先日「エイリアン2」を見直して、「やっぱオモロイなぁこれ」と感動した今日このごろ。いかがお過ごしでしょうか。へんしうちょK村です。
すっかりブログからご無沙汰して幾星霜ではありますが、ブログ大臣編集Tから、
「GA文庫大賞の選考でオマエはどこに一番着目しているのか、皆さまにわかりやすく説明せよ」
というお題を頂いたので登場した次第。
個人的な嗜好が入ったり割りと極端な方向に話を振ったりする癖があるので、あまり役に立たないかもしれませんが、少しの間お付き合いくださいませ。
●一番大切と思うこと
【面白いかどうか】
これに尽きると言ってしまえばそれでオシマイなんですが、でもここです。
細かいことはいいんです。面白ければ。
ストーリーが破綻していても、キャラクターが支離滅裂でも、面白ければワンチャンあります。マジで。
誤字脱字、構成、キャラクターのモチベーション、視点のゆらぎ等々。応募作には大小様々な瑕疵があります。でもそうした瑕疵は、後から直せばなんとかなるものと、どうにもならないものがあるんです。
このうち「これ面白くないですね」というのは、あとから手を加えてなんとかすることが難しい部類となります。
なので、【面白いかどうか】は一番大事。
ただ、これとは別にちょっと手を加えれば面白くなる、というケースもあります。
「これ、こことここを直せばすごく面白くなると思うんですよ」
的な会話は選考会議でもよく出ます。
なので必ずしも今そこにある応募原稿が作品の面白さを120%発揮している必要はないんですが、とはいえ「面白くなりそう」と思えなければそれもありません。
読んでそのまま面白ければOK。そうでなくても、作品の中に磨けば輝きそうな“面白い”が眠っていれば、それを評価させていただくことがあります。
なのでK村が応募作を読ませていただくときは、
「さあ、こいつは面白いかな?」
と思って作品に突撃するのです。
ちなみにストーリーも構成もキャラクターも整ってる、誤字脱字は皆無、でも面白くない、という作品は、低次の選考は通りやすいかもしれませんが、高次選考は通りません。
だって僕らが新人賞にもとめているのは面白い作品であって、瑕疵のない原稿、ではありませんから。
●着眼点その1
【一つ一つのシーンが面白く書けているか】
上の大切に思うこと、を少し砕いて
「じゃあ面白いかどうかの判定はどこでやりますの」
というお話です。
基本的には全体を見ての話になるんですが、あえてチェックポイント的に言うと
・シーンが面白く書けているか
をK村は重視します。
シーンに合った雰囲気が出せているか、キャラクターがちゃんと自分の意思でセリフを喋っているか、コメディ的なシーンであれば、面白くなっているか、バトルシーンは迫力があるか、キャラクターの感情やドラマが出せているか等々。
これができている作品は、全体を通しても面白いことが多いですし、逆にシーンが書けていないのに面白い作品、というのはレアではないかと思います。
●着眼点その2
【一つ一つのシーンがその役割を果たしているか】
何か必要な情報を開示する、キャラクターの気持ちを出す、次の流れへの大きなきっかけを見せる、キャラクターの関係性を積み上げる等々、シーンにはそれぞれ目的があります。
原則として、作品には無駄なシーンはあってはなりません。
というか、必要なシーンと必要のないシーンを取捨選択するのも面白い作品を仕上げるための重要なスキルです。
「このシーン要らなくね?」
と言われないように調整しましょう。
ここで気をつけないとイカンのは、情報開示のためだけにシーンを立てるケース。
ありがちなのは、キャラクターが突然自分の過去やトラウマを別のキャラクターに語りだすパターン。
後の展開というか、そのキャラクターの今後の行動を補強するために必要な情報である、というのはわかるんですが、そこに意識が向きすぎた結果、
「なんでこのキャラがいきなりそれを語り出すのかわからない」
ケースが多々あります。
「今までずっと心の傷として隠してきたんだよね? なのに出会って3日のキャラにどうしていきなりそれを語り出すの?」
みたいな。
目的ありきはいいんですが、その目的のために物語前後の流れやキャラクターの思考が不自然になっちゃうんですね。
それでも着眼点1の【面白く書けているか】がクリアできていればまだごまかせる可能性があるんですが、そうじゃないと本当にただ必要だから入れただけ、というシーンになりがちです。告白させる事が必要なのであれば、そこに至るまでの流れ(積み)と言い出すきっかけをうまく作ってください。それがうまくできるだけで、作品のクオリティがキュッ! と上がります。
とまあざっくり2つほど上げましたが、いかがでしたでしょうか。
もし何かの参考になれば幸いでありますし、違う意見の方もいるかと思います。
てか、多分ウチの編集部メンバーでも応募作に向き合う時どこを重視するかは結構バラバラです。
新人賞に正解はありません。だからこそ自分の持っている“これがオモロイんじゃ!”という熱い気持ちを作品にぶつけて欲しいのです。
第10回GA文庫大賞後期への募集を心よりお待ちしております!
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