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GA文庫大賞AWARDS

結果発表

第4回GA文庫大賞 優秀賞受賞者発表!

おかげさまで第4回GA文庫大賞は前期385作品、後期570作品、合計955作品ものご応募を頂きました。多数のご応募ありがとうございます。
ここに第4回GA文庫大賞の大賞および優秀賞の選考結果を発表させて頂きます。


大 賞

ペンネーム 作品名
大森藤ノ ファミリア・ミィス

優秀賞

ペンネーム 作品名
七条剛 うちの居候が世界を掌握している!
(受賞作品「ユーキノカケラ」より改題)

奨励賞

ペンネーム 作品名
長物守 木崎君と呼ばないで!
(受賞作品「木崎君と呼ばないで」より改題)
葉月双 空に欠けた旋律<メロディ>
一之瀬六樹 男子×男子×男子
桂木たづみ しきもんつかい
啓都正光 あの旗を立てるのは貴方

期待賞

ペンネーム 作品名
浅城爪牙 B'st

※敬称略・50音順

■GA文庫編集部編集長 北村州識より

 お待たせしました。第4回GA文庫大賞の最終発表です。
 前期後期合わせて応募総数955作の中から選ばれた7本の《奨励賞》作品、そこから今回《大賞》と《優秀賞》をそれぞれ1本選ばせて頂きました。
 まずは各受賞者の皆さま、おめでとうございます。

 さて、今回《大賞》を受賞した「ファミリア・ミィス」ですが、スタンダードなファンタジー世界を舞台に、RPG的設定をうまく融合させてオリジナル色を出しており、そこが高く評価されました。
 また、そうした世界に息づくキャラクターたちも個性的で、かわいい女の子を求めてダンジョンに潜る主人公のベル、そんな駆け出し冒険者のベルを心配しつつもう一つ素直になりきれない落ちこぼれ神様の少女ヘスティア、最強の一角と言われる【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインなど、読んでいていつの間にか頭の中で彼らが動き出している、そんな楽しさを感じました。

 《優秀賞》受賞作の「うちの居候が世界を掌握している!」は、ある日かわいい三姉妹のいる家に転げ込んだ居候が、実は超高性能人工衛星を自由に使いこなすトンデモ中学生だった、という切り口のちょっと変わったホームコメディ。
 三姉妹のかわいさと常識から若干はずれ気味の主人公・真哉が、日常的なんだけど大きな事件を通じてわかりあい、家族のピンチを大逆転の一発で切り抜ける。そのカタルシスの気持ちよさと、前向きなキャラクター像が印象的な作品でした。

 前期後期《奨励賞》受賞者発表のコメントにも書きましたが、第4回GA文庫大賞の受賞作はどれも書き手の“これがおもしろいんだ!”という気持ちが強く出ており、GA文庫の新しい1冊として自信を持って送り出せる作品ばかりです。
 すでに刊行されている作品、これから世に出る作品、ともに楽しんでいただければ幸いであります。

大 賞

ファミリア・ミィス

PN. 大森藤ノ

【あらすじ】

「……大丈夫ですか?」
 ダンジョンで怪物に襲われている僕を助けたのは、女神様と見紛うような少女だった。
 彼女の名前は【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。
 神様と人間とによる最大派閥【ロキ・ファミリア】に所属する第一級冒険者。
 ヒューマン、いや異種族間の女性の中でも最強の一角と謳われるLv.4。
 腰まで真っ直ぐ伸びる金髪は、いかなる黄金財宝にも負けない輝きを湛えていて。
 女性から見ても華奢な体の上にいたいけな女の子のような童顔がちょこんと乗っている。

「あの……大丈夫、ですか?」
 大丈夫じゃない。
 全然大丈夫じゃない。
 今にも爆発して砕け散ってしまいそうなこの僕の心臓が、大丈夫なわけがない。
 ほんのりと染まる頬、相手の姿を映す潤んだ瞳、芽吹く淡い……いや、盛大な恋心。
 妄想は結実、配役は逆転、想いはド頂点。
 僕の心はこの時に奪われた。

 ――ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?

【選評】

 数多の階層に分かれ凶悪なモンスターの坩堝となっている『ダンジョン』、最強と謳われる蒼い装備に身を包んだ金眼金髪の女剣士、そして下界に降り立った美しくも個性豊かな『神様達』。
 物語を彩るすべての要素が王道であり、骨太であり、美しくあり、最高に恰好イイ! と思わせてくれる作品でした。
 また主人公のベルの、序盤の「ダンジョンに出会いを!」というおよそファンタジーの主人公らしからぬ動機から、中盤での「自分は強くない」「このままではいけない」と大きな挫折を経験することにより、本当の強さを探求していく様は、ひとりの少年の成長物語としても十分に楽しむことができます。
 さらに、主人公を影から支えるヒロインの女神・ヘスティアも本当に健気で可愛いく、作中に良い意味での柔らかさを与えてくれました。
 壮大な世界観、魅力溢れるキャラクター、ストーリー構成など、どれもが秀逸であり、まさにGA文庫大賞の名に恥じない作品です。

