受賞者インタビュー
第三十六四回 10月15日発売「男子高校生のハレルヤ!」 著者:一之瀬六樹さん インタビュー
――それでは最初の質問――の前に、お菓子食べるのやめませんか(笑)
私はお菓子の気配がする場所にならどこにでも参上します! ここ、さりげなく各都道府県の名産菓子が置いてありますね。あれも食べていいですか?
――インタビューが終わってからにしてくださいね。それでは、まずはこの作品を書こうとしたきっかけについて教えてください。
最初は、たった一人で女子校を内側から変えていく男主人公の話を書きたかったんです。でも設定についてあれこれ想像しているうちに、クラスで一人だけ男子っていう高校生活がかえって不憫に思えてきて、友達を追加することに決めました。考えてみると、そこまでまるごとこのお話が生まれたきっかけだったのかなって。
――もともとの「女子の中に男子一人だけ」って、おいしいシチュエーションでは?
はい。おいしい事はおいしいと思います。でも、そのことについて語り合う相手が欲しかったんです。女の子の友達に「いやー俺の周り女子ばっかりで困っちゃうよ」なんて言えないですから。
――なるほど、主人公に自慢させる友達が欲しかったんですね。
でも気苦労も多いと思うんです。だから相談できる仲間も用意してあげたかった。
――それで「男子生徒」を三人にしたんですね。
それに男子二人くらい増えたって、他は女の子だらけですしおすし。
――あ、お菓子しまいますね。
申し訳ございません。
――次、GA文庫大賞への応募理由ですが。
……えーっと、GA文庫大賞へは以前二度ほど応募させていただいた時、しっかりと読んでもらってるのが評価シートとかから伝わってきて、あとどういう点がマイナスポイントだったのかもちゃんと教えてもらえたからです。アイデアを思いついた時には締切まで一ヶ月を切っていましたが、落ちても無駄にならないと思ったので、絶対に間に合わせようと頑張りました。
――刊行にあたって、応募原稿から変更があったポイントなどはありますか?
やっぱりサービスシーンでしょうか(笑)。応募原稿にもそれなりにあったのですが、「女子校が舞台なのにボディタッチがあんまりないとはどういうことだ! シェフを呼べ!」と言われたので、不本意ながら四倍増しになりました!
――ふ、不本意……? それについては一之瀬さんもノリノリだったはずですが、今回はそういうことにしておきましょう。では、応募原稿執筆中、特に苦労したことなどは?
あー……。(苦笑い)
――あったんですね(笑)
いえ……まあ。女子校に男子一人だったら割と普通に話を進められたはずなんですが、三人にしてみたらキャラ同士の波長が合いすぎてしまったみたいで、キャラが悪乗りを始めてしまいまして。
――ああ。あとがきにも書いてありますね。
プロット通りに進まなくて、苦労しました。ストーリーの第二話くらいからそれまでのプロットを放棄して、先の事は一切考えず、一話ごとにキャラの作る物語の流れに逆らわないよう、続きを考えながら書きました。
――では、ほぼアドリブみたいなもの?
はい。ちゃんとまとまるのか、すごく不安でした。
そのぶんいい事もあって、毎回新鮮な気持ちでパソコンに向かえましたけど。
――『男子高校生のハレルヤ!』に登場する、お気に入りのキャラはいますか?
武里祐紀! この人は動かしてるだけで楽しい!
――でしょうね(笑)。一番「どうしてこうなった」感のあるキャラクターですが。
作者に対してすら意外性を与えてくれるキャラであり、ある意味期待以上に動いてくれるキャラでもあります。
――ありえこさんのイラストについても、何かコメントをお願いします。
ありえこさんに『ハレルヤ!』のイラストをお願いすることが決まるまでは、お嬢様学校が舞台なのにストーリーがひたすらコミカルタッチということで、どっちに寄せるべきなのか激しく迷いました。
――担当が補足します。少女小説っぽい画風の方にお願いするか、男性向けの萌えを優先するかというお話でしたね。でも、一之瀬さんは、今回ばかりはどちらも違うと。
はい。とにかくコメディなので、キャラの表情を生き生きと描いてくださる方にお願いしたかったんです。それでいて萌えも欲しいし、女性でも好きになれるようなふんわりした可愛さも欲しい。ストーリーの方が風変わりだったので、どうしたものかと。
――かなり悩んでおられましたね(笑)
そんなとき担当さんからありえこさんのお名前を聞いて、そのコミカル&キュートな絵柄を拝見して。担当さんに「是非、ありえこさんにお願いしてください!」と。ありえこさんには本文との相乗効果と化学変化、どちらも発現していただけたので、大変感謝しています。どのキャラも表情豊かで、とっても可愛いです。まだ中の挿絵をご覧になってない方は、どうぞお楽しみに!
――作品にこめられた思いとか、ありますか?
あまり深く考えずに「こんな学校あったらいいな」とか、「こんなふうに素直に仲間と過ごせたら素敵だな」とか、そういった夢や希望をストレートに描いたつもりです。ラブはともかくギャグコメディになったのは何もキャラのせいだけじゃなくて、その自然な結果なのかもしれません。なので読者さんにも頭をからっぽにして、とにかく楽しんでいただければ拙者は満足です。
――拙者て。最後に、その読者さんにひとこと!
『男子高校生のハレルヤ!』、よろしくお願いします!
――ありがとうございました。お菓子、食べてもいいですよ!
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