神曲奏界ポリフォニカ
ロマンティック・クリムゾン
著:榊一郎
画:神奈月昇
 はじまりは些細なことだった。バスから見かけた自然公園の前を歩く美しい少女-シェルウートゥと、彼女に心奪われた少年-カティオム。ようやくたどり着いた2人の関係は、その公園の前でときどき行き会って5分ほど会話を交わす、それだけ。
 惹かれているのに、どうしても手の届かない少女。素性も住んでいるところも、何も教えてくれない。

「彼女のことをもっと知りたい」

 少年が意を決してフォロン達の事務所の戸を叩いたとき、それは精霊と人間の関係をあらためて問いかける、事務所のメンバーにとって他人事ではない重要なできごととなった。