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受賞者インタビュー
第十七回 12月15日発売「月見月理解の探偵殺人」
著者:明月千里さん インタビュー



――まず小説を書き始めたきっかけはなんでしょうか?

 高校生のときに、初めてライトノベルを読んだのがきっかけです。特にはまったのは、『ブギーポップは笑わない』とか『ダブルブリッド』とかですね。
 自分もこんな面白い話を書いてみたい、と思ってその一週間後くらいから書き始めました。
 当時はRPGに影響を受けていたので、中世ファンタジーばかり書いていました。

――なるほど、『ブギーポップは笑わない』や『ダブルブリッド』はわかりますが、ファンタジーを書かれていたのは意外ですね。

 あの頃は今よりファンタジーは流行っていましたからねー。
 ん? 『ブギーポップ』や『ダブルブリッド』がわかるというのは?

――作風的には「らしいなぁ」と納得してしまった感じです。執筆歴、投稿歴はどのような感じで?

 投稿歴は今回を含めて三回です。高校生のときに二回ほど某D撃文庫さんに応募したのですが、いずれも一次通過したことすらありませんでした。

 そこから闇雲に書いていても受からないのではないかと思い、一時的に小説の投稿をやめて、ゲームシナリオの方に首を突っ込んでみたり、SS掲示板に投稿したりと、あーだこーだと試行錯誤の日々を続けていました。

 そして久々に投稿したらこのようなことになり、とてもびっくりしています。

――久々の応募だったんですね。さて、この作品を書こうとしたきっかけはなんでしょうか?

 あとがきでも書きましたが、大学時代にとある推理チックなネットゲームにはまりまして、そこで『謎解きとか真実を明らかにするのは二の次で、自分の都合と利益を優先させるための嘘と騙し合い』と、真相など分からないまま事件を解決しようとして戸惑う、『疑心暗鬼』の面白さを知りました。
 一度これを題材に話を書いてみたいな、と思ったのがきっかけです。

 作中の『探偵殺人ゲーム』は、そのゲームがモチーフになっています。

――知ってます。「汝は人狼なりや?」ですよね!

 言っちゃったよ! 伏せた意味ないじゃないですか!?

――通称「人狼」とも呼ばれているゲームですね。編集部でも知ってる人はいましたけど、一次選考で読んだ人は知らなかったですね。

 確かに、プレイしたことがない人が知る機会は少ないかもしれませんね。

――『探偵殺人ゲーム』はきちんと作品内で消化していますし、「人狼」を知らない人でも楽しめるので問題ないですよ。「人狼」は他のゲームや漫画でもいくつか元ネタになってたりしますね。

 そうですね。私は知らなかったので、はじめての打ち合わせの時に紹介されて驚きました。

――そんなモチーフから生まれた本作で、奨励賞の受賞と聞いていかがでしたか?

 なんかえらいことになってしまったなぁと。
 でも改稿を繰り返して応募したのですが、投稿直前ものに比べると、だいぶライトな感じになったと思います。

――そんなライトな作品が「問題作!」としてついに発売です!

 本当にこれでも相当ライトになったんですよ!
 それと、その「問題作」ってどうなんですか?
 問題だった部分はちゃんと修正したはずじゃ……。

――あぁ、それは編集長の指示ですね、「問題作でもいい、自由とはそういうものだ!」的に。

 意味がわかんないですよ!

――大丈夫、いい意味で問題作ですから!
 ところで、GA文庫大賞にはなんで応募されたのでしょうか?

 第1回なので狙い目だと思いました。
 あと評価シートの存在が大きかったです。
 今でこそ評価シートというシステムもそこそこ見かけますが、昔は本当に落ちた人にはなんのリアクションもなかったので、改善の糸口がつかめませんでした。それに比べると、どんな結果であれ確実にお返事がもらえるのはいいな、と思いました。

――選考時は「キャラクターが強烈」という意見が多かったですね。

 確かに一部個性的なキャラはいるかもしれませんね。評価シート貰えなかったんで気になっていました。

――他には賛否両論で、意見が分かれるポイントが多かったですね。そのへんが「問題作」と言われるゆえんでもありますが。
 受賞後に明月さんと相談して改稿を進めてきた訳ですが、刊行にあたって応募原稿から変更があったポイントはどこでしょうか?

 一番やばかったのが『セリフ関連』ですね。投稿時は、出版する上での『NGワード』がかなり多かったので、とあるキャラは5割近くのセリフ修正を余儀なくされ、どうしてもひっかかるものはセリフごとばっさり削除されています。
 最終的な原稿と、投稿時のものを見比べると、かなりマイルドな言い回しになったんではないかな、と思います。

――確かに×××の発言は変わってますね。しかし、刊行されるものでも刺激的な台詞回しは十二分にありますよ。一番強烈なのは『月見月理解』なんですが、このヒロインを生み出したきっかけはなんでしょう?

 上記でも書きました例のネットゲームで私が実際に対戦したことのある、とあるプレイヤーさんが『月見月理解』のモデルになっています。が、デフォルメという名の魔改造を繰り返した結果、もはや1%の面影も残っていません。
 こんなぶっとんだ性格のキャラではありませんでした。

――個性的なキャラですからねー。他にはお気に入りのキャラはいますか?

 宮越さんです。この殺伐とした話の癒しです。

――いいですよね、副委員長の宮越さん。理解もキュートでかわいいですが、宮越さんも編集部で人気ですよ。他に、作品の見所・アピールポイント・こだわりなんかがあれば。

 見所は、mebaeさんの美麗なイラストだと思います。
 カラーのかわいらしいものや、挿絵のダークな感じのものまでとても素敵ですので、ぜひ一度ご覧になってください。

 こだわりとしましては、正直小難しいミステリーが私自身苦手なので、別に推理とか謎解きとかしなくても、そのまま読んでしまえるものを意識しました。
 あと基本的にドロドロした話が好きなんですが、本作の後味は割とすっきりしている(と思う)ので、暗い話が苦手な人にもお薦めです。

――ミステリーを読まない人でも楽しめるツクリになっていますね。あとGA文庫大賞の受賞作としては9作目となるんですが、同期の方でよく話す人なんかはいらっしゃいますか?

 授賞式でお会いして連絡がつく方なんかとは、手の空いたときにチャットで話したりしています。
 無駄話や愚痴……もとい有益な情報交換を行っています。
 皆さん作家だけあって、やっぱりどこかおか……個性的な方々です。

――なるほど、同期の情報交換は大切ですね。最後に、読者に一言を。

 まだまだ未熟者ですが、本作ともども、どうかよろしくお願いします。

 

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