
2008年10月31日を応募締め切りとする、第1回GA文庫テーマ大賞(前期)には131作品のご応募をいただきました。
ご応募いただいた皆様に心より御礼申し上げます。
第1回テーマ大賞前期審査の結果を、ここに発表いたします。
なお、今回優秀賞候補、奨励賞には至らなかったものの、選考上で評価の高かった作品を期待賞受賞として発表させていただきました。
■2008年前期
テーマ「ラブコメ」
キーワード「春」「駅」「謎の少女」
評価シートの希望者には、順次発送させていただく予定です。
◆ ◆ ◆
| [期待賞]受賞者一覧【4作品】 |
| 望月裕記 |
マジック☆ディザスターは唐突に! |
| 川辺顕治 |
全自動回転鋸恋愛白書オドデレ |
| 雨夜静流 |
恋は異なもの変なもの |
| 葦谷歩 |
ドンカン超特急 |
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■GA文庫編集部編集長 北村州識より
第1回テーマ大賞前期へのご応募ありがとうございます。
短編、しかもいろいろ縛りあり、ということで、編集部としましては「本当にこんな難しい賞に応募してくれる人いるんだろうか」と戦々恐々だったのですが、結果としては130を超える多数の作品が集まり、うれしいやら驚くやら。
さて、全体を通しての選評ですが、テーマが難しすぎたのか、応募作のどれもが苦戦している印象でした。以下ひとつずつ解説をば。
まずキーワード。
単に使うだけであれば、それほど難しくありません。“駅”も“なぞの少女”も“春”も「駅で知らない少女に会った。桜が咲いていた」くらいでクリアできちゃいます。
こちらとしては、内容にきちんと組み込み、かつオチと絡めたりヒネったりしてくれるとうれしかったのですが、それはある種理想型なので、今回の選考では考慮に入れていません。純粋に単語として、またはそれを意味する“なにか”が作中に登場すればそれでよし、としています。
その意味では、解釈の余地を広めに取った設定です。
まあ結果としてシチュエーションの似た作品がいくつか見られましたが、そもそもキーワードで場所と時間とキャラクターについて指定しているわけですから、そんなの当たり前。
ただ、そこが似てきがちなだけに、素材としてのキーワードをどう料理するか、というところが問われるわけで、その意味ではクリアのための必要条件を満たすのは容易だが、そこから抜けるための難易度は高い、と言えるかもしれません。
ここはほとんどの応募作がクリアしていたと思います。
問題だったのは、テーマである“ラブコメ”。
実はコメディって非常に難しいのですが、それ以前にコメディを意識していないような作品が多く見受けられました。
代わりに目立ったのが、いい話。
いや、別にいい話はそれ自体ダメではありませんが、いい話を仕上げることに夢中になりすぎて、そこに至るまでの過程の部分で読者を楽しませることがおろそかになっているケースが非常に多い。
コメディである以上、惜しみなくネタをつぎ込み、できるだけ間を空けずに読者を楽しませなければいけません。そしてそのためには、“読者を飽きさせてはいけない”という意識を常に持ち、そこに書かれていることが読者にどのように受け取られるかを冷静に判断することが必要となってきます。
そういう中、書きたいことを書きたいように書いている作品や、あとでいい話になるから今は我慢して、みたいな構成になっている作品は、その時点でアウトです。
今回多くの作品がこれで引っかかっています。結果からすると、ちょっと難易度が高かったかもしれません。
それに加えてラブ。ラブコメである以上恋愛感情は絶対に必要なのですが、そのためには魅力的なキャラクターをしっかりと立て、読者を彼または彼女、さらには二人の関係性に引っ張り込む必要があります。その意味でも、全体に弱かった。
まあ「魅力的なヒロインをいっちょお願いします」と言われてパッと作れるのなら誰も苦労はしません。「キャラクターをもっと魅力的にしてね」というだけで終わるのはあまりにも不親切なので、ここで自分なりの原則を書きます。
キャラクターは、他のキャラクターとのやり取りを通じて厚みを増し、魅力を発揮するものです。どんなにいろんな設定を入れ込んだとしても、それが発揮されるのは他者との関わりやイベントに対する反応です。スタンドアローンのキャラクターを完全に否定するつもりはありませんが、その状態でおもしろい話を作るのは非常に難易度が高いと思います。ていうか、ラブコメの主人公が孤高のヒーローってのはいかがなものかと。いや、孤高の主人公を何らかの理由でヒロインがいじり倒す、ならアリだと思いますが、それもいじり倒している時点で“孤高”ではありません。“孤高という属性を持ったキャラクター”がヒロインとの関係性を通じてコメディをやっている、となります。
