秋の気配が深まる今日この頃、皆様原稿の執筆ははかどってらっしゃいますでしょうか?
第10回GA文庫大賞後期は11月30日(木)〆切で絶賛応募を受け付けておりますので、今回も皆様の力作をお待ちしておりますー!
といったところで、今回は私が投稿作を読むときに注目しているポイントをご紹介させていただきたいと思います。皆様の執筆のヒントになれば幸いです。
その1●キャラに魅力があるか? キャラの行動原理に矛盾はないか?
まずキャラに魅力を出すためにはどうすれば良いか……ですが、これに関しては作家さんが10人いれば10通りの方法があるわけで、きりがないので割愛させていただきます(のっけからすみません!)。
そこで私が次に注目しているのは「キャラの行動原理に矛盾はないか?」です。なぜかというと「行動原理に矛盾があるキャラに読者は感情移入できない」からです。
現実の生活の中でも、昨日と今日とで言うことが全然違う人とは付き合えませんよね?
物語の中のキャラでもそれは同じです。
ある目標を目指していた主人公が、何の前振りもなくそれをあきらめたり、急に目標を変えたりすると、読者は「???」となってしまい、物語に対して醒めてしまいます。
主人公が心変わりするなら、どうしてそうなったのか、きちんと読者に納得できる描写をしなければなりません。
というか、そこにこそ主人公を巡るドラマがあるわけで、ある意味物語の肝になる部分でもあるわけですから、そこに力を入れずしてどこに力を入れるんだ、という話になります。
行動原理に矛盾をなくすことでキャラに魅力が生まれるわけではありませんが、行動原理に矛盾のあるキャラに魅力が生まれることはまずありません。
その2●物語に矛盾はないか?
極端な例ですが、ある投稿作で「最初のバトルで死んだキャラが、何の説明もなく中盤から再び生きて登場してきた」ということがありました。さすがにここまでのレベルのものは稀ですが、程度の差こそあれ、同じような矛盾はいろいろな投稿作の中でも見受けられます。
こういった矛盾も読者が物語から醒めてしまう一因となってしまうので、プロット段階で十分注意して物語を設計する必要があると思います。
その3●必要以上に物語を複雑にしていないか?
複数視点で壮大な物語を点描していく……現在・過去・未来を行き来して、やがて物語の全貌が見えてくる……といった手法は成功するとその効果は絶大ですが、残念ながら投稿作の中では失敗しているものの方が多い印象です。
視点を増やすこと、時制を行き来することで、単に物語の複雑度が増しているだけで、それが面白さに何も貢献していないようでは本末転倒です。
こういった凝った手法を使いたくなる気持ちは判るのですが、(特に書き始めのうちは)平易な文章で、簡明な構成で、ストレートに読者に訴えかけるものを書いたほうが良いと思います。そうして経験を重ねることで、徐々に複雑なものも書けるようになるはずです。
要は、基本ができていないうちに応用に手を出すと火傷をするというお話ですね。
その4●ちゃんと推敲されているか?
誤字・脱字・衍字はあとで直せばいいので、それほど注目はしません(※でも誤字・脱字・衍字がない原稿は読みやすくて好感度があがりますので、やっぱりない方がいいに決まってますよ!)。
困るのはキャラ名や地名などの表記揺れです。
キャラの名前が途中で変わったりすると、初見の読者(※選考者も含みます)はそれが新しく出てきたキャラと誤認してしまう可能性があります。地名も同様です。そうなると原稿を行ったり来たりして正誤の確認をしなければならず、それだけで物語に対する熱量が下がってしまいます。要注意です。
ということで、ここまでは私が投稿作を読むときに注目するポイントのお話でした。
では次に私が「どういう投稿作を読みたいか?(=通したいか?)」ということになりますと、「上記1~4の完成度が多少低くても、その作品独自の魅力が感じられるもの」ということになります。
「矛盾しとるやんけー!」というお叱りをいただきそうですが、そうです人間は矛盾した生き物なのです……といった言い訳はさておいて、やはり新人賞に求める作品というのは「粗削りだけど魅力があるもの」ということに尽きると思います。
結論としましては……
少々行動原理に矛盾があっても、キャラに魅力があって生き生きしていればいいのです。
多少設定や物語の展開に矛盾があっても、それを超える勢いがあれば楽しく読めてしまうのです。
ということで皆様からの力作を引き続きお待ちしております~~!!