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2011年04月28日更新!


第3回GA文庫大賞選考結果発表

 おかげさまで第3回GA文庫大賞は前期446作品、後期573作品、合計1,019作品ものご応募を頂きました。多数のご応募ありがとうございます。ここに第3回GA文庫大賞・優秀賞の選考結果を発表させて頂きます。

大賞
該当作なし
優秀賞
Happy Death Day 望公太
奨励賞
おとーさんといっしょ! 少女とメガネとハイペリオン
(受賞作品「トランスポーターA+」より改題、好評発売中)
中谷栄太
妖怪恋戦 夏希のたね
彼と人喰いの日常 HINEKO
パンピー・ナ・ブラカマン 笠原曠野
フリョーメシア! 初美陽一
双子と幼なじみの四人殺し 森田陽一
期待賞
赤い髪のエデンと暗闇のルー・ヴァルハラ すーた
アテレコ 花花まろん
異郷のおまえら 守紳次
恋のなんたるかを教えてやろうじゃないの 高木幸一

GA文庫編集部編集長 北村州識より

 第3回GA文庫大賞の最終発表です。
 今回は優秀賞が1本、大賞は該当作なし、という結果でした。
 奨励賞受賞作はどれも大変個性的でしたが、読者がひっくり返るほどのパワーを持つ作品は残念ながらありませんでした。
 そのなかでも優秀賞を受賞した「Happy Death Day」は、自殺志願者が主人公&視点人物という非常に難儀な組み立ての話を、個性的なキャラクターと軽妙な会話で読ませてしまう大変勢いのある作品で、全応募作の中でもひとつ抜けた作品だったと思います。

 それでは、以下優秀賞作品について。
「Happy Death Day」
 総評にも書きました通り、自殺志願者が主人公というひねった設定の作品なのですが、現実逃避の手段としてではなく、積極的に、かつ真剣に死のうとする様に共感させられ、最後まで一気に読まされました。
 主人公の自殺を請け負う自殺屋のヨミジ、殺人が趣味でヨミジの知り合いのアン、超能力者のクリクリちゃんなどキャラクターも個性的。自殺を決意してから主人公が巻き込まれる事件、親友である不破との交流やお互いの気持ちなど悲壮なところがなく、あっけらかんと、だが真剣に死に向かって生きていく、そんな主人公の物語がよく書けていたと思います。
 ラストのしてやったり感とともに、主人公の誠実な、でも茶目っ気のあるキャラクター性がもたらす題材とは裏腹なさわやかな読後感が非常に印象的な作品でした。

 


Happy Death Day
著:望公太

あらすじ
「はじめまして、自殺屋です」
 ヨミジと名乗るその男に、昨日俺は自分の人生を終わらせるの手伝いを頼んだのだ。
 料金は10万円。
 ただし、条件がひとつ。
「必ず遺書を書いてください。遺書を書かない場合は、料金は百倍の一千万円になってしまいます」
「どんな商売だよ」
「それから、どんな死に方がよろしいですか?」
「痛くないので頼む」
「わかりました。では自殺は一週間後ということで」
 こうして俺の最後の一週間が始まった。
 はずなのだが。
 いきなり初日から殺人鬼の女に追い掛けられるってどういうことだ!
「おい! ヨミジ! 説明しろ!!」
 はたして俺は無事に死ぬことができるのだろうか!?

選評
 読み始めてすぐ、死ぬ事を望み、自身の選んだ“人生の終わり”に向かって突き進む主人公・紫堂に驚かされます。「積極的に死にたいと願う主人公に、一体どんな結末が待っているのか」、そう考えて読み進めるうちに、見事に作品に引き込まれてしまいました。時に真剣に、時に軽く楽しめるノリを醸し出しつつも自分の信念に真っ直ぐな紫堂の生き様は、大いに共感することができたと思います。
 また、自殺屋を名乗り、他者の自殺を手伝う事を生き甲斐とするヨミジや、人を殺すことは趣味にして生き甲斐であると言い切るアンなど、キャラクターがみな各々の人生哲学を持ち、作品内で強い個性を主張し合う様は読んでいて、物語世界に強い憧れを掻き立てるものがありました。


おとーさんといっしょ! 少女とメガネとハイペリオン
著:中谷栄太

(受賞作品「トランスポーターA+」より改題、好評発売中)

あらすじ
 珪素生物と彼らの「円卓政府」が統治する地上で「運び屋」をしている人間リュウは、ある夜、騒動に巻き込まれる。
 荷物の届け先だったはずの相手は殺され、リュウ自身も謎の敵に襲撃され、おまけに運んでいた荷物から出て来たのは、珪素生物の少女――!?
「ほら私おとーさんの娘で、相棒で、将来的にはお嫁さんでしょっ?」
「娘ではないし、お父さんでは断じてない。そして、そんなろくでもない将来の計画を立てた覚えもない!」
「これから立てさせてみせるもん!」
 なぜか自分のことを父親呼ばわりし、懐いてくる少女ルーに困惑するリュウ。奇妙な同居生活が始まるが――?

