブレイド」第二章のBD/DVD発売・第三章の公開に際し、アミノテツロ総監督へインタビューを行なった。「マクロス7」(1994年)などロボットアニメも多く手がけているベテランのアミノ総監督。「ブレイク ブレイド」にはどのような拘りを込めているのだろうか?――「ブレイク ブレイド」はアミノ総監督にとって久しぶりのロボットアニメで、しかもロボットはCGではなく、手描きで作画されていますね。
アミノ:作画の負担が相当なことになっているな、という久しぶりの感覚を味わってます(笑)。近年CGの技術は非常に上がっているし、CGならではの良さもあるのだけど、まだまだ過渡期に位置するものかなと思っています。CGの場合はパソコンのスペックが上がれば効率も上がっていくんだけど、手描きの場合はそういう画期的な進化がないですよね。
ただ、それでも手描きは手描きで先人からのノウハウが積み重なって今のレベルに来ているわけですし、パソコンの処理には出せない手描き特有の質感もあるんです。線の“ファジー感”とでも言うのかな。もちろんこれはアニメーターのセンスや技術に左右されるところなんだけど、「ブレイク ブレイド」に関しては手描きの技術を見せる、という選択肢が適しているのだと思います。
――手描きを選んだことによって、大きくプラスに働いた点はありますか?
アミノ:ロボットを動かすだけならCGでもいろいろできるけど、画面構図についてはCGよりも手描きの方が長けていますね。CGの場合、カメラアングルなどを自由にできる分、作業にきりがないんですよ。今回の場合、厚みや質感といった部分もCGでは表現が難しいですし、戦闘中に細かい破片が飛ぶ演出なんかもCGで大まじめに処理していたら労力がいくらあっても足りない。その点、手描きの方が“ファジー感”によって画面を効果的にできるんです。手描きだからこそ生まれる予想外のものもありますしね。
――逆に、手描きで苦労した部分はいかがですか?
アミノ:とにかく、作画する上で細かいところまで要求されるんですよ。ゴゥレムのデザインが複雑なのもそうだし、何より「ブレイク ブレイド」の世界観だと火薬が無いから、爆発の演出を使えないんです。ロボットアニメでは爆発が最終手段なんです、描くのが大変な箇所を隠せるから(笑)。
ただ一方で、爆発しないからこそ「倒した相手にとどめを刺すか刺さないか」という人間の心情の部分も追求できる面白さもありますね。ゴゥレムが壊れるシーンをどこまで描写すればいいんだ、って問題もあるんだけど(笑)。だから、こうした作品の面白さが、そのまま作画の大変さにも繋がってますね。
――通常の作品とはかなり勝手が違うのでしょうか。
アミノ:普通のロボットアニメだと弾丸が当たっただけでバンバン爆発したりするんだけど、この作品については弾丸の当たった所が削れる程度だったりする程度にしています。ゴゥレムの集団が出てくるシーンなど通常は煙を立たせるようなシーンでも、火薬がない分、土埃や風で効果を出してますね。一対一のシーンならまだこういう正直な演出でもいいんだけど、集団戦になると、本っ当に火薬が欲しくなる(笑)。爆発による誤魔化しがきかないし、派手な演出もできない。そういった枷はあります。ダイナマイトを発明した人は偉いですよね(笑)。
こんなに主人公の機体を壊しまくるロボットアニメってあるのかな? 装甲がバンバン壊れていくのはこれはこれで格好良いですけどね。装甲を付けては壊し、付けては壊しで。後付けの装甲は素体に固定されてないから、揺れ方を変えてますね。人間が鎧を着ている時にガシャガシャ揺れるのと一緒です。
――走っているシーンなど、大きな動きも多いですよね。
アミノ:ロボットが滑空したりする時のカタルシスがインプットされているから、デルフィングなどもついついジャンプさせすぎちゃうアニメーターもいるんです。けど、そういった演出も極力抑えています。こういった所を抑えたことによって「ゴゥレムは鉄じゃなくて石でできているから、あのシーンではそんなに高く跳べなかったし、このシーンでは倒れただけで折れてしまったんだな」みたいに後から意味に気付いて貰えると嬉しいですね。
プレスガンも発砲時に普通の銃のようなマズルフラッシュを噴きませんし。さらに細かい設定で言うと、この世界にはノコギリがないんですよ、歯が欠けちゃうから。だからゴゥレムはすべて砥石で丁寧に削っているんです。そういった小道具にも意識していますね。
――このような世界観を構築していく上で、意識されたことはありますか?
アミノ:世界観がリアルで異質なので、ある程度地に足のついたものにしたいと思ってます。中世のようにガンガンとぶつかり合う戦争だから、相手を叩くと相手が痛んでいるのがわかる描写を入れたりしています。人間側をどう細かく描くか、が重要ですね。
もちろん原作の人物設定に則ってやっているわけですが、逆に、原作が終わっていないことによる「どう決着を付けるか?」という苦労もありますね。キャラクターは原作から生まれたもので、僕らはそれに則って描いているわけです。その主人公の行き着く先は本来僕らが勝手に作る物ではないですし、主人公の姿形に相容れないものではあってほしくない。特に「ブレイク ブレイド」は原作にかなり忠実に作っているので、違和感の残る終わり方はさせたくないですね。原作と全く同じでなくても、「こういう可能性もあるよね」というラストにしたいです。
――今後のストーリーはオリジナルの展開になっていくのでしょうか?
アミノ:五章の後半あたりからオリジナルっぽくなるかな? 大きく逸脱する訳ではなく、原作がある程度目論んでいるであろう展開を想像しつつのオリジナルですね。「四章までは良かったのに、五章からは何か違わね?」とは言われたくないですから。ただ、六章まででひとつの物語になってはいますが、六章で全ての話に決着が付くわけではないです。だからといって、六章終わった後「さて、次はいつなの?」と言われても困るけど(笑)。
――三章以降の見所はどこになりますか?
アミノ:三章は後半に向けての転換点になりますね。同窓生4人の関係の深みを意識して作っていますね。ライガットが“能なし”であることや、4人の行く末などを意識して観てもらえるといいですね。また、ジルグの釈放やヴォルグスの顔見せなど、四章以降への伏線が多いです。四章からはもう、怒濤の総力戦ですね。人間関係が押しやられていく中、ライガットがどう主人公として立ち回れるか? といったところが見所でしょうか。
――コトブキヤさんや千値練さんの立体物をご覧になっていかがでしょうか?
良くできてるなあ……。デルフィングの良さがそのまま再現されていますね。デルフィングは腕と腕、腰と脚、といったパーツとパーツのつなぎ目をカバーしていないのが特徴なんですよ。そういった素体の無骨さが反映されているところが面白いですよね。そこが立体物でも再現されていることに注目して頂けると良いと思います。
火薬がないなど独特の世界観を大切にしつつ、ロボットの手描きなどに拘ったアミノ総監督が指揮をとる「ブレイク ブレイド」。ますます三章以降が楽しみだ。
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