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GA文庫大賞AWARDS

結果発表

第17回GA文庫大賞 受賞者発表!

おかげさまで第17回GA文庫大賞は前期674作品、後期791作品、合計1465作品ものご応募を頂きました。多数のご応募ありがとうございました!
ここに第17回GA文庫大賞の選考結果を発表させて頂きます。


銀 賞

ペンネーム 作品名
細波小路 お嬢様頭脳戦~お嬢様は頭脳ゲームの完全勝利をご所望です~
(受賞作品「没落名家と不退転執事―お嬢様頭脳戦―」より改題)
四十万チマ さようなら運命の人。二日前でまた会いましょう。
ちゅるけ 負けを認めたら、もっと触らせてあげるけど? ざーこ♡
(受賞作品「メスガキが多すぎる! ~無口クール生意気っ子の構い方~」より改題)
冬月渉 デスゲームは悪夢の中

※敬称略

■総評
 お待たせしました。第17回GA文庫大賞の最終結果発表です。

 前期・後期あわせて応募総数1465作と多数の応募をいただきました。皆さまの力作をGA文庫大賞にご応募頂き、誠にありがとうございます。
 さて先日行われました通期選考会にて、応募作1465作品の中より《銀賞》4本の受賞作品を選ばせていただきました。

 《銀賞》を受賞した4作品はどれも一芸に秀でたユニークな内容になっています。
 個性豊かなヒロインに翻弄されるHなラブコメディ、一流企業の令嬢が集う学園での頭脳バトル、ヒロインを救うためにループするサスペンスラブコメ、悪夢を題材としたホラーミステリーと、バラエティに富んだ作品が揃っています。どのタイトルも読者の皆様にご満足いただけるよう制作、改稿作業を進めておりますので、新たな才能が紡ぐ物語にご期待ください。

 厳正なる選考の結果、第17回では残念ながら《大賞》《金賞》の受賞作品は無しということとなりました。
 選考会でも熱い議論が交わされ、新人賞としての意義や過去の受賞作品の権威、作品の性質を考慮し熟考を重ねた結果、本判断に至りました。

 現在募集中の第18回GA文庫大賞では審査基準をアップデートし、新たに文芸部門やコミック部門等での受賞も検討しております。
 受賞部門を増設した理由としては、近年多種多様なエンターテインメント小説が増えており、従来のライトノベルの枠には当てはまらないものの面白い作品が取りこぼされることを防ぐため、そして同時に従来の少年少女向けのライトノベルとして魅力的な作品を見逃さないようにするためです。
 笑えて、泣けて、熱い。かわいくて、かっこいい。ライトノベルとして面白い作品はより個性を特化したエンタメ作品に。文芸として完成度が高い作品は、より読み味を洗練させていき読者層に合わせた内容に。作品に合わせた売り方・出し先を検討し、GA文庫大賞として相応しい受賞作品を発掘・制作して参ります。

 今回はこのような判断となりましたが、GA文庫大賞は皆様の「面白い!」が詰まった作品をこれからも心待ちにしています。
 今後のGA文庫大賞にも引き続きご応募いただけることを、編集部一同楽しみにしております。

■第17回特別審査員・大森藤ノ先生より
 惜しい!!!!
 尖りに尖ったキャラが動き回っている作品、ストーリーや設定がとにかく秀逸な作品、四本の受賞作全てがこの二種類に分かれていたことにまずびっくりして、見比べれば見比べるほど「このキャラクターとこのストーリーが揃っていれば」と思わずにはいられない、歯がゆい選考となりました。
 何より、片方の要素のみで勝負するには残念ながら突き抜けてはいない。そんな判断から今回はオールシルバーという結果になりました。

 受賞された皆さん、まずはおめでとうございます。
 金賞以上を出さなかった私やGA文庫編集部さんに「フザけんな今に見てろ!」とドス黒い感情を燃やし、どうか改稿した原稿で私達にぎゃふんと言わせてください。
 そして受賞を逃してしまった皆さん、およびこれから新人賞に挑もうとしている皆さん。
 目まぐるしく変化する出版業界を受け、レーベルはクオリティやニーズ、ブランドイメージを求めがちです。
 ですが、矛盾するようですが、ご自身が「面白い!」と思えるものを叩きつけてください。そんな作品が業界に風穴を開けると、私は信じています!

