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受賞者インタビュー第四十五回
第6回GA文庫大賞《奨励賞》受賞作、7月15日発売「神楽剣舞のエアリアル」
著者・千羽十訊さんインタビュー



――では、自己紹介をどうぞー

初めまして、千羽十訊です。読みは「ちば じゅうじん」です。 姓はなんとなくで決めて、名の音はとある漫画のキャラクターからいただきました。 早とちりしやすい性格なんで、「ちゃんと全部訊け」という自戒を籠めて「十訊」という字をあてました。

――おー、担当も初耳w さてライトノベルの投稿はいつ頃からでしょうか? 小説を書いたきっかけは何でしょう?

投稿は、第五回後期からみたいなものですね。一度筆を折って、長大なブランクがありますし。 なんでそんなのがまた小説を書いたかと言いますと、某国産MMORPGやっていた時にですね、知り合いが言ったんですよ。「『ニャル子さん』が好きすぎて困る」って。 それがきっかけで当時放送してたアニメ版見て原作あるだけ買い込んで読んでたら、なんとなく「書きたいなあ」と思いまして。

――なんと、一度、投稿を止め、その後に投稿することになったきっかけが、「這いよれ! ニャル子さん」なんですね、GA文庫として、それは嬉しいご縁ですね。他にはどこにご応募されていましたか?

GAにだけですね、復帰してからは。 きっかけが『這いよれ! ニャル子さん』さんだったというのと、書き始めた当時、プリンターを持っていなかったんですよ。 それでGA文庫大賞のことを調べて、記憶媒体で応募できるし丁度いいやー、と。 ……結局、プリンターは購入しましたが。 あとはやはり、評価シートですね。 自分の書いた作品が他人の視点だとどう見えるのか、それを知りたかったんです。

――今はGA文庫大賞もwebからの応募がはじまり、さらに投稿しやすくなりました。そんな経緯でご応募された「神楽剣舞のエアリアル」(投稿時のタイトルは「スカイ・ララバイ・ツルギノマイ」)の世界観はどういうイメージで作られたのでしょうか?

前回投稿したものは、結構地味だったんですよ。だから今回は派手に、魔術とか使いまくる話にしよう、それができる世界とはどんなものか? でファンタジーになって、それだけじゃあ足りない、ついでだから空も飛ばそうと思って、空を飛ばなきゃやってられない浮島世界に。 それから日本刀を持ち込むため、あり得ないはずのものをついうっかり出しちゃった時の逃げ道用、ついでにスーパーGA大戦とか出たら出たいから使いやすいように、「主人公だけでなく、とにかく異世界のものが来る」という部分を作って、と、そんな感じですね。

――なるほど、それらの「空に浮かぶ島」「空を飛んでのバトル」「空から落ちてくる別世界のもの」という要素は、統一感があってイメージしやすかったと応募作を読んだ時に感じました。その世界観で活躍する主人公の雪人や、ヒロインの風夕(ふゆ)、フランツィスカはどんなイメージで作られたのでしょうか?

うぅむ……思い返すに、雪人の性格は適当ですね。なにも考えずに書いたらああなった、ノリの産物です。 風夕は前回使ったメインヒロインの性格の半分を核に、あとはノリですね。 フランは前回使ったメインヒロインのもう半分の性格を核にして、あとはノリで決めました。 一応それぞれ、物語に対する役割というものがあるんですが、結局のところ、三人ともノリです。

――風夕とフランは元々一人のキャラがベースなのですね。たしかに似た面もあるキャラかもしれません。次に、本作後半には、剣術的なネタもいろいろと出てきますが、そういうのがお好きなのでしょうか?

……考えたことがなかったなあ……。 どうでもいいような気もするし、かといって悪し様に言われれば腹が立つ、そんな感じですね。 この辺の屈折した感情が、雪人の太刀筋にも出ているような気もします。

――要素・ネタの活用の仕方として非常にユニークな使い方だと感じました。受賞の時の話に少し戻りますが、電話はいつくらいにきましたか? その時のお気持ちは?

