受賞者インタビュー
第十回 4月15日発売「這いよれ! ニャル子さん」 著者:逢空万太さん インタビュー
――まずは小説を書き始めたきっかけを教えてください。
書き始めたのは高校一年生の頃だと思います。ちょうど「ブギーポップ」が発売された辺りですかね。それまで小説といったら国語の教科書に載っているものしか読んでいなかったので、こんなコミックみたいな小説もあるんだと衝撃を受けました。ちなみに初めて買ったライトノベルは「狂科学ハンターREI」です。他社ですねそうですね。
――いや、別にいいですけどね。そのころウチのレーベルありませんでしたし(笑)。ちなみにこれまでの投稿歴はどのくらいですか?
投稿歴は実は今までで三回。今回を除くと二回ですね。電撃さんの長編とhp短編。長編は二十歳の女子大生と七歳の女の子のラブロマンスを書いたらあっさり一次で落ちました。hp短編は末期癌の女子高生と美大希望の女子高生のラブロマンスを書いたら三次くらいで落ちました。十年間で三回……だと……。
――しかも二回は百合モノ……!? えー、そんな作風(?)からうってかわって「這いよれ! ニャル子さん」を書こうと思ったきっかけは?
投稿作のきっかけは、そろそろ一つくらい完成させないとやばいんじゃね? と自分の中のズカウバ局面が告げていましたので、今までのなぁなぁな執筆スタンスから決別する為に一念発起した次第です。
――なるほど。実際に書き上げてみて、どうでしたか?
難産でした。持続力(not性的)が極端にない人間なもので、ちょっと書いては長時間お休みして、を繰り返していた気がします。あとスタートダッシュが上手く切れない人間でもあるので……あれ? 作家として致命的じゃね?
一番の障害は真冬の寒さでしたというオチ。
――これからペースが上がっていくといいですね(真顔)。ちなみにGA文庫大賞に本作を応募しようと思ったキッカケは?
じつは書店で働いているのですが、GA文庫からですね、書店に送られてくる注文FAXがあるんですよ。そこでマンタ郎君とレインちゃんがものすごくぶっちゃけた業界話をしていたのに感動しまして。
そんなわけで、ここなら多少無茶なものを送っても許されるだろう、という考えに至りました。まあ正解だったわけですけど! マンタ郎君とレインちゃんに人生変えられたと言っても過言ではありませんね。
――なるほど、そんな縁が……。そんな感じで応募された本作ですが、受賞したあとで、やっぱりたくさんダメ出しされたんじゃないですか?
それが……その……特に変わってね、ないんですよ……? 他の新人作家さんのあとがきとかを読んでも、何回リライトしました、とかいっぱい書いてあって、そうだろうなぁと思って受賞後もしばらく恐々としていたんですが……ちょっとシーン追加して、誤字脱字を直しただけで、そのまんまです。いいんですか? もう出ちゃいましたよ?
――担当者が横で深く頷いているので、いいのでしょう(笑)。さて、元ネタについてですが……。
まんまクトゥルー神話です。こ、これ以上何を語れと言うのですか! ちなみに元ネタに選んだきっかけは……ほら、アーサー王が女体化してエロい事やったり三国志の英傑が女体化してエロい事やったりする昨今の日本なんだから、コズミックホラーをコメディにしてもいいじゃない! という事で一つ。異論は認める。
――特にお気に入りのキャラなどはいますか?
そもそも極端に登場人物が少ない作品なので全員ではありますが……狐印さんのイラストを拝見して一目惚れしたのが主人公の真尋君です。もともと「いいお嫁さんになれるタイプ」を意識していたので、そのものズバリなデザインは心の琴線に触れまくりです。ちょっと道を踏み外しそうですよボキは。
それと、白眉は何といっても後半のニャル子の真の姿……おっと、ネタバレは厳禁だねスティンガー君。そうだねコーウェン君。
作品をかくうえでこだわったポイントなどはありますか?
コズミックホラー愛好家の方々からは「日本終わった」とか言われそうだし、何も知らない方は置いてきぼりな拙作ですが、読後感がよい事を心がけました。それがGA文庫の理念にも繋がっていると思うので。
――確かにコズミックホラーが元ネタとは思えない爽やかな読後感、と言えるかもしれませんね。では、作品の見所・アピールポイントをお願いします。
やはりヒロインであり主人公のニャル子でしょうね。同じく主人公でありヒロインの真尋との掛け合いがこの作品の命です。
アピールポイントやこだわりというほどではないんですが、物語の根幹からして二次創作というか元ネタありきなので、「そんなら徹底的にパロディで通してやるわー!」と割り切りました。至るところに、クトゥルー神話に限らず小ネタを散りばめておきましたので、探してみると面白いかも。総じて対象年齢が高い小ネタではありますが!
――ハマると破壊力の大きいネタが満載だと思いますが、わからなくてもちゃんと楽しめるのは本作の強みですね。さて、最後に読者に一言おねがいします
電車に揺られながら。勉強の合間の息抜きに。アフタヌーンティーのお供に。そんな時間に読んでクスリとしていただければ望外の喜びです。まだまだ至らないところがございますが、日進月歩で精進しますのでこれからもよろしくお願いいたします。
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