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受賞者インタビュー第四十一回
第5回GA文庫大賞<奨励賞>受賞作品、10月15日発売「マネー&ウィズダム -美少女商会の異邦人-」
著者・稲波翔さんインタビュー



――それではよろしくお願いします。まずは自己紹介をどうぞ。

はじめまして。稲波翔と申します。この度、第5回GA文庫大賞奨励賞という光栄に浴しまして、こうして拙作を出版させて頂く運びとなりました。どうぞ、よろしくお願いします。

――無難な自己紹介ありがとうございます。この作品を書こうとしたきっかけはなんだったのでしょうか?

 異世界に召喚されて第三者から与えられた特別な力で活躍するのも楽しそうだけれど、もし、それがなくて、自身の力だけで生きていかなくちゃいけないとしたら? という疑問を稲波なりに表現しようと思ったことです。

――異世界召喚モノを書きたい、という思いが先にあったわけですね。

というより、先に『異世界モノ』ありきでした。稲波は先に作品の世界観を考えてからキャラクターを生み出していくタイプなのですが、先に世界観が完成した時点でかなり男性が抑圧されている状態になってしまったので、そんな世界観の中で女性に立ち向かっていく現地民の男子をどうしても想像できなくなってしまいました。ならば、『召喚』するしかない。そう考えた結果、『異世界召喚モノ』になったという感じです。

――そのほかの設定はどうやって詰めていかれたのでしょうか。

 女の子がいっぱいいる世界はライトノベルにはよくある設定ですが、もし『女の子が圧倒的多数だったら、どういった社会が形成されているだろう』というのを妄想して世界観を生み出しました。世界観に従って、キャラも基本的に気が強い感じになりました。

――確かに気の強いヒロインが目立っていますよね。ちなみにお気に入りのキャラは誰でしょうか?

 誰とは言いませんが、無口っ娘はいいですよね。無口っ娘。よく無口っ娘はロリとセットで使われることが多いですが、稲波は必ずしもロリばかりが良いとは思いません。無口っ娘のすばらしさはその見た目ではなく精神性にあります。その奥ゆかしさと純粋さ、奥底にただよう芯の強さ。その美しさはまるで研ぎ澄まされた日本刀のようです。無口っ娘の深奥に近づくには、時間がかかります。雪のしんしん降る夜にそっと耳を澄ますような、繊細な心の交流が必要です。徐々に編まれていく心の糸が繋がった時、その絆は絶対となります。そうして、ようやくあなたは気づくのです。彼女の澄んだ瞳の奥に潜む、炎のような情熱に――。 え? もう、スペースがないんですか? そうですか……。

――セルフツッコミ、ありがとうございます(笑)無口っ娘であるエレミヤのよさについては作品の中で共感いただくとして、次に、GA文庫大賞へご応募頂いたきっかけを教えてください。

 執筆当時、色々あって頭がはじけていた稲波は日本中を旅をしておりまして、作品の完成時には離島に滞在していました。その離島は珊瑚礁きらめく美しい所でしたが、原稿のデータを紙に印刷する施設には乏しく、データのまま応募できる賞を探していたところこちらの賞に巡り合いました。

――ありがとうございます。何がきっかけとなるか判らないものです。にしても、執筆をしながら日本中を旅行とは凄いですね!

いえ……むしろ、ひどいです。半分くらいは親の金なので、『親の金でする旅は楽しいか?』となじられても仕方ない状況でした。そんなニートな稲波も、GA文庫さんのおかげで『お仕事は?』と尋ねられた時に『作家です』と言えるようになりました。きっかけは偶然ですが、今は応募したのがGA文庫さんで本当に良かったと思っています。執筆へのサポートも手厚く、まさに至れり尽くせりです。

――無理に持ち上げてくださらなくても(汗) 担当との打ち合わせはいかがでしたか?

 とても勉強になりました。稲波の側からの細かい質問にも、担当さんは丁寧に回答してくださるのでありがたかったです。直接、作品には関係ない愚痴も聞いてもらったりしてました。正直、うざかったと思います。ごめんなさい。

――むしろ担当の方が無関係な話を沢山していたような……。刊行にあたって応募原稿から変更があったポイントはありましたでしょうか。

 ありすぎてここでは挙げきれません。稲波としては、なるべく第三者的な視点で作品を書いているつもりでも、実はそうではないということを思い知らされました。

――殆どの部分に多かれ少なかれ変更を加えましたね。では、ちょっと質問の方向性をかえましょう。好きな作家さんや作品を教えてください。

 鷹見一幸さんの『小さな国の救世主』や、林トモアキ先生の『ミスマルカ興国物語』、ヤマグチノボル先生の『ゼロの使い魔』、佐藤ケイ先生の『私立!三十三間堂学院』ですね。

――なるほど。それでは、好きなアニメはありますか?

 『ARIA』、『ギャラクシーエンジェル』、『キルミーベイベー』、『ゆゆ式』、『あずまんが大王』etc。まったり観れるものが好きです。シリアスめな感じなら、『ガン×ソード』とか『ソルティレイ』とか。若干、ディストピアが入った世界観が好きです。

――アニメはまた違った雰囲気の作品が好きなのですね。

そうですね。小説は能動的に読んでいかなければいけないメディアですが、映像作品は受動的に情報を取得する媒体なので、神経を休ませてくれるか、逆に思いっきり興奮させてくれるか、極端なものを求めてしまうのかもしれません。

――メディアの違いを意識する事は重要ですね。では作品に戻りまして、イラストを担当してくださった優木きらさんの絵はいかがでしたでしょうか。

 稲波の不十分な表現と指定にもかかわらず、想像以上の絵を仕上げてくださいました。高校の頃の美術で、真面目に製作物を提出したのに10段階評価で5を取ったことのある稲波は本当に頭の下がる思いで、感謝の言葉しかありません。

――10段階評価の5はそこまで悪い成績では無いような……。では、この作品の見どころやアピールポイント、こだわった部分を教えてください。

 欲望に正直な主人公と、ハーレムな世界観、知恵を絞った逆転劇を楽しんで頂ければ幸いです。

――それでは最後に読者さんへ一言お願いします。

 異世界召喚モノやハーレムモノが好きという方には是非読んで頂きたいです。そういうのはちょっと苦手という方にも、経済要素の入った一味違った風味になっておりますので、手にとってくだされば嬉しいです。

 

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