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GA文庫大賞AWARDS

結果発表

第16回GA文庫大賞 受賞者発表!

おかげさまで第16回GA文庫大賞は前期713作品、後期811作品、合計1524作品ものご応募を頂きました。多数のご応募ありがとうございました!
ここに第16回GA文庫大賞の選考結果を発表させて頂きます。


金 賞

審査員
特別賞

ペンネーム 作品名
拾宇 勇気 イマリさんは旅上戸

金 賞

ペンネーム 作品名
幼田ヒロ 一週間後、あなたを殺します
畑野ライ麦 文学少女に囁く愛は三十一文字だけあればいい

銀 賞

ペンネーム 作品名
境井 結綺 贖罪のマンティコア
西湖南 四天王最弱の自立計画
畑 リンタロウ 空の上、宙の下

※敬称略

■総評
 お待たせしました。第16回GA文庫大賞の最終結果発表です。

 前期・後期あわせて応募総数1524作と多数の応募をいただきました。みなさまの力作をGA文庫大賞にご応募頂き、誠にありがとうございます。
 さて先日行われました通期選考会にて、応募作1524作品の中より、《金賞》&《審査員特別賞》のW受賞を1本と《金賞》2本、《銀賞》3本の受賞作品を選ばせていただきました。

 今回は「イマリさんは旅上戸」が《金賞》に選ばれただけでなく、特別審査員である大森藤ノ先生の高い評価を受け、《審査員特別賞》を受賞することとなりました。本作は、普段は頼りになる上司なのに酒を飲むと旅に出てしまう、という特殊すぎる酔い方をするヒロイン、イマリさんとのラブコメディです。特に本作のリーダビリティの高さには、編集部から賞賛の声があがりました。
《金賞》を受賞した「一週間後、あなたを殺します」は、感動の声が複数あがった殺し屋の少女によるファンタジー。もう一つの《金賞》受賞作「文学少女に囁く愛は三十一文字だけあればいい」は、短歌という他に類を見ない題材をライトノベルとして落とし込んだ質の高い恋物語です。
《銀賞》受賞の3作品はインパクトのあるプロローグから始まるファンタジーコメディ、世界観がユニークで壮大なSF風空戦ファンタジー、選考会でも物議を醸した異色の主人公によるダークファンタジーです。
 様々なジャンルの作品が揃ったバラエティに富んだラインナップは、きっと読者のみなさまにご満足いただけることと思います。

 どのタイトルも読者のみなさまにご満足いただけるよう制作、改稿作業を進めておりますので、ぜひ発売まで楽しみにお待ちください。

 GA文庫大賞がリニューアルして1年。GA文庫大賞は、これからもチャレンジを続け、応募者のみなさまにとっても読者のみなさまにとっても、より魅力的な新人賞を目指してまいります。
 次回、第17回GA文庫大賞の前期受付がスタートしています。
 みなさまの渾身の作品のご応募をお待ちしております!

■第16回特別審査員・大森藤ノ先生より
 GA文庫さん初の作家選考委員にご指名してもらって緊張するなー、重圧だなー、面白い作品と出会えるといいなー、そんなことを思いながら初挑戦の選考をさせてもらいましたが、結論から言わせていただくと「この第16回を担当できてよかった!!!」でした。
 様々なジャンルの作品がある中、心を震わせてくれる物語が沢山あったのが本当に嬉しかったです。鼻水をすすってばかりの青春もありましたし、涙が出てしまった切ない人々の独白もありました。ゲラゲラ笑いが止まらなくなるエンタメだって。世界中の人たちが常にスマホに向き合ってる昨今、250Pもあるラノベがこうもページをめくるために「指を突き動かしてくれる」のが、何度でも言いますが嬉しくて、私にとっても希望のようなものを与えてくれたと思います。作家として幸せな時間を過ごさせてもらいました。

 選考の話を全然してない! 大賞二つくらい出したいと正直思ってました! ですが今回は泣く泣く金賞三つ、あとは大森特別賞的なものを出させていただく運びになりました。受賞された皆さん、本当におめでとうございます。これからは仲間でライバルです。がんばりましょう!
 受賞できなかった皆さんも、皆さんが書き上げた物語は決して無駄にはなりません。一緒に笑ったり泣いたりした主人公やヒロインたちは姿形を変えて、もう一度冒険の仲間になってくれると私は信じています。皆さんの素敵な物語と出会えること、これからも楽しみにしています!
 オタクの早口長文コメント失礼しました! GA文庫の戦いはこれからだ!!!

金 賞

審査員
特別賞

イマリさんは旅上戸

PN. 拾宇 勇気

【あらすじ】

 完全無欠な美人上司、イマリさんこと今里マイ。
 厳しく指導する彼女に俺、ハシビロこと橋広滉代は
「ちくしょう、なんて美しいんだ!!」
 完全に惚れていた。
 ひょんなことから会社の飲み会で彼女と初めて同席できることになった有頂天の俺。
 ああ~、お酒を飲んでいるイマリさんも絵になるなぁ。
 ずっと見ていたいぜ。イマリさ……ん? あ、あっれええ?
「ハシビロ~~、いまから箱根に行くで~~!」(なお、現在夜10時)
 なんと憧れのイマリさんは、酔うと唐突に旅に出る世にも珍しい【旅上戸】だった!
 自由奔放なイマリさんをつなぎとめておけるのは、俺だけ!?
 旅先、二人きり。急接近しちゃう展開(とイマリさん)は、もう止められない。
 普段はツン。旅先ではデレデレ。新基軸『旅デレ』ヒロイン、ここに爆誕!

