「俺はまだ恋に落ちていない」ライナーノーツ

「アニメ コンテンツ エキスポ」で買ったのは「アニガイル」のマックスコーヒー、サトです。
 4月の新作、高木幸一先生×ぜろきち先生が贈る青春ラブコメディ「放課後四重奏<カルテット>」の発売を記念して、高木幸一先生のデビュー作「俺はまだ恋に落ちていない」を振り返ってみようかと思います。
■俺はまだ恋に落ちていない


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高校生・赤井は友人の妹である少女たち、恵衣美と詠羅と出会う。でもその二人の仲は最悪で……。
<高木幸一>
・投稿作。書き上げた時には「これは絶対にいける!」と、当時一緒に住んでいた弟に押しつけて読ませた記憶が……(苦笑)。賞を頂けてよかったです。
 
・選考の際には、担当様に推して頂いたようで、とても感謝しています。ほんとうにありがとうございました!
・打ち合わせの際に「こういう前書きをつけたいんですけど……」と、印刷したプロローグの3行を見せたときの、担当様のリアクションが忘れられません(苦笑)。
・今読み返すと粗も多いのですが、もう二度と書けないと思います。思い入れの深い一冊です。また、庭様の表紙画を初めて拝見した時の感動は、今でもはっきり覚えています。
<担当編集>
・GA文庫大賞《期待賞》受賞作です。キャラクターを魅力的に感じたので、推させて頂きました。
・応募時のタイトルは「恋のなんたるかを教えてやろうじゃないの」でした。赤井のキャラ的に「(・ワ・)恋を教えるようなキャラだっけ?」というところから改題することになったような記憶。
・展開はあまり、変わってないですね。空河が追加されたことと、愛子さんが投稿作時のキャラから変更がありました。この2名の部分くらいですね。
●キャラクターピックアップ:田所恵衣美

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<高木幸一>
・赤井とは対等の関係にある女の子、という意味で、誰よりも早く、彼の家庭の事情を打ち明けています。個人的には、いちばん幸せになって欲しい子です。
・イチオシイラストは、2巻のピンナップ。恵衣美の本質は、あの画のままです。
<担当編集>
・田所姉妹の姉。妹想いなところがかわいいですね。距離感が近くて、友達に告白されることが多そうな気がする。
●キャラクターピックアップ:田所詠羅

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<高木幸一>
・主人公に対し、好意をはっきり示すキャラを書いたのは、この子が初めてでした。今でも「公様~!」と手を振る姿が目に浮かび、正直、書けなくなって淋しいです。
・イチオシイラストは、4巻151頁。あまりのすばらしさに、言葉を失いました。
<担当編集>
・田所姉妹の妹。姉想いなところがかわいいですね。一途なかわいらしいところと、姉妹喧嘩のボキャブラリーが面白い。
■俺はまだ恋に落ちていない2

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後輩から一目惚れした少女・詠羅を紹介して欲しいと懇願され、赤井は……。
<高木幸一>
・発表後にネットで拝見した、赤井に対する感想が、ショックで落ち込み、最も読み返すことが少ない巻です(苦笑)。読者の皆様、すみません。あれは赤井のせいじゃないんですよ。私のせいなんですよ……。
・庭様のハイレベルなイラストに、プロフェッショナルのなんたるかを実感した巻でもあります。ものすごく刺激になりました。感謝!
<担当編集>
・刊行時、作中の展開で「赤井最低!」という意見が多く戸惑いました。作中できちんと落ち込んで反省、成長しているじゃないですかと。ショックだった皆さんごめんよー。
・1巻と2巻の間の掌編が実はあります。掌編というか、いちゃいちゃというか。
書き下ろし掌編-詠羅-
書き下ろし掌編-恵衣美-
●キャラクターピックアップ:赤井公

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<高木幸一>
・7割、自分の素です(苦笑)。残りの3割が、私の願いを込めたもの。なので2巻のあれは、私の情けなさが関係するものです。赤井、ごめんよ……。
・イチオシイラストは、2巻の見開き口絵。眼鏡がよく似合って格好いい!
<担当編集>
・不思議な魅力のあるキャラですね。「赤井ならこうする」というイメージが湧く一方で、常人ではありえない行動、判断をすることもあり、面白い。
●キャラクターピックアップ:空河香里

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<高木幸一>
・投稿時にはいませんでしたが、後々自分でも出す予定だったキャラ。あっしという一人称も含め、個人的には好きな子です。
・イチオシイラストは、3巻93頁。彼女自身も、人形も、とっても魅力的です。
<担当編集>
・2巻から本格的にキャラが立った印象。恵衣美との舌戦バトルが楽しい。
■俺はまだ恋に落ちていない3

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赤井たちの前に現れた少女・晴子は中学時代に赤井が告白した相手!?
<高木幸一>
・春子の最終シーンと、その後、赤井と恵衣美、詠羅とのシーンは、泣きながら書いていました。
・ストーリー的な意味では、この巻がいちばん自分の素が出ています。「読みたいもの」というより、「書きたいもの」を書きました。
・見開き口絵のすばらしい画は、物語の終焉を感じて、せつない気持ちになりました。……ありがとうございました!
<担当編集>
・春子回。空河の誕生会で、みんなが集まっているところにやってきた晴子とヒロインズの空気が、もう、修羅場。担当した作品でトップクラスの修羅場シーンでした。
・過去の赤井と晴子のすれ違いが絶妙で、上手いと思いました。
・序盤では恵衣美と詠羅の強力なライバルなのに、後半では晴子を応援したくなるような、そんな気持ちにさせる描写が良かった巻かと。
●キャラクターピックアップ:天童春子

