日々ラーメンがうまい今日この頃。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
GA文庫K村です。
というわけで、一問一答その2、であります。
Q:異世界を舞台にしたハイファンタジーやSFってGA文庫大賞ではダメなんでしょうか
A:いいえ、そんなことありません。
例えばGA文庫大賞だと、
「魔法の材料ございます ―ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚―(刊行時タイトル同じ)」
が異世界ファンタジーですし、
「絆は連環の如く無限 愛は盾の如く無敵(刊行時タイトル:無限のリンケージ)」
のように異世界ファンタジーと未来世界を合わせた作品もあります。
大切なのは、そこに息づくキャラクター達が魅力的かどうか。
ストーリーがおもしろいかどうか。
前にもこのブログで触れましたが、カテゴリーが直接審査に影響を及ぼすことはないのです。
ていうか、少なくともK村は読むときそんなもん意識しません。
純粋にライトノベルとして面白いかどうか、そこだけが大事。
ただし、異世界にしたことが作品に活かされているかどうか、設定に関する説明がうまくやれているかどうか、といったところはチェックします。
入れてある設定が使われていない、というのは読んでいて気になりますし、説明がグダグダだとそもそも何が起こっているか読者に伝わりませんし。
Q:視点人物がシーンごとに変わるような作品はダメなの?
A:そんなことはありません。
例えば、メインの視点は主人公サイド、敵対する相手方の視点が時々入ってくる、といったものであれば、まったく問題ありません。
それ以外にも群像劇的なものや、複数の視点でひとつの物語を構築するようなものも大丈夫。
ただし、視点人物を増やす、視点を頻繁に切り替える、というのは、それ自体うまくやらないと読者が混乱する可能性が高いです。
というわけで、特に注意してほしいことを挙げてみました。
その1:視点人物が変わったことが読者にスムーズに受け入れられること。
かいつまんで言うと、読んでいて
「を、なんだこりゃ、一体これはどこの誰の話だ」
とならないこと。
これは、上で触れた
・メインの視点は主人公サイド、時々それと敵対する相手方の視点が入ってくる
といった作品でも大切な要素です。
本来基礎中の基礎、というか、これができてないと文字通りお話にならないんですが、意外とできていない応募作が多いです。
その2:複数の視点が効果的に使われていること。
凝ったことをやりましょう、という意味ではなくて、単純に複数視点だからこそ、この作品はおもしろいんですよ、というのが明確にわかるようなものがいいなぁ、という話です。
例えば群像劇であるなら、中心に何か大きな事件があって、それを取り巻く人間模様、という構造になります。
または、敵側の視点を入れることで、そちらの事情というかドラマを見せ、戦いを思いっきり盛り上げるとか。
いずれにしても、全体として見せたい何かがまずあり、それを表現するために複数の視点、複数のドラマがあったほうがいい、という考え方が欲しい。
で、ダメな例としては、読者に作中のある情報を伝えたいのだけれど、視点人物が1人だけだとうまくできない、だから別の視点を入れてフォロー、とかそういう“著者都合による別視点の導入”パターン。
または、単に細切れの話がまとめてあるだけ、とか。
作品は全体でひとつのお話、というのが基本。
そこのところを意識して頂けると幸い。
その3:各視点の話が、過不足なく書けていること。
すなわち、それぞれのパートで、キャラクターや環境が立っていて、かつストーリーに対する興味がきちんとかき立てられること。
ここで注意すべきは、軸を増やすとひとつずつの軸に対して使えるページ数が少なくなる、ということです。
本来ひとつの話、ひとつのドラマであれば全てのページをそのために使えるはずが、複数のドラマを入れることで、それぞれのページが少なくなり、結果としてキャラクターやストーリーがきちんとまわらなくなる、ということがあります。
これは視点に限らず、要素でも同じで、いろんな要素を入れ込みすぎた結果、ひとつずつが使い切れずに崩壊、というパターンもよく見ます。
視点に話を戻しましょう。
まあ要するに、
・視点を分けました
・軸を複数にしました
・ひとつひとつが薄くなっておもしろくなくなりました
では困ります、ということです。
で、その1に関しては、単純に書く技術なので、しっかり理解していれば何とかなります。
その2については視点を増やしたい、増やす必要がある、となった時点でクリアできていないとそもそもおかしい。
その3に関しては、視点が増える=話の軸が増える、となるので、ひとつずつの軸に割けるページが少なくなる、ということを意識しつつがんばればOK。
まあいずれにしても、視点の切り替え、シーンの切り換え、というのは難しいものです。
少しずつスキルを身に付けて、作品のクオリティを上げてくださいませ。
といったところで、今回はここまで。
次回をお楽しみに。