電話は、九月の下旬でしたか。 その時の気持ちは「そうかー、千羽が受賞したのかー」といった感じの、他人事気分でしたね。 丁度仮眠取ってた時だったもので、大層ぼんやりした会話をしたような記憶があります。 その後しばらくしてから、ようやっと「あ、受賞したの私じゃないか」となって、ひたすらニヤニヤしておりました。

――受賞者さんにかける電話は、編集側としても「どんな人かな?」とドキドキするものです。千羽さんは……たんたんとしていて、落ち着いた方だなーという印象でした(寝起きだったんだ……)。その後にご挨拶も兼ねて地元にお伺いしたのですが、その時の打ち合わせはどんな感じでしたか? どんな話をされましたか? 印象深いことがありましたらそれも。

とある部分のね、元ネタについて聞いたんですよ。「これ、アレが元ネタだけど大丈夫ですかね?」って。 そしたら担当さんが、開口一番「ふるっ!」って……。 あとはウルトラクイズが、終わっていたことを知らされたことでしょうか。

――元ネタに関しては、きちんと別ものになっていたので問題なかったです。ウルトラクイズ? あー、改稿前のにあったあれですね。そういった打ち合わせを経て投稿作「スカイ・ララバイ・ツルギノマイ」と刊行作「神楽剣舞のエアリアル」で大きく変わった点はどこでしょう?

風夕の髪色が変更されました。あとがきでも触れていますが、これが最大の変更点ですね。 そう言い切れるほどシナリオに変化なし、演出の強化はされていますが、びっくりするほどそのまんまです。 ただ、ラストバトルが投稿時の三倍増しくらいになっています。 改稿指示で、「ラストバトル、こんな感じにしよう。その為にはたとえば、コイツの性格をこうして~~」というのがあったんです。 私の方でも「なるほどなー、そういう考え方もあるのかー」と納得したし、当初はそういう路線だったので、そっちに持っていこうとしたんですが……これがまた、なかなか難しい。 それで考え込んでいる間に、妙なスイッチが入っちゃいまして。 よく通ったものだと思っております。

――ラストバトルは改稿で大幅にパワーアップしていてびっくりしました。また、こちらの提案の意図を理解した上で、展開をアレンジされていて、「改稿の勘どころの上手い方だな」と感じました。あと、2巻はどうやって書かれましたか?

こう……頭を抱えながら……。

――投稿者さんは2巻を書き慣れてない方がほとんどなので、デビューした方が2巻で苦戦することはよくありますね。では、好きな作家さん、好きな作品、影響を受けた作品などがありましたら教えてください。

笹本祐一先生、秋田禎信先生、ろくごまるに先生、彩院忍先生に……好きな作家様はキリがないんでこれくらいで。 影響を受けた作品なら、「魔術士オーフェンはぐれ旅」に一番影響されていると思います。 私が小説を書き始めた時に、棒点や三点リーダーを使ったら句読点はどうするのか、この漢字は開くか否か、そういったレベルからお手本にしてましたから。

――秋田先生に影響を受けた方は今のライトノベル作家さんでも多いですね。現在、GA文庫大賞は第七回の後期を募集中です。これからGA文庫大賞に応募を検討している方に一言

筆名、ローマ字で表記することがあるんですよ。なので筆名に長音がある方は、少しイメージが変わる場合があるので、注意した方がいいやもしれません。 あまりすっとぼけたことだけで済ますのもアレなので、真面目な話も。ブーメランが怖いんだけど……。 とりあえず、好きなことを書けばいいと思います。 そういったものであれば、もっとうまく魅力を伝えたいとか、もっとインパクトを出したいとか、欲が出ますし。だから、あなたの好きなことを書けばいいと思います。

――最後に「神楽剣舞のエアリアル」を読もうかと思っている方に一言。

異世界、ファンタジー、アクション、日本刀、そしてちゃんばら。 そういった言葉のどれかひとつにでも心惹かれたなら、是非読んでいただきたく。

――本日はありがとうございました。

 

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