話を戻しますが、“お互いを引き立て合うような関係性の構築”と、それが発揮されるような話の流れ、というものを考えないと、なかなかキャラクターが魅力的になりません。そして今回、そうしたキャラクターをどう立て、どう絡ませるとおもしろくなるか、といった部分で詰めの甘い応募作が多かったように感じます。ちなみにこれは別にラブコメに限ったことではないので、次の作品を書くときに少し考えてみてください。
というわけで選考の結果ですが、残念ながら今回は奨励賞以上の該当作品はなし、ということになってしまいました。
キーワードもきっちり入れ込み、テーマに即して書いていただいた皆様、本当にごめんなさい。選んでいる自分たちも心苦しいのですが、選考は選考。どうかご理解ください。
とはいえ、惜しい作品もいくつか見受けられましたので、それにつきましては期待賞ということで、ささやかではありますが編集部より記念品を贈呈させていただきます。
今回選外となった人も、期待賞を獲得した人も、今後の精進とまたの応募を心からお待ちしております。
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◆ ◆ ◆
【あらすじ】
高校の入学式を三日後に控えた烏丸京一は、朝起きるとなぜか女の体になっていた。前夜に姉の亮子から「烏丸家は魔法使いだ」と聞かされていたのだが、いつ魔法を使われたのかがわからない。
パニックに陥った京一が亮子から知らされたのは、変身の原因が魔法であること、そして魔法とは魔力を蓄積した特定のヒトやモノを媒介として、特定の条件が整えば発生する、災害のようなものであることだった。ちなみに京一を変身させた原因は「京一が駅弁を食べる」という馬鹿馬鹿しいものだという。
魔法の効果が切れるまで自室でおとなしくしていようとする京一だったが、折悪しく友人の雅人と幼馴染みの茜がやってくる。亮子によって、京一の従姉妹・京香として二人に紹介されてしまった京一は、なぜか二人と一緒に買い物にいく羽目に陥る。その道中で、茜に好きな異性がいると察する京一。京香(京一)の正体を見破る雅人。一方、茜は京香と京一の仲を疑い始める始末。
その夜、亮子は京一に新たな仕事を与える。女性に変身している時の京一は、他の魔法の影響を歪め、また自分は影響を受けにくいという。その特性を活かして、最近近所で悪影響を与えているらしい魔法の発生源を捜してこいというのだ。
京一は近所の桜が魔法の発生源であることを見つけるが、そこへ京香を追いかけてきた茜が登場。茜は京一の特性によって歪められた桜の魔法の影響を受けてしまい、京一に対して抱いている恋心を告白したあと気絶してしまう。一方、桜の魔法も、京一が触ったことでキャンセルできた。
三日後、無事に男の姿を取り戻した京一は、茜・正人とともに学校へ向かう。魔法のことは、さておいても、これから新しい生活が始まるのだ。
【選評】
短い話の中でキャラクターがしっかり立っており、楽しく読み進めることができました。ただサブキャラの雅人については、存在が少し中途半端だったので、もう少しストーリーにからめたほうがよかったかもしれません。
また序盤のインパクトに比べて、その後の展開はよくまとまってはいるものの、ありがちなものとなってしまった印象です。もうひとひねりがほしかったところです。
とはいえ、軽快にテンポ良く進むストーリーには、ラストまで飽きさせず一気に読み進めさせる力を感じました。
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【あらすじ】
内気で小柄な女子高校生・円小夜は、子どもの頃から好意を抱く剣道部員の橘和真と、未だに幼馴染みの親友以上恋人未満の関係である。
ある日彼女は、自宅の蔵で父が使っている大型チェーンソーを見つける。それは20年前に愛する女性に告白できないまま事故死した男性の魂が憑依した、ラブコメが大好きなインテリジェンス・チェーンソーだった。
小夜の心と記憶を読んで和真への想いを叫びはじめたチェーンソーを恥ずかしさのあまりに持ち上げた小夜だったが、すると今度は自らの口が勝手に動き出して、和真への愛の告白を語り始めてしまう。
