受賞者インタビュー
第二十六回 9月15日発売「Happy Death Day 自殺屋ヨミジと殺人鬼ドリアン」 著者:望公太さん インタビュー
――では、恒例の新人賞受賞者インタビュー。今回は望公太さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。「面白いことを言おうとして逆にスベった」みたいにならないように頑張ろうと思います。
――まず、この作品を書こうとしたきっかけを教えてください。
この小説を読んで、みなさんにもう一度『命の尊さ』について考えて欲しい――ってことではもちろんありません。
――ありませんか(笑)
ありませんよ。そんなハートフルヒューマンストーリーじゃないですから。
――ですね。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、この作品はむしろそういう道徳や倫理の逆を行ってるような気がします。
まあ『自殺はよくない』とか『命は尊い』とか、そういうのがテーマになってる物語は世の中にいくらでもあると思うので、僕がわざわざ書くこともないよなあ、と思い、受賞作のように真面目に悪ふざけしたものを書いてみました。
――受賞作の執筆時、苦労したポイントや力を入れたポイントはありますか?
特にないです。悪ノリと勢いでできた小説だと言っていいでしょう。
パッと思いついて、ガッと書いたら、ポンッとできました。
実は、この作品が生まれて初めて書いた小説だったりするんですけど、今まで書いた中で一番苦労しなかった気がします。
――受賞作は処女作だったんですか。……あれ? でも望さんは、この作品が受賞するまで、あちこちに他の作品を投稿されていたようですけど?
はい。受賞作は、完成してからしばらくお蔵入りにしてましたから。
――それはまたどうして?
こんなん売れるわけがねー、って思ったからです。いや、僕としては面白くできたつもりなんですけど、ただ、最近のラノベ市場には合ってない気がしたんです。
この作品って、ラノベとして色々と終わってますから(笑)
主人公が自殺志願者だわ、ヒロイン不在だわ、って。
――確かに最近の流行とは違うかもしれませんね。恋愛よりは友情の話になってますし、それに女性キャラも出てきますけど、ヒロインって感じはしませんし。
で、どこにも投稿するつもりはなかったんですけど、ある日作品を読んでくれた友人が「これ、面白いよ。せっかく書いたんならダメ元で投稿すれば?」と言ってくれたので、じゃあ投稿すっかーと思い、GA文庫へ。下読みがないGA文庫だったらもしかしたら……! と思ったのです。
――そのもしかしたらがあったんですね。だったら、受賞の電話が来たときは驚いたんじゃないですか?
めちゃめちゃ驚きましたね。電話口で「やったー! ありがとうございます!」ではなく「本当にいいんですか……? どうなっても知りませんよ……」と言ったことが記憶に新しいです。
――それも今回唯一の優秀賞ですよ。
驚愕も驚愕でしたね。望公太の驚愕です。
僕としては『バクマン。』の七峰くんのように「この作品は面白い。しかしこの作品に賞を与えたらGA文庫がGA文庫ではなくなってしまう。賞は与えないが、著者に連絡を取り、もっとGA文庫に合ったものを書かせろ」みたいな展開が理想だよなぁ、と思っていたので……。
まさかこの作品がそのまま出版されるなんて……。
現実が理想をはるかに凌駕しました。
――刊行にあたって、応募原稿から変更があったところはありますか?
特にないですね。誤字脱字直したぐらいです。
先程も言いましたけど、この作品は色々とラノベとして変わっているので、僕は「女性キャラ増やさなきゃかなぁ」とか「ラッキースケベ入れなきゃかなぁ」とか悶々としていたんですけど、最初の打ち合わせで「一巻これでいいから二巻書いてー」と言われて唖然としました。
――それでは、この作品の見どころやアピールポイントを教えてください。
絶対にアニメ化もドラマCD化もしなそうな作風を楽しんでもらえれば幸いです。
メディアミックス? なにそれ、おいしいの?
あとは、晩杯あきら様の超美麗なイラストが最大の魅力ですね。
この人のイラストはオーラがマジぱねえっす。
ラノベ作家は絵師にイラストを描いてもらうことがモチベーションのひとつ、と聞いたことがありますが、その気持ちがよくわかりました。
できるだけ長くシリーズを続けて、晩杯様にいっぱいイラストを付けてもらいたいです。
――その晩杯あきら様に今作の個性豊かなキャラクターを描いてもらったわけですが、特にお気に入りのキャラなどはいますか?
やはり自殺志願者の主人公、シドですかねー。書いていてすごい楽しいキャラでした。
残念ながら表紙写真撮影日には欠席してしまったようですけど、この作品は彼の彼による彼のための――そして彼だけの物語です。
――最後に、GA文庫大賞応募志望者に一言どうぞ。
GA文庫初の大賞に輝くのはきみだ!
――ありがとうございます。面白いことを言おうとして色々とスベっていた望公太さんでした。
Σ(゚Д゚)
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