「伊達エルフ政宗」全国編5【北陸・東海】

20160328date_elf_masamune政宗「4月のGA文庫新作『伊達エルフ政宗』本編ではまだ登場しない全国の武将を地域別にいくつかピックアップして紹介していくぞ」

 

 

 

 

20160328date_elf_yuuto幸村「今回は北陸・東海編なんだけど……上杉氏とか武田氏がないのはなんでだ?」

 

 

 

 

20160328date_elf_masamune政宗「あいつらはすぐに本編でも出てくることになるだろう。それに私より有名とかいう奴もいるからな。発売前に目立つのは、なんか許せん」

 

 
20160328date_elf_yuuto幸村「そんな理由!?」

 

 

 

 

132地図

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■朝倉ナーガ義景(本拠:越前一乗谷 福井市)

越前、現在の福井県東部は戦国時代、朝倉氏が代々治めていた。
この福井県を流れる大河川に九頭竜川というのがあるが、この「竜」は朝倉氏から来ている。というのも朝倉氏はナーガの一族だったのだが、このナーガは仏教では「竜」という呼称で神格とされているからだ。
おそらく複雑に蛇行を繰り返す川を九つの首を持つほどの巨大なナーガのようだとでも思ったのではないだろうか。
さて福井県は今でも京都府の隣なので、当時も都が近かった。
勇者になろうと運動していた足利義昭(あしかがよしあき)が朝倉義景(あさくらよしかげ)を頼ったのもある意味当然だった。
「お願い! 今のワタシには後ろ盾が必要なの! 姉さんに負けないような立派な女勇者になるの!」
「眠いんです」
と、朝倉義景は答えた。
というのも冬眠前の時期だったのだ。
ナーガは体の半分が蛇なので冬場は眠る者が多い。そして春に元気に目を覚ますのだ。
「そのうち、起きるのでちょっと待っててください」
義昭はタイミングが悪すぎた。
結局、義昭は各所を転々として、サタンの織田信長を頼ることになった。
その後、朝倉義景は勇者になった義昭の信長包囲網に加わったが、失敗して滅ぼされた。

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■今川トロール氏真(本拠:今川館(後の駿府城) 静岡市)

義元(よしもと)が信長に滅ぼされたあと、氏真(うじざね)はけっこう頑張ってどうにかしようとしたが、ヴァンパイアの武田信玄とイエティの徳川家康に攻撃されて、どうしようもなくなった。
なお、大名として滅んだら、たいてい当主はろくな死に方などできないはずだが、氏真は都に出ていったりしてかなり幸せに暮らしたようである。
なお、トロールは蹴鞠が大好きな種族だったが、これが今の静岡県のサッカー愛に結びついていることは言うまでもないだろう。

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■徳川イエティ家康(本拠:浜松城 静岡県浜松市(元は愛知県の岡崎城))

徳川家康の「家」はイエティの「イエ」からとったものだというのが定説である。たしかに家康の「康」のほうはもともと松平氏の通字なので、名前に入っていても何もおかしくない。もとの松平元康という名前にも入っている。では、なんで家にしたかといえば、イエティだったからと考えるのが自然だ。
この家康、幼い頃からモフモフだったらしい。織田に人質として送られる時に今川に奪われたのも、モフモフだったのを喜ばれたからだという。
そのあともサタンの織田信長の下で、モフモフやっている。最近の悩みの種はそんなに支配領域が広くないので、ヴァンパイアの武田やサキュバスの北条と一対一で戦うとなかなか勝てないことである。

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■斎藤メデューサ道三(本拠:美濃稲葉山城 岐阜市)

じわじわと守護の土岐(とき)氏の中に入りこみ、主君を次々と石化させて、ついには美濃一国を手に入れた戦国大名。俗に「美濃のマムシ」と言われるがマムシより確実に怖いと思われる。油売りというのは伝説に過ぎないが、頭に蛇がたくさんいたら、もしかしたら蛇が舐める用に油はたくさん必要としたかもしれない。
多分、史実ではないだろうが、斎藤道三(さいどうどうさん)とまだ若い織田信長が会見した時の話がある。会見のあと、予想通りのうつけ者でしたなと家臣が笑うと、道三はそんなことはないと言ったというのだ。
「あの信長は私の石化の視線を受けても、顔色一つ変えなかった。あれはとてつもない力を隠してるサタンよ。いずれ私の一族も織田に仕えることになるわね……」
会見の場で石化させる気やったんかいというツッコミも入れたいところだが、とにかく道三の石化能力が恐れられていたことを想像させる逸話である。

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■北畠フェアリー具教(本拠:伊勢国霧山城 伊勢国一志郡多気)

剣豪大名として知られた北畠具教(きたばたけとものり)だったが、サタンの織田信長の侵攻に屈し、ついにその娘である織田信雄(おだのぶかつ)を養女として受け入れることで講和となった。
今、具教の前にまだ十歳を少し過ぎた頃のサタンが座っている。周囲はフェアリーらしく草花で荘厳されて、屋敷の外なのか内なのかよくわからない。
「あ、あの……これから、よろしく、お願いします……」
立場上、四面楚歌なのは信雄もわかっているので縮こまっている。
「まあ、そんなに怖がらなくてもよいぞ」
自分が押されての講和とはいえ、フェアリーの具教は堂々としていた。
「そなたはたしかに我が北畠の家督を継ぐために来た者じゃ。決して粗雑には扱わぬ」
その表情はフェアリーらしく愛らしいもので背も信雄と大差ないほどだが、その目だけは笑っていない。
「それに、私を騙し討ちにしようというサタンの魂胆なら無意味なことだからな」
具教は一振りの剣を抜く。
「北畠の家は元をたどれば惰弱な公家。まして、体も小さいフェアリーときておる。こんなことでは乱世を生きることはできん。だから、私は徹底的に剣を鍛えることにしたのじゃ」
瞬時にフェアリーとは思えないほどの殺気が部屋を包む。
「痴れ者が近づけば即座に斬り捨てるだけのことよ」
「はい……信雄はおりこうにするつもりです……。ただ……」
諦めたようなため息を信雄はついた。それは少女のものにしては変に疲れたものに見える。
「すべては六番目の天のサタンがお決めになることですので……」
「それは信長公のことか?」
弱々しく、信雄は首を縦に振った。
それからしばらく後、北畠氏は何者かの攻撃を受けて族滅の憂き目に遭った。

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「伊達エルフ政宗」、どうぞよろしくお願いします。