銀 賞

お嬢様頭脳戦~お嬢様は頭脳ゲームの完全勝利をご所望です~
(受賞作品「没落名家と不退転執事―お嬢様頭脳戦―」より改題)

PN. 細波小路

【あらすじ】

 栄華極まる真のお嬢様だけが通うことを許された私立雪花学院女子高――の隣に立つフツーの高校に通う俺・隼人の運命は、一人のお嬢様、晴音の手に握られていた。
「ゲームの天才。百億の少年。あなたなら私を勝たせてくれるでしょ?」
 お嬢様学園で秘密裏に行われる巨額を賭けた頭脳ゲーム『アクォード』。
その戦いでまさかの全戦全敗を喫する最弱お嬢様・晴音が追い詰められて投じた最後にして最大の賭け――実はアクォード世界ランカーであるこの俺を最強執事として雇うこと⁉
 お金なら出す、けど作戦は全部考えて!ってマジかよ!? だが、いいぜ。大逆転が一番面白いからな!

【選評】

 超がつくお嬢様学園の裏で、実は大金や謎の『お嬢様ポイント』を賭けて競い合う、お嬢様同士のスリリングなゲームが行われている。さらには『お嬢様ポイント』の増減で日本経済に影響が出てしまうことすらあるという荒唐無稽かつ壮大なスケールで読者を別世界に連れていってくれる快作です。現実世界に照らして考えるとそんなバカな!と思えるようなことも、突き抜けたノリと勢い、そしてキャラクターの魅力でグイグイと読ませて、よけいなことを考えさせるヒマなく楽しませ続けてみせるという、作者の剛腕が光る極上のエンターテインメントでした。貧乏ながらも明るく暮らす天才少年・隼人と、これ以上敗北が許されないのに勝ち目のない戦いに挑まざるをえない晴音お嬢様とが出会い、お互いに無いものを補いあいながら相性最高のタッグに成長していく姿は感動的ですらあります。ゲームもよく練られており、特に隼人の機転で劣勢から華麗に逆転していく展開は爽快で、ゲーム小説に期待する面白さをたっぷりと味わうことができました。本来なら参加することもできないはずの超上流階級のお遊びに、持たざる者である隼人がダークホースとして乱入し、次々と下剋上に導いていく様子は痛快の一言です。無一文からの成り上がりサクセスストーリーとしても楽しめますし、絶妙な主従関係のラブコメとしても味わえる、たくさんの面白さが詰まった味わい深い作品です。

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銀 賞

さようなら運命の人。二日前でまた会いましょう。

PN. 四十万チマ

【あらすじ】

 死に戻りの力を持つ青年・倉田修純。
 彼は、恋人の須美琴華を救うため、ループを知るもう一人の少女・津ケ原夜途と二日間を繰り返す。
 しかし、何度やり直しても、琴華が死ぬ。逃れられない死の運命に絶望する修純に、夜途の毒が忍び寄る。
「私と一緒に毎日を楽しみましょう。頭を空っぽにして遊びつくすのです」
「寒さも気にならなくなるくらい気持ちよくしてあげますよ」
 琴華は死ぬ。どうせ世界はループする。やり直してしまえば、覚えているのは二人だけ。だったら――
「ループを続けましょう。そうすれば誰も覚えていませんよ」
 ループ×恋愛×サスペンス。甘く、刺激的で、歪な“二日間”が始まる。

【選評】

 恋人を救うために“恋人以外の女の子”と同じ二日間を繰り返す、どこか歪んだタイムリープの物語。主人公・倉田修純が持つ、とある条件下で発動するタイムリープ能力がキーとなる作品です。ループ設定をうまく使った、意外な切り口の、一筋縄ではいかない新しい『ループもの』でした。
 本作の魅力はなんといっても、ヒロイン・津ケ原夜途のアンバランスさ。愛する倉田のためならば●●でも▲▲でもなんでもしてみせる、と公言する津ケ原。彼女のタガの外れた思考と、その合間に見え隠れする倉田に可愛く見られたいという普通の女の子としての健気な想い。恋のためという動機は普通だが、とる手段があまりにおかしい。一見チグハグにも思える2つの要素が、一人の人物の中に非常にうまく落とし込まれていました。
 さらに、物語全体も津ケ原のトリッキーな動きによってかき乱されていて、最後まで先が読めない展開の連続。このシーンどうするんだよ…という改稿必須のとんでもないシーンもありつつ、一挙一動から目が離せないピーキーなヒロインを核とした、読者を飽きさせない物語になっていたように思います。
 “二日間”を繰り返す倉田は、無事に恋人を救うことができるのか。津ケ原はどうしてタイムリープについてこられるのか。やばくてかわいい津ケ原に精神的にも肉体的にも振り回されてしまう倉田の行く末は…?  甘く、そして毒々しいループをどうぞお楽しみください。