選評
 押しかけヒロインであるルーと、主人公であるリュウのやりとりの面白が高く評価されました。サブヒロイン陣も魅力的。
 一方で、キャラクターの関係性を相似させることでの対比の妙や、二転三転する展開も面白く感じました。
 珪素生物やハイペリオンといったキーワードに象徴されるSF的な世界観も、うまくストーリーに活かされていました。


妖怪恋戦
著:夏希のたね

あらすじ
 幼い頃、妖精に掛けられた恋の魔法で異性にモテモテの影森和樹。
 だが周囲にいるのは、大金持ちで武装した黒服を従えている座敷童・大鐘童華や巨乳でちょっとエッチなエッチなアイヌの歌姫妖怪・北浦温子。
 さらには、電話につられて振り向いた人を殺してしまうという都市伝説の主・メリーさんなど、美少女だけど人外のものばかり。
 しかも彼女達が人目を憚らず迫ってくるせいで、和樹は美少女妖怪と三角関係を繰り広げる男という悪名が広がってしまい、和樹が密かに想いを寄せるクラスメートの尾崎藻夜との仲はちっとも前に進まない。
 そんなある日、彼女を巻き込む重大な事件が勃発し……。
 果たしてその結末は!? そして和樹の想いの行方は!?

選評
「異性にモテモテになる魔法」。正直これだけでも十分に期待して読んでしまう作品ではありましたが、童華や温子が「浮気禁止」という魔法に課された条件を活かして和樹と既成事実を作ってしまえと、積極的にアプローチを仕掛けてくるのは強烈でした。また、和樹と同居しているのに電話でしか会話をせず、姿を決して見ることはない都市伝説のメリーさんや、開口一番「俺は人妻にしか興味ない」と宣う同級生の五藤宗司など、キャラクターがみな生き生きとしているのも魅力です。


彼と人喰いの日常
著:HINEKO

あらすじ
 このままじゃ殺される!
 夜の河川敷で、暴行を受けながらそう思った十夜の頭に、声が響いた。
「助けよう。わしと契約さえすれば、じゃが」
 だが暴行していた少年達を“喰って”しまうことで十夜を助けたその少女は、巨大な狼の姿を持つあやかしだった!
 にぃっと嗤う姿が印象的なその少女は黒衣(クロエ)と名乗った。
「月に一度、わしに人を一人喰わせるのじゃ。……もっとも、捕まえてわしの前に連れて来る必要はない。誰それを喰ってよい、とわしに許可をくれるだけで良い。それでわしはそいつを喰ってこよう」
 契約の証として、月に一度黒衣が喰らう人間を選ぶことを要求された十夜。
 それは彼にとって新しい日常の始まりでもあった。

選評
 ヒロインである黒衣の、人を平気で喰ってしまうのに気品があって、少し世間知らずな受け答えをするというギャップに強い魅力を感じます。また、少年たちを目の前で“喰って”しまいつつも、「確かにあの三人を殺したのはわしじゃが…………殺させたのは主であろう?」と責めたり、契約の代償として毎月殺す人間を指名させるなど、主人公・十夜を心理的に追い込む様が見事で、先の展開が気になり飽きがきません。
 ラスト近くで十夜が下す決断には、強い衝撃を感じましたが、読み終えてみればすっきりとした読後感を持ちました。真剣かつ、共感出来るドラマになっていると思います。


パンピー・ナ・ブラカマン
著:笠原曠野

あらすじ
 肩胛骨まで届く金の髪。モデルばりの長い足。
 そして、天海亜弓はおっぱいも大きい。
 がしかし……。そんな彼女の右拳に光るのは銀色のメリケンサック!?
「てっ、てめえも『ブラカマン』か!」
「またそれかよ! いいか?『能力』を使うのは今日が最後。明日からだ。明日からあたしは生まれ変わってやる!」
 スナップの効いた亜弓のパンチが炸裂するとき、彼女の特殊能力『ブラカマン』は発動する。
「……高校入学早々、遅刻はするわケンカはするわ、なにをやっとるんだ、あたしは……こんなはずじゃなかったのに」
“普通の女子高生”を目指しているのに、『ブラカマンバトル』に巻き込まれてしまう亜弓の明日はどっちだ!?
 胸もデカけりゃ態度もでかい、ちょっと残念な女子高生達のチートバトルストーリー!!