そして、自分が成仏するには、小夜と幼馴染・橘和真とのラブコメ展開を見て、自らのラブコメメーターを満たす必要があると言い出すチェーンソー。かくして強引このうえないチェーンソーの説得(と小夜の秘密をバラすという脅迫)により、小夜は引っ込み思案なりに和真とのラブコメ展開を目指すことになる。だが、どうしても自分の気持ちを表に出せず、幼馴染み以上の関係にはなれない。むしろ告白することで今の関係さえもが壊れてしまうことを恐れ始めてしまうのだった。
そんなある日、和真が剣道の大会に出場することになった。応援にいくことを約束していた小夜だが、当日の彼女はひどい風邪を引き寝込んでいた。うまく告白することもできず、応援の約束さえも果たせないことに沈んでいた小夜だったが、チェーンソーとの会話を通じて迷いを吹っ切り、大会の会場に向かうことを決意する。
チェーンソーをぶん回し、人込みをかきわけて観客席へと達する小夜。強制的に告白させられてしまうチェーンソーの特性を活かすことで、小夜は和真への想いを、大きく叫んで伝えることができたのだった。
【選評】
ノリと勢いの良さ、設定のインパクトに魅力を感じた作品です。
ただ、「強制的に告白させる」というチェーンソーの特殊能力の印象が薄く、クライマックスの展開がわかりにくかったのは難点です。また、せっかくのチェーンソーですから、彼がチェーンソーとして活躍するシーン(特殊能力ではなく)も見たかったところです。剣道大会の会場で小夜が告白する必然性があまり感じられなかったところも、展開的に少し強引かもしれません。
一方で、チェーンソーと小夜のやりとりはインパクトがあり、楽しませてもらいました。ヒロインの小夜がけなげで可愛いのも好印象ですし、最後にちょっとしんみりさせる展開にも光るものを感じました。
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【あらすじ】
高校生の檜山タカスミは、駅前のコンビニで段ボールに入った謎の美少女を見かけた。だが、成り行きで連れ帰ることになった、その金髪碧眼幼児体型の美少女=りりるは、実はサキュバスのたまごだった。
りりるはサキュバスの認定試験に合格するため、自分の体型を活かせるヲタの国ニッポンにやってきたという。だが、天使と悪魔のハーフである彼女は邪気に乏しく、かつて天才霊能少年と言われたタカスミ以外の目には映らない。かくしてタカスミに猛アタックを仕掛けるりりるだったが、幼女趣味のないタカスミの鉄壁の守りに撃沈。最終的に、二人はりりるのために他の霊能力者を捜すことにする。
そんな折、二人は心霊研究会のメンバーであるという夜野美月と知り合う。集会に誘われた二人はそこで代わりのターゲットを得ようと目論むが、計画実行前に些細なことからケンカをしてしまい、りりるは一人で集会場所に向かってしまう。
結局りりるのことが心配になって後を追ったタカスミだが、そこでは別の儀式が行われていた。美月たちは、極秘裏に悪魔狩りを楽しむ天使の集団だったのだ。今にも処刑されそうになるりりるだが、ハーフである特性が奏功し、またタカスミの活躍もあってなんとか逆襲・脱出に成功する。
無事に帰宅したタカスミとりりる。だが、結局「男を籠絡してしゃぶり尽くした挙げ句ゴミのように捨てる」という課題の期限には間に合わなかった。
約一ヶ月後、タカスミは再び段ボールに入った少女を見かけてしまう。今度こそ関わり合いになるまいとするタカスミだったが、来年の試験に向けて一年がかりで彼を籠絡すると宣言するりりるに、結局とりつかれてしまうのだった。
【選評】
設定やキャラの配置などは定番なものの組み合わせという印象ながら、面白く読むことができました。ただ全体としては、よくまとまってはいるものの、それ以上のものではないという印象を受けたのも事実です。スク水やメイドといった萌え要素も盛り込まれているのですが、使い方が通りいっぺんで意外性に欠けていたのは残念です。また敵キャラである美月はもう少しキャラを掘り下げてほしかったところです。
ストーリーの起承転結はしっかりしており、少ないページの中で主要キャラの内面を掘り下げながら、他のキャラとからめることで物語に深みを与えることに成功していると感じました。
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【あらすじ】
高校卒業を間近に迎えた主人公は、ある日、不思議な駅に迷い込む。そこで出会った駅員の少女は、戸惑う主人公に、この駅は乗客に「夢を見せる」かたちで恋愛シミュレーションを行う場であることを伝えるのだった。