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優秀賞

うちの居候が世界を掌握している!
(受賞作品「ユーキノカケラ」より改題)

PN. 七条剛

【あらすじ】

 はるばるドイツから日本の貧乏工務店・飯山家にやってきた少年、笠取真哉。
 その正体は、世界有数の大企業オリオンリュートの創業者にして、指先ひとつで軍事衛星さえ操れるハイスペック中学生男子である。
 ワケあってその素性を隠したまま、真哉はここ飯山家に居候することになったのだが……

「この家には年頃の女の子がいるのよ! いきなり同居だなんてっ!」

 そこには趣味も性格もバラバラな可愛い三姉妹も一緒に住んでいて!?
 今までの経験が役に立たない環境で、社長ぉ、どうするんですかっ?

 世界一無敵な少年社長と面白かわいい三姉妹が送るGA文庫大賞《優秀賞》受賞のアットホームラブコメディ!

【選評】

 繊細な優しさと桁外れな強さをもつ新しいタイプの主人公・真哉が、若い感性をもった読者さんからの憧れを誘うのではないか。そうした主人公のキャラクターが放つ魅力が大きな決め手となりました。また、スマートフォンを使ってキラー衛星を私的に操ってしまうという、日常から非日常へとダイナミックに飛躍するアイデアも光っていました。
 そして真哉をとりまく三姉妹はいずれも魅力的です。彼女たちとの交流を通して、真哉の渇いた心が次第に変化していく様子が丁寧に描かれていました。特に長女の桃香が、泣くことを忘れてしまった真哉にかわり、彼の分まで涙を流してくれるシーンを高く評価する審査員の声もありました。

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奨励賞

木崎君と呼ばないで!

PN. 長物守

【あらすじ】

 木崎湧はいい奴だ。
 俺みたいにどうでもいい奴じゃない、本当に気のいい奴なんだ。頭もルックスもいい、いいことずくめなのに嫌味なとこがない。学業優秀、運動能力抜群ときたもんだ。
 春夏秋冬常にジャージ姿なところから、人は彼女を『ジャー様』と呼び慕い、涼やかな容姿も相まって木崎は本校の『もっとも彼氏にしたい女子』となっている。
 つまり、女と認識されてはいないのだ。
 でも俺はある日見てしまった。ラブレターを片手に女子ブレザーで身を包んだ木崎の姿を。
 そして気づいてしまった。その表情があまりにも可憐で美しい乙女であることを――
 そうなのだ。実は木崎湧は、とてもかわいい女の子だったんだ。

【選評】

 昨今のライトノベルの中では、異質に感じるほどに裏表がまったくない、超天然美少女「木崎湧」の魅力が高評価でした。
 また、その木崎の恋を応援する主人公の健気な奮闘ぶりも読み手の心を熱くさせるものがあり、これぞ青春! と感じさせてくれる作品だと思います。
 もちろん、学園のアイドル姉弟や可愛い幼馴染みなど、学園モノに必要な要素もしっかりと押さえており、1つの作品として満足感の高いものに仕上がっていました。

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奨励賞

空に欠けた旋律<メロディ>

PN. 葉月双

【あらすじ】

「僕は、魔女さんのことが、好きです――」

 百年以上前から泥沼の戦争が続く世界。
 レイは中央都市大爆撃の日、単騎で敵の爆撃機を撃墜し続ける、銀色の魔女に恋をした。
 銀色の魔女、歌う魔女、戦争の魔女、殺戮の魔女――銀髪の美しい英雄、クッキィ・ハーツに憧れたレイは、幼馴染のエリィとともに士官学校に進み、パイロットとして、彼女のいる基地にやってきた。しかし、配属早々の敵襲で出撃することになるブラッド隊長、クッキィ、レイ、エリィ。
 その戦闘のさなか、敵のエース・シルバーフィズにクッキィが撃墜されてしまう。止める隊長やエリィを無視し、レイはクッキィを助け、戦線を離脱する。
 戦域から離れた場所で、死を望んでいるかのようなクッキィの言動に、思わず告白してしまうレイ。
 そんなレイに、クッキィは銃口を向け、甘くささやく。
「世界を変えてみない?」

 永遠に続く殺し合い――絶望的な世界のなかで、疾走する空戦と恋の旋律。

【選評】

 独特の世界観で繰り広げられる戦争を舞台とした物語が、とても魅力的でした。
 個性的なキャラクター、錯綜する心情が、とても鮮烈に描かれておりました。
 物語はスピード感があり、単なる予定調和で終わらないドラマチックなストーリーで、非常に楽しんで読むことができました。
 他にも担当してみたい魅力的な作品が多かった中、「私はこの作品が大好きだ。私が担当する!」と選考時に手を挙げた作品です。

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奨励賞

男子×男子×男子

PN. 一之瀬六樹

【あらすじ】

 名門私立ユリウス女学院――良家の令嬢が通う歴史と伝統ある淑女の園。
 翌年からの共学化にざわめくこの学園に今、おバカすぎる3人のイレギュラーが混じっていた。

 剣の道を愚直に突き進みすぎて迷わず入学してしまった祐紀。
 男性恐怖症を克服したいと願い《漢》の生きかたに憧れる桜。
 そして、可愛すぎる容姿のせいで社会的に女子としてしか扱われない真理。
 彼らは皆、美少女より遥かに可愛く美しく清らかであるが、悲しいことに男である!