【選評】

 手が届くはずがなかった厳しくも美しい女上司イマリさんと冴えないけど優しさが人一倍ある一般男子ハシビロが織りなすラブコメ。
 テンポの良い読み味と明るく癖強なヒロインの設定が非常に魅力的で、一気に作品の世界に引き込まれました。
 ストレス発散が上手くできないイマリさんと普段は笑えないハシビロの双方が、【旅】を通じてお互いの弱みを補い合っている関係性が素晴らしかったです。
 本作は、旅のシーンが多々出てきます。読んでいると心が高鳴り、どんな時でもイマリさんと旅をしたい気持ちになってしまうところに、書き手の愛が感じられました。
 そして、旅への魅力を感じるのは勿論、旅先でしかみせないイマリさんの表情が可愛く描かれていました。
 イマリさんが繰り広げるラブコメの旅を是非ご堪能下さい。

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金 賞

一週間後、あなたを殺します

PN. 幼田ヒロ

【あらすじ】

「一週間後、あなたを殺します」
 そんな言葉と共に、罪を犯した人の下に現れる猫耳姿の死神がいるという。
 コードネーム33。またの名をミミ。彼女は七日間の猶予を与えた後、標的を殺めるという変わった殺し屋であった。
 麻薬運びの青年、出産予定一週間後の妊婦、父親のために人を殺めた少女、世直しを志して悪人を殺し回る少年など。ミミに殺される運命と
なった彼らは残された一週間で何を願い、どう生きるのか?
「《汝の旅路に幸あらんことを(Bon Voyage)》」
 これは罪人に最期の時を与える猫耳姿の殺し屋と、彼女に殺される者たちの交流を描いた命と別れの物語。

【選評】

 猫耳尻尾姿の殺し屋ミミと、一週間後に殺される運命となった罪人たちの交流を描いたファンタジー。
 人生最期の過ごし方という難しいテーマに真摯に向き合い、優しいメッセージ性を持った物語へと昇華できていました。
 本作は連作短編形式になります。エピソードごとに各ターゲットへの人生へと向き合っていくのですが、個々のエピソードがそれ単体で一作品作れそうなクオリティとなっていて大変驚かされました。
 にもかかわらず、全体を通して見ると1つのメッセージ性を持ったストーリーとなっていた点も評価できます。
 最期の一週間を過ごすターゲットを描いていたはずが、最終的には主人公・ミミの物語へと繋がっていくという、高い構成力を感じる流れになっていました。
 死というテーマを扱った作品は、その性質上どうしても暗さがつきまとってしまうものです。
 しかし、猫耳と尻尾をつけた可愛らしいミミのキャラクター性が陰鬱さを中和して、ライトノベルとしてのエンタメ性を発揮していたのも素晴らしかったです。
 この物語は読んだ人の心を強く動かし、涙させる力のある作品です。5人の罪人たちと彼らの下に現れるミミの7日間の日常を、どうぞご期待ください。

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金 賞

文学少女に囁く愛は三十一文字だけあればいい

PN. 畑野ライ麦

【あらすじ】

 高校生の大谷三球は新しい趣味を探しに訪れた図書館で、ひときわ目立つ服装をした女の子、涼風救と出会う。
 三球は救が短歌が得意だということを知り弟子として詩を教えてもらうことに。
「三十一文字だけあればいいか?」
「許します。ただし十万文字分の想いがそこに込められてるなら」
 日々成長し隠された想いを吐露する三球に救は好意を抱きはじめ、三球の詩に応えるかのように短歌に想いを込め距離を縮めていく。
「スクイは照れ屋さんな先輩もちゃんと受け止めますから」
 三十一文字をきっかけに紡がれる、恋に憧れる少女との甘い青春を綴った恋物語。

【選評】

 三十一文字――みそひともじのやり取りで関係を深めていく、短歌を題材にした青春小説。
 本作はなんと言っても短歌を題材にしている点がユニークでヒロインは師匠、主人公が弟子となり恋心を育んでいくというストーリーラインは読んでいて心地よいものでした。
 特にヒロインは可愛く描かれており、短歌には本当の気持ちや好意を乗せているけど主人公に伝わりそうで伝わらない……。という焦れったさや主人公への健気な恋心を募らせていく姿は甘い青春の1ページとして描かれていました。
 そのほかにも実は同じ学校の先輩がVTuberだったりヒロインが少女趣味だったりとキャラ設定が盛り込まれており魅力的な展開に終始読む手が止まりませんでした。
 恋に憧れるヒロイン、スクイと自分探しをする高校生の主人公、サンタ。ふたりの短歌を通してつながる恋模様に心を癒される作品に仕上がっていました。