乗客が持ち寄るのは、記憶が凝縮された「切符」。これを使って列車に乗り、現実での恋愛に活かせるよう、仮想空間で恋愛経験を積むのだという。主人公は、駅員少女に追い立てられ、シミュレーションが成功すれば、それをそのまま現実に置き換える力を持つ「超特急」に乗る。
それから主人公は、クラスの委員長、図書室の司書、部活の後輩、妹など、気づかないうちに主人公に好意を持ってくれていた人物との「切符」を使い、ひとりずつシミュレーションを行っていく。だが、いつも肝心なところで失敗してしまい、切符を無駄にしてしまうのだった。
いっぽう、失敗を繰り返していくうちに、主人公はあることに気づく。それは、シミュレーションの相手が誰であろうと、どこかに必ず幼なじみが登場することだった。そのことを意識した瞬間、主人公は、自分が本当に想っていたのがその幼なじみなのだと悟る。
しかし、気づいたときにはすでに遅く、主人公は「切符」をすべて使い切ってしまっていた。駅員の少女が特別に「切符」を発券してくれるが、幼なじみに告白しても答えはNOだった。
諦めきれない主人公に、駅員の少女は「もう一度列車に乗れますよ」と告げる。手元の切符は、いつしか「往復切符」に変わっていた。
主人公が乗っていた列車は「超特急」ではなかった。主人公は普通の列車に乗り込んでその駅をあとにする。そして現実世界の列車のなかで目覚めたとき、隣には幼なじみの姿があった。
駅員の少女と過ごした夢のような時間は覚えていなかったが、少しだけ変わることのできた主人公は、幼なじみにきちんと想いを伝える決意をするのだった。
【選評】
物語の舞台や設定はどこかで見たことがあるという範囲を出ないものでしたが、ヒロインやキャラクターが生き生きとしており、魅力的でした。特に駅員の少女がフラグを立て損なった主人公に「脱線しました」と告げたり、「いざとなったら駅員さんを選ぶという手も」と発言した主人公に「お客様と私の切り離し作業を開始いたします」などとあくまで駅員口調に徹しつつ会話するところが、とてもおもしろかったです。
そのいっぽうで、主人公のいる「駅」や「切符」についての状況説明がうまくいっておらず、わかりにくく状況などが掴みにくいところがありました。ストーリーも、「切符」での経験を踏まえて幼なじみの少女に告白、成功するところまで見せてあげたほうがよかったのではないでしょうか。いずれにしても、光るところがあると思いますので、弱点を補って新たな作品を送ってください。
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◆ ◆ ◆
| 一次選考通過者一覧【29作品】 |
| ごじょ |
惑星防衛機動両 ライナックα |
| ごじょ |
ふぁんとむ・ている |
| 法目ジュン |
ノロイ×少女 |
| 田中広 |
悪魔か天使か |
| KG |
Harukano -ハルカノ- |
| 樋口ひでき |
憧れの人は侵略者 |
| 久河もえ |
舞いやがれ! 桜吹雪 |
| 浅葱生 |
420円のカレー |
| 望月裕記 |
マジック☆ディザスターは唐突に! |
| HINEKO |
電車の恋と駅のユウレイ |
| 半べそ |
駄ベクトル |
| 曲屋験吏 |
破壊神は恋愛す? |
| 境康隆 |
アストラル・キス |
| 川辺顕治 |
全自動回転鋸恋愛白書オドデレ |
| 青戸城 |
イッツ・ア・スモールワールド |
| 黒羽十六 |
急行『もがり』 |
| 雨夜静流 |
恋は異なもの変なもの |
| 徳田武威 |
青春戦士! ナイトレディ |
| 近衛彼方 |
超重戦隊 メタボリオン |
| 埜之月乃々 |
愛と復讐のダダス |
| 雨宮れーじ |
佐藤さん |
| 上田不伝 |
憂き身の悪魔屋さん |
| 平田純己 |
地球を守ったそのあとに |
| 大桑原紅絹乃守絹実 |
ランプの精霊はワガママ |
| 往城瑞希 |
はるかな |
| 葦谷歩 |
ドンカン超特急 |
| 彩月くう |
雪娘風雲記 ~お嫁さんの条件~ |
| をばた進 |
春を取り戻せ! |
| 溝野まこも |
パンドラが微笑むまで |
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※敬称略・50音順
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