 三人はそれぞれの止むに止まれぬ事情から、ユリウス女学園の共学化を目指してひた走る!!
 だが、学園女子生徒の意思決定機関《支援同窓会》が大きな壁となって立ちはだかるのだった……。

 男子と男子と男子がお嬢様だらけの学園で大暴走!!
 女子校ドキドキ潜入&ハイテンション学園バカ闘争ラブコメディ!

【選評】

 女子校に男子生徒が一人まぎれ込むといえば定番なネタですが、もし紛れ込んでいるのが一人ではなく三人だったら? という、王道にほんのちょっとの工夫をくわえたアイデアの出発地点から、最大限に面白さを引きだしている作品です。
 あの手この手で読者を楽しませようとする工夫が見られ、物語を追いかける楽しさを感じさせてくれます。
 そして文章のスピード感、ギャグの切れ味、細部にまで気を配られた構成など、優れた点はいくつもあります。なかでも、一人一人のキャラクターにしっかりと役割があり、それが有機的に関連しあって物語を形成しているのが大きな魅力です。また、主人公・真理(しんり)を中心としたおバカな男子高校生三人の信頼と友情も見どころです。

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奨励賞

しきもんつかい

PN. 桂木たづみ

【あらすじ】

 謎の生物『しきもん』の一種『ゆんてぃぶらぶろ』と対峙する元春に、小柄な少女が声をかける。
「中学時代の、恥ずかしい思い出話をしてください。ゆんてぃぶらぶろは、思春期の男子の、中学時代の恥ずかしい思い出話が大嫌いなんです」
「だから本当に、どんな生物だよ、しきもんってヤツは──」

 ある日、高校生の山本元春は、不思議な少女・柊もえぎと知り合った。彼女の持っていた大きな本『しきもん大百科』に偶然触れてしまった彼は、それ以降『しきもん』たちが日常的に見えるようになってしまう。
 自分のことを『しきもんつかい』だと名乗るもえぎのマイペースっぷりと、『しきもん』たちのおかしな生態に興味をひかれる元春。だが、彼女といっしょに行動するうちに、いつしか『しきもん』を巡る大きな騒動に巻き込まれてしまい――!?
 果たして、その結末は!?

【選評】

 ヒロイン・柊もえぎの、天然なのかトボけているのか掴みにくい、マイペースなキャラクターが大きな魅力で、そんな彼女と主人公とのやりとりも、楽しく仕上がっています。
 ツッコミどころ満載な『しきもん』の設定も、独特な面白みを持っており、それを巡る展開も興味深いものになっていました。
 作品全体に漂うユニークなテイストが、選考時に高い評価を受けました。

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奨励賞

あの旗を立てるのは貴方

PN. 啓都正光

【あらすじ】

『初めまして、私はPlasu-777-TYPE-F002-DRAPEAU(ドゥラポ)です。以後お見知りおきを』

 超絶美人で運動神経も抜群、なのだが思考回路が“超兄ラブ&リアル武士道”という残念美少女旗神華心を妹にもつ高校生旗神一心。ただの高校生だったはずの彼がある日道端で拾った携帯音楽プレイヤーから聞こえてきたのは、ドゥラポと名乗る女性の声。
 どうやら彼女は拾った人間に異能力を与えてくれるらしいのだが、

『能力に関してですが、単純にミサイルを発射させる能力かもしれません。もしくはゴミの分別スピードを大きく上昇させる能力かもしれません』

 全くわけのわからない説明と、あてにならない相棒のドゥラポだけを頼りに、とりあえず様子見を決め込んだ一心だったが、そこに彼を付け狙う敵が現れて……。

 はたしてどうなる、この戦い!

【選評】

 残念妹の華心や、密かに一心に心を寄せる委員長、どうにも掴みどころのないドゥラポと、クセモノばかりのキャラクター達が繰り広げるやり取りがまず高評価。
 日常シーンのテンションが高く、ノリと勢いの良さがキャラクターの味を際立たせるところも楽しく、全体に飽きの来るところがないというのはこの作品の強みだと思います。
 異能バトルの部分も、力任せではないルールの裏を付く頭脳戦となっており、窮地に追い込まれた一心がどうやってそこから脱出するのか、最後まで目が離せない展開とラストのすべてを吹っ飛ばすようなカタルシスも本作の魅力です。
 誤字が多い、文章が荒い、などの粗も目立ちましたが、それをものともしない勢いを買って《奨励賞》とさせて頂きました。

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