なぜなにGA文庫大賞 一問一答の巻 その6

 だいぶ涼しくなって布団が幸せスペースとして威力を発揮しつつある今日この頃。みなさまいかがお過ごしでしょうか。GA文庫K村です。
 いやもう、眠いっす。
 もともと布団大好きキャラなので、休みの日はゴロゴロうだうだ寝ていることが多いんですが、クソ暑い夏が終わって涼しくなってくると、なおさら布団への恋しさがつのりますです。
 もう一生お布団でもいいよ、ワシ。
 と言いつつ、一問一答も6回目。
 ネタもさることながら、今回は答えだけ言ってしまうとあっさりなんだけど、ちゃんと考えると実は奥が深いネタについてであります。
Q:応募原稿の書式について
A:書式について、だけだと何のことやらわかりませんが、これはGA文庫大賞が第3回前期より、打ち出し不要、テキストファイルでの応募、となったため、
・文字数や行数をGA文庫に合わせて書いていたのだが、それはどうなるの?
・縦書きで読んで欲しいんだけど、そのへんどうなるの?
・1文字だけ次の行にはみ出すのはかっこわるいので見直し段階で修正してキレイに収めていたんだけど、それってどうなるの?
などなど、そうした“体裁に関する疑問”が出てきたのですね。
 なので、今回はそれについて。
 というか、先に答えだけ書いてしまいますと、そもそもテキストファイルというのは、1行あたりの文字数や1ページあたりの行数、書体、その他もろもろのいわゆる“書式情報”や“体裁に関する情報”を一切持っていません。
 持っているのは、そこに置かれている文字と改行コードくらい。
 なので、書くときにどういう環境だったか、1行何文字にしていたか、縦書きか横書きか、などの情報は、きれいサッパリ存在しないことになります。
 それだとせっかくキレイになるように調整した文字数が台無し!
などといった話が出てくるかと思いますが、そこは気にしないでよろしい。
 なぜかというと、審査段階で対象となるのはそこに書かれている作品がおもしろいかどうかであって、最終的な形が整っているかどうか、は審査と直接関係がないから。
 例えばK村は、小説原稿は縦書きじゃないと頭に入ってきにくいので、エディターで縦書きにして読んでいますが、そのときの1行あたりの文字数は、会社のデスクトップならGA文庫フォーマット、Webノートの場合は、画面が小さいので1行あたりの文字数少なめ、という環境です。
 しかもこれ、応募原稿だけじゃなくて、他の原稿もこの環境で読んでます。
 従って、小さいモニターで読んだときとGA文庫フォーマットで読んだときで評価が変わるようでは仕事に支障をきたします。
 あらためて言いますが、大切なのは中身。
 キャラクターが魅力的か、文章が読みやすいか、ストーリーは生きているか。
 そうした作品の本質に関する部分のほうが絶対に大事。
 体裁を整えるのは、本当に最後の段階で間に合うんです。
 また、応募者のみなさんが自分の持っている環境でキレイに体裁を整えたとしても、最終的には修正が入ったり印刷用のソフトに読み込んだりする段階で、もとの体裁は崩れます。
 ブログでも書きましたが、例えば“昼食”という単語に、“いつものラーメン”というルビを振ったとしましょう。
 その場合、ルビの文字が多い分、もとの“昼食”という単語は通常より文字の間隔が空けられた状態で配置されます。
 つまり、ルビを入れなければ
今から昼食を食べに行こう
だったものが、ルビを入れたせいで
今から 昼 食 を食べに行こう
のようになってしまう可能性がある。
 他にも記号や半角文字の入れ方などであちこち崩れたり変わってきたりします。
 で、これって印刷前の最終段階にくるまで実はわからないんです。
 である以上、必要以上に体裁に気を使うのは、あまり得策ではない。
 もちろん最終的に本になる段階では、1文字だけ溢れた文字をどう収めるかとか、ページをめくらせたところにこのセリフを入れたい、などは丁寧にやるべき。
 ですが少なくとも応募原稿の段階でそこに神経を使う必要はありません。
 あ、それからK村は応募者のみなさんがワープロで原稿を書くことをあまり推奨しません。
 なんでかというと、書式や体裁をいじれる分、キレイに整った原稿を見て“これってよく書けてね?”と錯覚する可能性があるからです。
 極端な例えかもしれませんが、原稿用紙に手で書いたものと、ワープロで打ったものでは、ワープロ原稿のほうが“それっぽく”見えます。
 でもその“それっぽさ”というのは、中身とは何にも関係ない。
 単に見た目で誤魔化されているだけ。
 それと同じことが、ワープロで一生懸命体裁を整えたり、書体に凝ったりした原稿では発生しうるんじゃないか。
 傍点しかり、書体しかり。
 やればやるほど見た目はそれっぽくなっていきますが、その一方で書式や体裁によって発生している演出効果に自分が騙されていないか。
 もちろん使える手段は全部使う、というのは考え方としては正しい。
 挿絵や口絵だってそうした演出の一手法として使っているわけですし、本になる段階で、使える効果を使い切る、というのは別に悪いことではないでしょう。
 でもそれは応募原稿でやるべきことじゃない。
 しかもその体裁を整える作業が楽しくなったりすると、そりゃもう本末転倒なわけで、いったいなにをやってますのん? という話になるんじゃないか。
 そんな風に思っています。
 なので、修行段階のみなさんは、むしろ味も素っ気もない、飾りなど使いようのないテキストエディターで書いた方がいいんじゃないかなぁ、と。
 とはいえ、今どきパソコンを買ったら最初からWordが入っていることが多いですし、逆に自分に合ったエディターを探すほうが手間だったりもします。
 まさかWINDOWSのメモ帳で書く、というわけにもいきませんし。
 その意味でもワープロで書いちゃダメ、とは言いません。
 でも体裁に凝るのはちょっと待て、と言いたい。
 それはあなたの文章修行になりませんよ、と。
 ちと話が横にそれましたが、問いに対する回答としては、
体裁をがんばって整えてもあんまり意味ないです
ということになります。
 身も蓋もない答えで申し訳ない。
 といったところで、今回はここまで。
 なんか1回でひとつしか質問が処理できなくなってきた。
 次はもちっと簡潔にやりたいなぁ。