「ユーリ様って、すごく悪役っぽいですわよね」
「僕にシンパシーでも感じているのか? 迷惑だからやめてくれ」
無能と蔑まれる悪役令嬢と天才と敬遠される悪役令息の、
不器用だけど温かい恋物語。
「ブリジット・メイデル。俺はお前との婚約を破棄させてもらう!」
名門貴族"炎の一族"の長子でありながら、"名無し"と呼ばれる最弱精霊と契約してしまった令嬢ブリジットはその日、第三王子ジョセフから婚約破棄を言い渡された。
悲しみに暮れるブリジットだったが、最悪な出逢いながらも、これからの彼女の運命を変えてくれる一人の〝悪役〟令息と巡り合う。
彼の名はユーリ・オーレアリス。水魔法を得意とする"水の一族"の公爵令息にして、最上級精霊二体と契約した前代未聞の神童だ。
「馬鹿な女ほど可愛い」というジョセフのために、愚かな少女をわざと演じてきたブリジットだったが、ユーリとの出逢いをきっかけに本来の聡明さを取り戻し、幼い頃からの夢である"精霊博士"を目指していく。
そして、ブリジットが契約した最弱精霊の正体にも、実はとある秘密があるらしく……?
「ユーリ様って、なんというかものすごく悪役っぽいですわよね」
「お前にだけは言われたくないが……つまりお前は、僕にシンパシーでも感じているのか? 迷惑だからやめてくれ」
――これは性格も顔もキツめな悪役令嬢と悪役令息が惹かれ合い、やがて恋に落ちていく物語。