受賞者インタビュー第四十回 第5回GA文庫大賞<優秀賞>受賞作品、5月15日発売「装甲少女はお好きですか? そうです! フォルムとか最高です!」 著者・有賀一善さんインタビュー
――無事に2巻まで発売しましたが、心境はいかがですか?
嬉しいです! 読者の皆様、そしてあにぃさん、編集部の皆様のおかげです!
あ、ご挨拶遅れましたが、2012年の10月頃に受賞した有賀一善です。よろしくお願いします。
――あれ、受賞してからもう1年経つんでしたっけ!?
そうですよ! インタビューマダカナーって1年間膝を抱えて待ちましたよ!しかし僕はその持て余した1年を利用し、時間をかけて「対GA文庫新人情報局インタビュー模範的回答集」を作りました。
――おお、これはすごい!
ええ、万事ぬかりありません。「有賀さんにとってライトノベルとは?」みたいな質問への回答も載ってるくらいです。どうですかこれ。これがある限り今日の僕は無敵ですよ。早速何か質問をしてみてください。
――はい。では……(ノートを自然に没収しながら)受賞時の投稿作品について教えてください。
投稿作品ですね。はい、もちろん事前にメモしてきましたとも。って! ない! ここにあったはずの僕のノートがない!
――受賞時の投稿作品について教えてください(笑顔)
お、大人って汚い……。まあ、こうなっては仕方ない……投稿作品ですね。現在発売中の『装甲少女はお好きですか?』とほとんど変わってません。ネタバレになるのでぼかしますが、某ボスキャラさんの生死が逆転したくらいです。逆に担当がKさんだからこそそのまま残せてもらえた気がするのは、中盤のシモネタのシーンですね。
――そうですね、そのままの形で残すのは勇気が入りましたが、私も男を見せました。
僕はそこに思い入れがあったのでありがたかったです。というより、そこがルーツだったもので。まだ作品の構想が何もない頃、最初にそのシーンを思いついたときは気持ち悪いと思ってボツにしたのですが、「いや、待て……装甲を纏ってみたらギリギリセーフなんじゃないか!?」と考え直しまして。そして、それが装甲ネタの始まりでした。
――装甲少女はお好きですか? というタイトルなのにルーツが少女無関係なんですね。
そ、そうですね(冷や汗)いや、実は「編集部の皆さんが読んだことないようなネタをぶち込もう」! なんて投稿時に思ってまして。今回の受賞作はそれが本当にたまたまシモネタでしたが、それ以外でも新鮮味優先で話を考えることが多かった気がします。何百作も投稿がある中で、「ああ、これ前も読んだな」と思われたら終わりだと思っていたもので。「シモネタ一発屋と見せかけてラブコメもしつつシリアスに締める謎の作品」というテーマなら、意外と新鮮なんじゃないかなと。
――あのシモネタにそんな高尚な狙いがあったんですね!
……もっと正直にいうと、そのくらいしてどうにか目立たないと、ツイッターで呟いてもらえないかな、と思ったんですよ。僕はミーハーなので呟いてほしかったんですよ! それが、投稿の動機でもあります。前回は呟いてもらえなかったので……。話の面白さで呟いてもらうのがベストなのでしょうが、僕は思わず呟きたくなるようなギミック勝負に持ち込んだ格好です。
――実際、呟かれてましたね。まんまと呟いてしまった編集部のメンバーも悔しがってそうです。
そんなこんなで、呟かれることを第一目標にしていたはずだったのですが……受賞の連絡を頂き、驚愕しました。「思わず呟きたくなる作品を作る」という狙いが、結果的にうまくいって受賞にも繋がった……んですかね?
――……そう、なんじゃないですかね?
ちょっと! 「もう1年前のことだから正直覚えてないわー」という感じが顔に出ていますよ! まぁ、確かに僕もこの1年、いろいろありすぎて記憶が曖昧ですが……
――お。ではせっかくなので、この1年について教えてください。2巻まで出したことですし、そのあたりのことも含めて。
了解です。一番強烈な思い出は授賞式ですね。編集者の皆さん、そして先輩方が、とにかく風格があって、熱くて、すごいんです! いやもう、ほんっと、すごくて! すごかったんですよ!