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銀 賞

贖罪のマンティコア

PN. 境井 結綺

【あらすじ】

 少年は人を食べた。そして、この世で最も醜い怪物の姿になった。
 慟哭、絶望、逃亡。命を狙われる身となった“怪物”はようやく気付く――牙が、舌が、本能がどうしようもなく血肉に飢えていることに。
 もう人には戻れない。そんな深い孤独の中、怪物は魔女に出会う。
「君、私の使い魔になりたまえ」
 契約すれば呪いを解く方法が見つかるかもしれないという。だが、契約と引き換えに与えられた使命は人を殺すことで……。なぜ少年は人を食べたのか? 誰が呪いをかけたのか? そして、この救いのない世界で一番醜い怪物の姿とは?
 選考会騒然――怪物と魔女が織り成す極限必死のダークファンタジー。

【選評】

 主人公を追い詰める敵、呪い、死。読者を襲う理不尽の嵐の中、確かな地力を秘めたダークファンタジーです。その理不尽さゆえに読んでいて幾度も苦しくなる場面はありますし、設定では粗削りな部分もあります。ですが、今までにない尖った魅力的なキャラクター、散りばめられた伏線、そして息をつく間もない驚きのクライマックス。最後までページを捲る手が止まらない作品でした。ただ、本作をどうやってライトノベルにするのか、どこをウリにするのかは選考会でも大いに意見が分かれました。しかし、このテーマを選び、ここまで書ききっていることに大きな意味を感じると同時にライトノベルでしか挑戦できない題材だと思います。ライトノベル史上最も醜い姿の主人公。物語の行く末をぜひその目で確かめてみてください。

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銀 賞

四天王最弱の自立計画

PN. 西湖南

【あらすじ】

「クク……奴は我ら四天王の中でも最弱」
 人間たちは魔大陸四天王の一人目、暗黒騎士ラルフすら打倒できずにいた。しかも、驚異の強さを誇るラルフは、四天王最弱であるというのだが――
「いい加減、お前らも戦えよ!」
「無理じゃ、わしらは殴り合いの喧嘩さえしたことがないんじゃぞ!」
 じつはラルフ以外の四天王は、戦ったことすらないよわよわ女子たちなのだった!
 自分ばかり戦わされる理不尽に耐えられなくなったラルフは、他の四天王にも強くなってもらおうと説得を試みるも全戦全敗!?
 ラルフは諦めずにあの手この手で四天王を育成しようとするのだが――?
 四天王最弱(実は最強)の主人公による、ダメダメ四天王たちの自立計画が今始まる!

【選評】

 四天王たちによる掛け合いが非常に面白いファンタジーコメディです。
 四天王最弱と呼ばれているラルフが実は一番強かったという、キャッチーなプロローグから一気に作品に引き込まれました。
 主人公のラルフは戦えば最強でそれを自覚しているのにもかかわらず、女の子たちに振り回される様子が可哀想ながらも笑いを誘い、親近感が沸くとてもいい主人公になっています。
 他の四天王たちにも絶対に戦わせようとするラルフと、なにがなんでも戦わないようにしようとするヒロインたちとの爆笑必至な駆け引きを是非お楽しみください!

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銀 賞

空の上、宙の下

PN. 畑 リンタロウ

【あらすじ】

 三百年前、この星は“灰化層”と呼ばれる有害物質に飲み込まれた。人類に残された土地はわずか一割。徐々に滅亡へと向かう世界の中、それでも人々は幸福に暮らしていた。――その幸福が、少女たちの犠牲の上に成り立っていることから目を背けながら。
 第六都市に暮らす技師のマガミは、ある日航行不能となった飛行艇を助けた。そこで出会った少女・ニルは、ある大きな秘密を抱えていた。世界を支える謎の技術“アマデウス機構”を動かし、生きるために戦うニル。ニルの所属する飛行艇『メンシス号』で働くことになったマガミは、彼女の秘密に関わっていくことになり――。
「やろう、マガミ。君と一緒なら出来る気がする」
 これは、終わる世界に抗う少女を救う物語。

【選評】

 本作の大きな魅力は、まずその世界観にあります。有害物質に覆われ人類が住む場所を失った星、遺された古代の技術、襲い来る“クジラ”という謎の存在。数々の設定に魅了され、物語にのめり込みました。
 この大きなスケールの中で展開されるのは、誰よりも強いのに、不器用でどこか放っておけないヒロイン・ニルと、正義を貫く意志と優しさを持った主人公・マガミの物語。最初はすれ違い、時には喧嘩もしますが、徐々に理解を深め、強い信頼関係で結ばれていきます。本作は世界観だけでも抜きん出た素晴らしさですが、ニルとマガミ2人の成長を描くことで、単なる設定にとどまらない生きた人間の物語になっています。
 また、2人を取り巻くキャラクターからも目が離せません。2人の過去に大きく関わる人物や、一緒に戦う同僚たち。彼らの存在がこの物語に更なる深みを与えています。
 滅亡に向かう世界で、それでも強く生きるニルたちの物語を、どうぞお楽しみに。