受賞者インタビュー
第三十三回 04月15日発売「うちの居候が世界を掌握している!」 著者:七条剛さん インタビュー
――よろしくお願いします! さて、さっそくですがこの作品を書こうとしたきっかけをお聞かせください。
普通とはちょっと違った格好よさ、強さを持った主人公を書いてみよう、と思ったのが、最初のきっかけです。
――たしかに応募原稿の段階から、主人公の真哉には、ちょっと普通と違った強さみたいなものを感じました。それでは、GA文庫大賞へ応募しようと思った理由などありますか?
基本的な構成が固まってきた段階で、これはGAさんに応募しよう、って自分の中で決定していました。理屈は本当に何もなくて、単純にそう決めていた、という感じです。
――なんとなくの直感だったと。不思議なご縁ですね。
ただ、選考に通るような作品だとは全く思っていなかったので、応募後は一切選考経過を追いかけてませんでした。なので、受賞のご連絡をいただくまで、実は一次選考を通ったことも知らずにいまして……。
――なんと!? それだと受賞の連絡のときはどんなお気持ちだったんですか。
ご連絡いただいた時、ああ、評価シートの返信用封筒に不備でもあったのかな、とか本気で思いました。でも話が進んでいくうちに、あれ、何か違うみたいだぞ? と。
――(笑) 思い返すと、たしかに受賞の連絡のときなんだか淡々と受け答えしてらっしゃいましたよね。あれはそういうことも関係していたんですか。それから、刊行にあたって編集部と相談したことはありますか?
印象に残っているのは、GA文庫マガジン用に短編を書かせていただいた時のことでしょうか。
――三女の優希がメインの、読み切り短編のことですね。
細かい部分のイメージを伝えるため、某マンガの内容でやり取りしたんです。ここは○○○みたいな感じで、いやこれは□□□でしょう、みたいな。
――ああ、ありましたね。同じ元ネタのなかでも、○○○というよりも□□□といったほうが近い、みたいな話。
自分から言い出しておいて何ですが、ちゃんと通じたので、凄い、よくご存知だな、と思いました(笑)。
――有名な作品でファンも多いですからね。では、今度は応募原稿と現在の原稿の違いなどについてお伺いします。いわゆる改稿です。変更があったポイントはありますか?
いろいろと変更はありました。全体的な流れを見直したり、キャラが増えたり、場面を差し替えたり。でも一番変ったのは、ページ数が応募時の1.5倍になったことでしょうか。
――たしか、最初の打ち合わせで「ページ数がちょっと少なめ」とお伝えしたんですよね。
じゃあ増やそうかな、とアレもコレもと追加していったら、今みたいな枚数になってしまっていました。
――それでも、比較的読みやすいボリュームにしぼりこんでいただきましたね。それから、応募原稿の執筆中に苦労なさったことや、力を注いだポイントなどもお聞きしたいです。
応募時のプロットは、何度か大きく直しました。舞台とか、登場人物とか、最初と応募原稿では全く違うものになっていましたね。そういう意味で、なかなか定まらなかったのが苦労といえば苦労でしょうか。ただ、主人公の設定だけは、最初からずっと変らず生き残っています。
――キャラクターの名前や、設定を思いついたきっかけなどはありますか?
これは基本適当です。ちゃんと名前があるのに使われない、ドン・キホーテだけはちょっと例外かもしれませんが……。
――お気に入りのキャラはいますか?
もちろん、キルマンです。
――もちろん、なんですね(笑)応募原稿を読んだときも「このキャラは作者に愛されてるなー!」とはっきり思ったことを覚えています。(※編集註:キルマンとは本作に登場するナイスミドルなドイツ人紳士のことです)
当初はそれなりに出番があったのですが、改稿している過程でかなり削ってしまったのがちょっと残念でもあります。
――とはいえ、キルマンへの愛はまだたっぷり残ってます! ちなみに、完成した原稿を読んだ編集長の第一声は「キルマンかわええ!」でした(笑) 続いてイラストレーターの希望つばめさんに関してお聞きします。
自分の想像通り、ではなく、想像以上のものを作り上げていただいたことに、ただただ感謝の念でいっぱいです。
――そうですね。作品の世界をより華やかにしてくれる素敵なイラストを仕上げていただきました。作品にこめられた思い、などありましたらお願いします。
テーマは『家族』です。本当にただ、それだけをこめた作品ですね。
――作品を通して、きっと読者さんにその思いは伝わると思います。それから、作品の見所、アピールポイント、こだわりなどもお聞かせください。
主人公や姉妹を含めた、家族の心の機微には特に注力しました。
――序盤から終盤すべてにかけて、心の機微というのはとても丁寧に書かれていますね。
あとは、スマートフォンの新しい(?)使い方、でしょうか。
――たしかに! そこは大きな見所です。それでは、読者さんにむけて一言お願いします。
気軽にお手に取っていただいて、不思議な家族の交流に目を細めてもらえると嬉しいです。
――最後に、GA文庫大賞の応募志望者さんにも一言お願いします。
流行とかそんなものは気にせず、自分の好きなものを好きなように書くのが、遠回りなようで一番の近道ではないかと思います。自分が楽しんでこそ、だと思いますので、共に楽しんで書いていきましょう。
――本日はありがとうございました!
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