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受賞者インタビュー第四十四回
第6回GA文庫大賞《奨励賞》受賞作、7月15日発売「クロスワールド・スクランブル」
著者・雪川轍さんインタビュー



――それではよろしくお願いします。さて、さっそくですが応募されたきっかけは?

 評価シート目当てだったのと、ツイッターでの応募作品へのツイートがおもしろそうだったからです。自分の書いたものが呟かれたらいいなぁ、とか思いながら応募しました。

――呟きはどうでしたか?

 正直言うと、どれが自分の応募作に対する呟きだったのか分かりませんでした。褒められている呟きも、もしかしてこれ自分のじゃないか? とか思ったり、駄目出しっていうんですかね? そういう呟きがあると、自分のじゃないか……? とか全部に思ってしまったりして、その度に自分の応募した小説を読み直してへこんだりしてましたね。編集さんの選考中の意見が聞けるチャンスというのは小説を応募していた当時は評価シートをもらう以外には無かったので、GA文庫大賞に応募していなかった時も呟きは重宝していました。いざ自分が応募してみて当事者になってみたら、ツイッターにかぶりついて呟きを毎日チェックして、公式に発表される一次選考、二次選考と名前が残っている度にため息をつきながら安堵したりしてました。本当に楽しかったです。  ……ところで、どれが自分の呟きだったんです?

――では、受賞した時はいかがでしたか?

 不自然に流しましたね。冷や汗かいてますよ?  実は、書いたジャンルがジャンルなので自分の中でもう落選してると勝手に思っていて、新作も書きながら、改稿していた時に受賞の連絡をいただいたので、頭の中が真っ白になって挙動不審でした。

――ジャンル、TSものでしたね。

 ですです。ライトノベルの応募には鬼門とまで言われているうちの一つだったので、絶対に受からないだろうと思っていました。ただ、今のライトノベル事情だとどういう評価をいただけるのだろうかと思って応募しました。

――本当に評価シートと呟きが目的だったんですね。受賞作の話も出たところで、どういう話なんですか?

 TSF、いわゆる性別が変わってしまった主人公が戦ったり辱められたり色々頑張るお話です。ここで重要なのは、もうすでに性別が変わってしまっている、という点ですかね。

――どういうことです?

 TSものは今まで読んだり見たりした中で、朝になったら女の子になっていたとか、男が女になった時点(逆も有り)から始まるのが多かったような印象があるんです。その性差による恥じらいやら、戸惑いが最高にイイんですよね。主人公もそうだし、周りの反応も含めて。でも今回の物語では、もう女の子になって数年経っているんですよね。

――なるほど、年を重ねて慣れてしまっていると。なぜそうしたのですか?

 単純に、それを書いてしまうと筆が乗りすぎて応募枚数を大幅に越えてしまうからです。書きたいことが多すぎて、あの枚数では絶対に収まりきらない。絶対に。なのでいつか書ける機会があればいいなぁ、と(ちらっ)

――そ、そうですか(視線を外しながら)。多分聞くまでもないことだと思いますが、特別に思い入れのあるキャラはいますか?

 主人公の六天ですね。イラストレーターのエイチさんが描いてくださったキャララフ絵を拝見してさらに惚れ込みました。主人公本人は男に戻りたがっているのですが、これもうずっと女の子のままでいいんじゃないかなと思うぐらい可愛いです。六天の設定に関して、無理難題をエイチさんにお願いしてしまって、でもそれを見事にやってのけていただいて、本当に感謝の念でいっぱいです。

――六天ちゃん可愛いですよね。それでは、読者さんにむけて一言お願いします。

 主人公を頑張りながらメインヒロインも務めるという彼? 彼女? が動かす物語です。気に入ってもらえると嬉しいです。何卒よろしくお願いします!

――最後に、GA文庫大賞の応募志望者さんにも一言お願いします。

 自分は、面白くない物語なんて存在しないと思っています。世の中にたった一人でも、自分自身を含めて、面白いと思っている人がいれば、それはもう面白い小説だからです。何が面白いと思うかは、何十億いる人間の数だけあるので、どこかにきっといるはずです。賞に受かる受からない、あるいは、本が売れる売れないは、それを面白いと思ってくれている人数で決まるのだと思うのです。それは努力の結実なのかもしれませんし、時の運なのかもしれません。自分にはどうすればいいのかなんて今もまだ全然分かりませんが、本当に作家になりたい方は、自分の好きなものを書き続けるしかないと思うのです。物書き仲間同士、お互いに頑張っていきましょう!

――ありがとうございました!

 

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