「雨の範囲が広くなってるから、いつか見つかってしまうわ」
『睡眠時に雨を降らせる』不思議な少女アレシア。
砂漠の国シュメルに暮らす彼女は、その力を隠すため両親とひっそり暮らしていた。
実はアレシアは、大魔法使いアウーラの生まれ変わり。
その強力な水の魔法で国のために前線で戦い、国王との婚姻も決まっていたのだが、
謀略によって、二十三歳の若さで処刑されてしまったのだ。
前世が悲惨だったからこそ、アレシアは農園で静かに暮らしながら人の役に立つことを願うが、
彼女が降らす雨は植物の発育を助け、さらに【癒し】の効果まで秘めた特別な水だった。
「今度の人生こそ間違えたくない。正しい選択をしたい」
恵みの雨を降らす少女が砂漠の国で強く優しく生きていく、そんな御伽噺の始まりです