受賞者インタビュー
第十八回 2月15日発売「りーち☆えんげーじ! -子孫繁栄! 国立栄華学園中等部-」 著者:海堂崇さん インタビュー
――まず、小説を書き始めたきっかけを教えてください。
小説を書き始めたのは4年前ぐらいだと思います。ただ、高校時代からネット上の二次創作と呼ばれる類のものはよく読んでいて、その真似事みたいなものはちょくちょく書いたりしていました。
――なるほど。二次創作から入ったというのは、ちょっと珍しいかもしれませんね。それでは、新人賞に投稿しようと思ったのはいつくらいからですか?
大学に入ってから同じサークルにいたラノベ好きの友人に「SS書いてるみたいだけど、新人賞には出してみないの?」と訊かれて、初めて「ラノベ作家になること」を意識したような気がします。腕には少し自信があったのですが、3回一次落ちを経験して、自分の未熟さを思い知らされました。そこで、このままじゃダメだと改めて本腰を入れてみたところ、結果も出るようになり、幸運にも第1回GA文庫大賞≪編集部特別賞≫でデビューできた次第です。
――結果が出るまでにはいろいろ苦難もあったと聞きましたが……?
実はこの作品を書くまでに長編を3作書いたのですが、3作とも他の新人賞であえなく一次落ちでした。それまでに書いた作品は「魂を銃弾にして銃で戦うヒロイン」とか「自分の指をナイフで切ってその血を飲むと覚醒する主人公」とか、そういう作風で、今の作風とはだいぶ違っていました。
――「血を飲むと覚醒する主人公」! そこだけ聞くととても「りーち☆えんげーじ!」と同じ人が書いたとは思えませんね。
そうですね(笑)。自分でもそう思います。個人的にそのような話は大好きなんですが、さすがに3回一次で落ちると、そのような作品は自分には向いていないのではないかと考えるようになりました。結論として、もう一度きちんと自己分析をして原点に立ち返り、思い切って自分の長所が活かせる作品を書いてみることにしたわけです。もともとかわいい女の子を書くことは大好きでしたし、それならば、と思い切ってキャラクターの魅力を前面に出したラブコメを書きました。
――その結果、応募された2作品とも最終選考まで残りましたね。もう一作品も編集部内で評価が高かったですから、どこかで日の目を見る機会を作りたいですね。さて、作風を変えて挑んだ「りーち☆えんげーじ!」ですが、執筆にはどのくらい時間が掛かりましたか?
アイディアが出てから形になるまでは、2ヶ月ぐらいだったと思います。単純な執筆期間では2週間ほどです。
――2週間! 随分早いイメージがありますが……。
自分はまずアイディアがあったら書いてみて、面白くなりそうであればそのまま書き続けるというスタイルを取っているのですが、「りーち☆えんげーじ!」に関しては特にいけそうだという手ごたえが強かったので、書き始めてからは比較的早くできたのだと思います。
――一作2週間で上がるとすると、ライトノベル作家としては理想的な速さですね。
あくまでキャラが動き始めたら勢いに任せて書ける、というだけですが。それに、そんなスタイルなので初稿の完成度はと言えば……。とにかく、受賞してからの修正作業が大変でした(汗)。
――かなり朱を入れたと担当が言っていましたが……。
修正作業の感想については、あまり話したくありません。というか、思い出したくもありません(汗)。作家ってこんなに大変な仕事なのかと、何度も頭を抱えました。投稿時代と一番違うと感じたのは、常に読者を意識しなければいけないところでした。
ただ、最終的に完成したものを読むと、見違えるほどよくなっていて、自分でも驚くぐらいでした。苦労して修正作業を進めたかいがあったとしみじみ思います。
……それでも、やっぱり、すごく、辛かった、ので、次回は最初から完成度を上げてあまり苦労しないようにしたいです。
――よほど修正が大変だったんですね。でも、採用されたときはやっぱり嬉しかったですか?
えぇ、それはもちろん! ただ、受賞のお電話を頂いたときは、舞い上がってしまってあまり実感がわきませんでした。電話を終えて、徐々に実感がわいてきて、思わず声を上げた記憶があります。今思うとそこが幸せのピークでした……(遠い目)。
――そもそも数ある新人賞の中からGA文庫大賞に応募しようと思った理由はなんだったのですか?
