ほとんどの陸地が水に沈んでしまった蒼の世界。海上にたたずむ巨大人工島《駅》で暮らしていたイスカは、一人の少女と出会う――。
「わたしを《楽園》まで連れていってくれませんか?」
まるで人形と見まがう少女、アメリは自らを「魔女」だと名乗った……。
かつては高度な文明を築き、人類を繁栄に導いた魔女。だが、魔女は姿を消し、頂点を極めた文明は滅び、その遺産だけが残された。そしてイスカ自身、魔女がこの世界に遺した吸血人形だったのだ。
消えたはずの魔女と、魔女が遺した人形。二人は旅立つ。この世界のどこかにあるという魔女が住む《楽園》を目指して。
イスカ
全域鉄道運営体「セフィロト」に所属する少女。ある日、謎の列車で運ばれてきたアメリと運命的な出会いをし、世界を巡る冒険へと旅立つことになる。
アメリ
自らを《魔女》だと名乗る少女。《魔女》とは、かつて人類を文明の頂点に導いたが、現在は姿を消してしまっている謎めいた存在。
《魔女》 かつて強大な力を駆使して人類を文明の頂点に導いた存在。その高度な機械文明ゆえに世界を海に没してしまった。現代では滅びた存在だが、アメリはみずからのことを《魔女》であると称する。
吸血人形 《魔女》が生み出した機械人形。類稀なる美貌に、人間離れした戦闘能力を持つ。《魔女》が姿を消した後、アンティークの多くは血を求めるヴィスクへと成り果てた。イスカは理性を保った希有なアンティーク。
全域鉄道運営体
「セフィロト」
水に沈んでしまったこの世界では、わずかに残された拠点を鉄道がつないでいる。それを運営しているのが「セフィロト」であり、イスカはこの組織の一員。
《楽園》 世界に残る最も有名な伝説。そこにはこの惑星最後の大地が残り、消えた《魔女》たちが今も生きていると言われている。