――落ち着いてください。語彙が乏しくなってますよ!
なんというか、僕のイメージしていた作家の世界とは少し違っていて……バクマンのような熱い編集・作家たちの世界でした。ここに立っていたいなぁ、って。素直にそう思えて。その時にご指導頂いた様々なことはメモしていて、今も忘れないようにしています。
――私の言葉もたまにはメモしてくださいね?
は、はい(白目) ……で、気持ちがぐっとこの業界に向かったところで、丁度1巻が出ました。1巻は先ほどの通り、内容はそこまで変わっていないのでさほど苦労はありませんでした。
――あれ? そうでしたっけ? 5月刊行なんて無理だと泣き喚いていた記憶が……
そんな記憶はありません(キッパリ)。
――ま、まあそういうことにしておきましょう。それで、そのあとは?
1巻の売り上げに一喜一憂してから、2巻のプロットを作りました。で、気づいたんですよ。当然といえば当然ですが、2巻というものを書いた経験がないって。今まで受賞するためにいろんなライトノベルの「1巻」を読んで勉強してきましたが、「2巻」にはあまり注目してこなかったんです。
――なるほど。確かに2巻は1巻と同じようにはいきませんからね。
なので慌てていろいろなライトノベルの2巻を買ったりして、2巻とはなんぞや、というのを勉強しました。それと、2巻からはプロット段階でも、編集部チェックが入るじゃないですか。今までは自分でいちから考えたものを最後までやりきるだけのお仕事でしたが、もうそのやり方は通用しないなと実感しました。もう一人じゃないんです。まさしく編集部と、一緒に一つの本を作っていく、そういう感覚を大切にしていこうと。
――おおっ、何だか有賀さんが真面目な人に見えます!
僕はいつだって真面目ですよ!
――ちなみにモンハン4のプレイ時間は?
サラリーマンですけど発売一週間で約60時間です! ほらね、真面目でしょう!
――そ、そうですね。話を戻しますが、他に2巻で苦労したことは?
単純に、何度も書き直したことですね。最終的には時間に追い込まれて土日3回で1冊書ききった感じです。……次はもう少しうまくやりたいものですね。まあ、練習あるのみですが……受賞前にいろいろやっておくべきだったなぁ、と。今になってよく思ったりもします。
――ほう、例えば?
うーん、「三題噺を練習しておくべきだった」とかたまに思いますね。編集視点で、こういう要素いれたら? とKさんから提案されることが多いでしょう? そういうときにすぐに「はい、できました!」って言えたらかっこいいじゃないですか。でも、なかなかこれが難しくて。与えられたテーマを自分の得意分野に置き換えて、最上級の形で料理する。それって感覚が三題噺に近いなあ、と。
――モンハンさえ封印すれば、今からでもやれますよ!
あとちょっと! あとちょっとだけ! 大目に見てはくれませんか! もう少しで何か見えてきそうなんです!
――ふふふ。じゃあ、お時間もそろそろなので。「有賀さんにとってライトノベルとは?」を、最後に面白く言えたら大目に見ますよ!
面白く!? い、いやー、それは無理ですわー、そんなこともあろうかとメモしておいたノートがないからなー。いやー、ほんとノートさえあれば余裕で言えるんだけどなー。ノートがもうないから無理ですわー残念ですわー、い、いやー、ほんと、残念~。
――あ、それならここにありますよ。はい、ノートです。
……(絶句)
――では有賀さんにとって、ライトノベルとは?
…………い、いつもポケットの中にいる、四角い親友、ですかね。(右ポケットから自著を取り出しながら)
――ほう。
え、ええ。
――ちなみに有賀さんの反対側のポケットから、3DSが見えるのですが。
……っ!? あ、あー。いや、そっちは、その……もう一人の四角い親友こと、モンハン4、ですかね?
――ちょっとそれを、こっちに。
いやああああああ! それだけはちょっと、それだけはっ、ひあああああああっ!
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