原稿を書き終えた時期と締め切りのタイミングがちょうどよかったということもありますが、やはり1回目ということに惹かれました。編集部もおそらく気合を入れて見てくれるでしょうし、そこでデビューできれば期待をかけてもらえるのではないかという、したたかな打算もありました(笑)。また、ホームページなどを見ていて、非常に対応のいいレーベルだという印象を持っていたことも理由です。
実際に、受賞してからも対応が素早く、疑問にもすぐに答えてくれて、親切な編集部だなと感じました。何より編集部全体がやる気に満ちていて、自分も期待されていることを感じられるところが嬉しいです。
もちろん厳しいことも言われますが……(汗)。それはある意味当然のことだと思います。むしろ、厳しく鍛えてもらっているという印象です。
――100点満点の回答を頂きましてありがとうございました(笑)。さて、ここからは「りーち☆えんげーじ!」についてお尋ねしたいと思います。まず、ラブコメですから、特にお気に入りのヒロインからお聞きしましょうか。
うーん……これは難しいですね。あえて一人挙げるとするならば、カバーのイラストにもなっている美妃です。美妃は一見意地っ張りで横暴ですが、実はそれだけではなく、とてもかわいらしい女の子だと思います。
――なるほど。では、お気に入りのヒロインを踏まえたうえで、好きな女性のタイプを教えてください。
いや、踏まえてって、まったく関係ないですし! そもそもこの質問、誰得だと思うんですけど……。まぁいいですが。個人的には芯のある、意思の強い女性に好感を覚えます。
――作中で言うと木葉先生と言うことですね? わかります! 生徒を誘うダイナマイトボディで強気な女教師!! 気になる方は本編をどうぞ!
……宣伝ありがとうございます。でも、木葉先生よりは美妃のような勝気な女の子がタイプです。まあ自分が作中にいたとしても、相手にされないと思います(苦笑)。平太が羨ましいです。
――……え~と、それでは気を取り直して、作品の見どころを教えてください!
見どころは何といってもCH@R様の素敵なイラストです。
――イラスト、だけですか?
もちろん本文も読んで頂きたいですが、イラストに負けないように、挿絵を見てから本文を修正した箇所もあるくらいイラストが見どころです!
――えっと、ライトノベル作品ですので、一応本文にも触れてください(汗)。
あ、そうですね。イラストに比べたらまだまだかもしれませんが、この作品はとにかく気分よく楽しめるラブコメというコンセプトで書きました。こんな学園生活を送ってみたい、このヒロインがかわいい、そんなふうに感じて頂けたら嬉しいです。
――ありがとうございます。最後に海堂さんについて少し伺っておきましょうか。まず、初の印税で何を買いますか?
現状生活が苦しいので、普通に生活費になるだけだと思います。
――なんと夢がない! それ以外はないのですか?
まぁできれば執筆用のノートPCが欲しいですね。もちろんもっと余裕があればHDDレコーダーが……PS3も欲しい! ……面白い作品を書き続けて、もっと印税をもらえるように頑張ります。
――ライトノベルで好きな作品を教えてください。
沢山あるのですが、幾つか上げさせて頂きますと!
沢山あるのですが、幾つか上げさせて頂きますと!!
『さよならピアノソナタ』『越佐大橋シリーズ』『電波女と青春男』『イリヤの空、UFOの夏』『空ノ鐘の響く惑星で』『ROOM NO.1301』『僕は友達が少ない』『侵略する少女と嘘の庭』『とある飛空士への追憶』『ばけらの!』……etc.
まだまだありますが、書ききれないのでこの辺りで!
まだまだありますが、書ききれないのでこの辺りで!!
――小社作品も最後に1作品だけ滑り込ませて頂いてありがとうございます。それでは最後に、GA文庫でデビューを目指す投稿者と、読者のみなさんに一言お願いします。
はい。投稿者の方、是非GA文庫に来てください。一緒にGA文庫を盛り上げていきましょう! 自分たちは第1回ということもあって先輩がいませんでした。ですので後輩ができたら優しく接しようと思っています。後輩といっても作家として同じ舞台に立てばライバルです。お互い切磋琢磨できるような、勢いのある投稿者が来てくれることを期待しています!
それから最後になって恐縮ですが、読者のみなさん、ちょっとHなところも魅力の一つな「りーち☆えんげーじ!」、肩の力を抜いて楽しんで頂けると幸いです!
――追伸、ということで、お気に入りのヒロイン・美妃に「りーち☆えんげーじ!」をPRさせてください。
「いくら私が魅力的だからって、外で読む時にニヤニヤしてると不審者だと思われるから、気をつけなさいよ?」
――ありがとうございました。
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