選評
 個性豊かな登場人物たちや、テンポ良いドラマ展開など評価されました。
 黙っていれば美少女なのに、残念なくらい拳で語る女子高生達のバトル――。
 物語の軸は、『ブラカマン』能力を使った異能者バトルなのですが、
 バトル多めの割に、登場人物達の掛け合いであったり、それぞれの関係性であったりがとてもコミカルに描けていたのが好印象でした。
 特にメインの亜弓の“普通にしたい”のに残念な女子高生ぶりが本当に残念で、それをきちんと面白さに繋げているところなど良かったです。


フリョーメシア!
著:初美陽一

あらすじ
 荒鞍悠馬(あらくら・ゆうま)は日夜フリョーを目指している高校生である。
「荒鞍くん……あたしさっきの授業、ノート取りそびれちゃったんだけど……」
「ボーっとしてっからだろうが! チッ、仕方ねーから、これ写しやがれ! 今日中には返せよ、コラァ!」
 だが、生来の真面目な性格が災いし、周りから全く不良と認めてもらえないどころか「いい人」「優等生」などと思われているのが悩みのタネだ。
 そんな彼にも、ついに不良仲間ができる日がやってきた!
「よぉし、じゃあテメーはこれから、俺の舎弟だ! 決定な!」
「姫子、男の子じゃないですよーぅ……」
「……じゃあ、舎、妹……? 舎妹(しゃまい)だコラァ!」
「ちょっと、どういうことなの!? だ、だったら、私だって荒鞍くんのチームに入るわよ!」
「いや、委員長が不良なんて聞いたことねーよ。自分が何言ってるかわかってんのか?」
「わかってるわけないでしょ! いいから黙って認めなさいよ!」
 なぜかおかしな女子ばかりが集まってくる、悠馬のフリョーライフの行方は!?

選評
 どこかズレたキャラクターたちが織りなす、勘違い系青春ラブコメディとも呼べそうなコミカルさが楽しい作品でした。
 主人公を取り巻く幼馴染みの真理亜、舎妹の姫子、学級委員長の朱里といったヒロインたちも魅力的。
 またバカ話をやりつつも、最終的な物語の着地点は読み手の期待を外すことなく、読了後の満足感の高いものに仕上がっていました。


双子と幼なじみの四人殺し
著:森田陽一

あらすじ
 高校一年生、菱川迷悟(ひしかわめいご)は、幼なじみな双子の少女、新山一縷(にいやまいちる)と新山朽縷(にいやまくちる)と同居していた。
「迷悟、一緒にお風呂入ろー」
「一緒には入らねーよ」
「迷悟、一縷とばっかり遊んでないで――たまには私にも構ってくれないか」
「な、なんだよ……」
 性格の異なる美しい双子に翻弄されながらも、平凡な日常を送っていた迷悟だったが、ある日、三人は学校で飛び降り自殺の現場に遭遇する。
 その自殺に関して一縷は、つき落としたやつが見えたという。
 正義感の強い、いや、正義感が強すぎる迷悟は、事件を傍観することができなかった。――学校のアイドル、グッズ販売、そして交際を賭けた決闘……。愛憎が交錯する事件の果てにあるものは!?
「幸せになる覚悟はある?」
「どういう意味ですか?」
「人を殺しておいて尚、幸せになりたいと思えるかってこと」

選評
 まずキャラクターが高評価でした。ヒロインである双子の二人に、魅力があるのは当然として、事件に関連する様々なキャラクターの関係性、性格とその行動、その壊れかた等も素晴らしく、作品を奥行きのあるものにしています。
 ストーリーも、二転三転し、先が読めない展開が評価を集めました。錯綜する事件、彼らの過去の経緯等、続きを読ませる“戦闘力”に優れていた作品でした。

 

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画:尾崎弘宜

2012年07月07日公開







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