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<高木幸一>
・眼鏡、ショートヘア、明るく社交的、さばさばしているようで根っこは気弱、一途で努力家、天才タイプでなく、決していちばんにはなれない子。自分の内面的、外面的好み、そして思いの丈をすべて注ぎ込んだ、最も思い入れのあるヒロインです。
・イチオシイラストは、3巻135頁。……正直、春子とくっつけたかった……。
・眼鏡の女の子は、とても可愛いので大好きです! あとショートヘアも。ゆえに詠羅が眼鏡をかけたら、私は死ぬと思います(笑)。
<担当編集>
・高木先生、眼鏡キャラ好きだよなー、と庭先生からキャラデザインがきて喜んでいる時に思ったり。「放課後四重奏」にも眼鏡キャラいますね、そういえば。
●キャラクターピックアップ:田所祐一

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<高木幸一>
・彼は、実は恵衣美・詠羅とは異母兄妹です。奇抜なファッションは、ファッションデザイナーである現在の母に対するある種の主張(仲は悪くないし、嫌ってもいません)。亡き母への想いは強く、年に一度、正装して墓参りに行きます。
・イチオシイラストは、一巻口絵見開き。ユーモアと格好良さが両方あって好き!
<担当編集>
・1巻の投稿作の時、キャラ減らした方がいいかなーとも思ったのですが、男三人のやりとりも楽しかったので、ままになりました。服装がエキセントリックすぎて、挿絵指定の時に困りました。
●キャラクターピックアップ:山城勇

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<高木幸一>
・実は大したことがない理由なのに、話すタイミングを逃し、言いにくくなることってありますよね。……そう、彼の髪の色のように(超苦笑)。
・苦労人なのに、性格が曲がらなかった、実に気持ちのいい男で、好きです。
・イチオシイラストは、3巻83頁。見切れてますが(笑)。微笑ましくて好き!
<担当編集>
・あの蒼い髪の毛にしている理由が、いまだに知らなかったり。重度のシスコンだけど、妹の映子ちゃんがかわいいから問題ないよねっ。
■俺はまだ恋に落ちていない4

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田所姉妹は赤井とは「生まれ」の違う少女たち、その差が迫る時、赤井は……。
<高木幸一>
・一巻のリベンジといいますか、リメイクといいますか……自分のすべてを注ぎ込みました。粗の多い本作に、常々的確な御助言を下さり、ずっとお付き合い下さった担当様に、そしてすばらしい画で応えて下さった庭様には、深く感謝しています。ありがとうございました!
・表紙画は私の宝です。見ていると元気になります!
<担当編集>
・前半の愛子さんとの修業が楽しい。後半はともすればチープな展開になってしまうところを、しっかりと赤井の苦悩と選択の上で上手く書いて頂き、非常に読後感の良い物語になったと思っております。
●キャラクターピックアップ:山寺愛子

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<高木幸一>
・実は、彼女は過去に大失恋をしたり、父親と確執があったり。個人的には大好きな「ヒロイン」です。愛子さんは俺の嫁! ……ゆえに眼鏡を(もういい)。
・4巻のシーンは、デートです。個人的願望により、力業でねじ込みました(笑)。
・イチオシイラストは、2巻55頁。すばらしさに、ものすごい衝撃を受けました。
<担当編集>
・愛子さんかわいいよね愛子さん。4巻ラストの田所母との会話のシーンも好きです。
●キャラクターピックアップ:橘さん

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<高木幸一>
・元から親しみやすいいい人、ではなく、色々あってこうなった、という人です。彼の元々の性格も、出したかったですね。お気に入りです。
・イチオシイラストは、3巻71頁。……グッ!(笑)
<担当編集>
・1巻での広末涼子の部分が個人的には好きでした。甘党だったり妻ラブなところも面白い。橘さんに限らず、ライトノベルとしては珍しいくらいに色々な大人を描いているのも本作の魅力のひとつかと。
以上、「俺はまだ恋に落ちていない」を振り返ってみました。
そして、4月の新作、高木幸一先生×ぜろきち先生が贈る青春ラブコメディ「放課後四重奏<カルテット>」がいよいよ発売となります。

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人間嫌いの高校生、灰堂青は寮を出て、旧校務員室に住む少年である。彼はある日、屋上から飛び降りようとする少女・菜花心月と出会う。
「……見届けてくれますか?」
「断る、勝手にしろ」
「えっ!? あなたには、人の心というものがないんですか!?」
口論の末ふたりはプールへ落下。
その一週間後。
彼は長らく避けていた同好会に入ることを担任に強制されそうになる。そこで彼は、誰も近寄らない、ひとりだけの同好会を作ることに。
しかし、その会室にいたのは……人体模型に告白する飛び降り少女!?
不器用すぎる少年少女たちが奏でる青春ラブコメ四重奏!
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新作発売に寄せて、高木幸一先生より、メッセージを頂きました。
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こんにちは。高木幸一です。今回の作品「放課後四重奏」は、一見、「俺はまだ恋に落ちていない」と違うような印象を抱かれるかもしれませんが、その実、本質は同じです。
なので前作を気に入って下さった方にも、楽しんで頂けるのではないかと思います。
ぜひ、お手にとってみて下さい。――よろしくお願い致します!
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新作「放課後四重奏」をどうぞよろしくお願いします!