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銀 賞

負けを認めたら、もっと触らせてあげるけど? ざーこ♡
(受賞作品「メスガキが多すぎる! ~無口クール生意気っ子の構い方~」より改題)

PN. ちゅるけ

【あらすじ】

「ざーこ、ざーこ♡」
「頑張れ、頑張れ♡」
「プライド無いんですかぁ?♡」
 世間には『メスガキ』という少女がいる。いやらしい格好や言動を駆使して、思わせぶりに男を誘惑してくる小悪魔たち。
 俺・紀伊八尋もメスガキに翻弄される一人だ。
 クラスメイトには言葉で。幼馴染には足で。そして優等生には乳で責められて――俺の理性は限界寸前!
 こいつらに打ち勝つ方法はたった一つ――“わからせる”こと。
「なら来いよ、メスガキ共。お前ら全員、わからせてやる!」
 登場ヒロイン、全員メスガキ⁉ 勝って爽快、負けても快感!
 ラノベ史上最も“気持ちがいい”青春ラブコメディ、開幕!!

【選評】

 メスガキヒロインたちに翻弄される男子高校生・八尋の日常を描いた、ちょっぴりHな青春ラブコメディ。
 普段はダウナー美少女な小羽をはじめ、タイプの異なるヒロイン達は心を許した八尋の前では態度が豹変。ありとあらゆるシチュエーションで誘惑してくるのですが、その淫らな可愛さに気が付いたら虜になっていました。
 そんな「メスガキ」たちをメインヒロインに据え、その魅力を極限にまで引き出す表現力は本作の大きなストロングポイント。思わず読みあげたくなるパワーワードの数々に私の腹筋は破壊されれば、執念すら感じる女体描写には思わず感動させられました。
 ライトノベルというジャンルじゃなければ発掘されることのなかった稀有な作品、そして才能だと感じます。読んだ瞬間に、「鬼才」の二文字が思わず浮かびました。
 とはいえ本作は、尖ったテーマ性ゆえに、読み手によって大きく評価が変わる事が容易に想像できます。編集部でも大いに評価が割れました。
 本作が読者の皆様にとって毒になるか薬になるか──ぜひ、ご自身の目でお確かめを。

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銀 賞

デスゲームは悪夢の中

PN. 冬月渉

【あらすじ】

「ナイトメアゲームの参加者がそろいました。第一回目は『脱出ゲーム』です。死なないように頑張りましょう!」
 山吹春斗はどこにでもいる高校一年生。サッカーが好きで、バイトに明け暮れる平凡な――そう、思っていた。この“悪夢”の空間にとらわれるまでは。
 夢の中で突如参加させられた『ナイトメアゲーム』。負ければ、死。幼馴染、クラスメイト、女子大生、インフルエンサー――彼らとともに、この悪夢から誰一人欠けることなく生還することはできるのか。そして参加者の中に紛れ込んだ“元凶”の正体とは――?
 誰もが、“夢”に囚われる。永遠に終わらないデスゲーム、開幕。

【選評】

 デスゲームものの作品の魅力といえばなんでしょう。グロテスクで残酷な死? キャラクターの奇抜さ? 本作で最も魅力的なのは、まさに「ゲームそのものの面白さ」。作者のずば抜けたゲームメイクのセンスによって読者を作品に引き込む力は、まさに圧倒的と言えるでしょう。
 主人公・山吹春斗が目覚めたのは、見慣れぬショッピングモール。そしてスマートフォンに表示された『ナイトメアゲームへようこそ!』の文字。登場人物たちは、悪夢のようなデスゲームの世界に閉じ込められます。殺人ピエロの目をかいくぐり脱出しなければ、死よりも恐ろしい悪夢にとらわれ続けることとなる――同じくとらわれの身となった同級生や参加者たちと協力し、正しい脱出方法を見つけることはできるのか。恐怖に晒されながらも、提示されたヒントの真意を探り春斗が導き出した正解には、「そう来たか!」と思わせるような意外性もあり、読者にカタルシスを感じさせるエンタメ性もそなえた作品です。
 担当編集も他の仕事を忘れて一気読みしてしまった本作品。ぜひ皆さんも、この悪夢のゲームを体感してください。