GA文庫TOP > GA文庫大賞 > 第18回GA文庫大賞(2025年)
GA文庫大賞AWARDS
第18回GA文庫大賞 受賞者発表!
おかげさまで第18回GA文庫大賞は前期765作品、後期765作品、合計1530作品ものご応募を頂きました。多数のご応募ありがとうございました!
ここに第18回GA文庫大賞の選考結果を発表させて頂きます。
文芸部門
金 賞
| ペンネーム | 作品名 |
| 紺郷席春 (受賞時PN 麟火遺跡より改名) |
探偵簒奪‐コドクの推理‐ |
銀 賞
| ペンネーム | 作品名 |
| 伊多良 天狗 | コミュ症陰キャ剣聖に、英雄なんて荷が重い (受賞作品「コミュ障陰キャ剣聖」より改題) |
| 佐々和丈晴 | ツンデレ絶滅時代の学園 |
| 橋本秋葉 | そしてエクソシストは甦る (受賞作品「暁のエクソシスト」より改題) |
※敬称略
■総評
お待たせしました。第18回GA文庫大賞の最終結果発表です。
前期765本・後期765本、あわせて応募総数1530作品。特に前期選考は近年最も多い応募数となり、非常に盛り上がりました。みなさまの力作をGA文庫大賞にご応募頂き、誠にありがとうございます。
さて、先日行われました通期選考会にて、《銀賞》を3作品、そして文芸部門にて《金賞》を1作品選ばせていただきました。
文芸部門《金賞》を受賞した「探偵簒奪‐コドクの推理‐」は、曲者揃いの探偵たちが極限の推理バトルロイヤルを繰り広げるエンターテインメントミステリ作品。世界観、キャラクター、トリック、どの要素をとっても秀逸で、編集部からはもちろん、特別審査員からも称賛の声があがりました。きっと読者のみなさまにもお楽しみいただけることと思います。
なお、本作は、GA文庫大賞文芸部門における初の受賞作として、2026年秋新創刊予定のエンタメ文芸レーベル「SB文庫」からの刊行を予定しております。
《銀賞》受賞の3作品は、暗い過去を持った天才が再起するまでを描いたダークファンタジー、引っ込み思案な少女が剣で活躍する王道ファンタジー、特定のヒロイン属性をふんだんに活かした学園ラブコメです。
バラエティに富んだラインナップの《銀賞》3作品は、いずれもGA文庫から発売予定。
《金賞》《銀賞》ともに読者のみなさまにお届けするため制作を進めておりますので、発売を楽しみにお待ちください。
次回、第19回GA文庫大賞の前期受付は、すでにスタートしています。
GA文庫大賞は、初の受賞作品が出た文芸部門はもちろん、王道的なファンタジーや明るく楽しいラブコメなど、ライトノベルからエンタメ文芸までの多種多様な作品をジャンル不問で幅広く求めています。
皆様の「好き!」が詰まった作品を編集部一同、心よりお待ちしております。
■第18回特別審査員・大森藤ノ先生より
『この設定はやられた』『自分だったらこう書く』『こんなシーンを書いてみたい』。
そんな風に、審査員ということを忘れさせて『競い合う同業作家』の視点で作品を読ませてくれた時点で、今回の新人賞はレベルが高かった、あるいは設定や演出が優れていたと思います。
特に金賞の『探偵簒奪‐コドクの推理‐』は、個人的にライトノベルやライト文芸で最も重要だと思っている『予想通り期待を超えてくる』点が高評価でした。
読み手の期待を裏切らず、なおかつ飛び越えてくる。
私はそんなことが大切だと思っているので、受賞者の皆さんも、受賞には届かなかった皆さんも、どうか話半分程度に受け止めて、次の執筆に向けて頑張っていただきたいです。
そしていつか、予想も期待も飛び越えてくるスゴイ作品を読ませてください!
■第18回特別審査員・佐藤真登先生より
第18回GA文庫大賞の受賞者のみなさま、この度はまことにおめでとうございます。
みなさまの心血を注いだ渾身の原稿、楽しく読ませていただきました。
通期選考に残った四作品は、ミステリー・ファンタジー・ラブコメ・退魔サスペンスとジャンルがくっきりと分かれています。どれもジャンルの強みを活かしたストロングポイントが明快で、同時に尖りに尖って拒否反応を引き起こすか熱烈な魅力となるか紙一重の短所も備えていました。
選考会議の中でも審査員同士で推す作品が違ったり、あるいは編集部と評価や受賞の基準で論争を呼んだりといった場面もありましたが、終わってみればおおむね順当な結果に着地したように感じます。
審査員をして強く感じたのは、どの受賞作も伸びしろがまだまだ残されているということです。受賞の審査はあくまで発売前の話でしかなく、受賞者のみなさまはここからさらに推敲を重ねて、パワーアップを果たした作品で商業の場に殴り込んでくださるに違いありません。
書店に並んだ第18回GA文庫大賞受賞作を手に取る日を、読者の一人として楽しみにさせていただきます。
■第18回特別審査員・小林湖底先生より
受賞者の皆様、おめでとうございます。どの作品もたいへん楽しく読ませていただきました。
Web発の小説が多様な広がりを見せている昨今、ライトノベル新人賞に求められるのは、よりいっそう著者個人の独善的な「好き」が詰め込まれている作品だと思います。「GA文庫は○○を欲しがっているだろうから○○を書こう」と予想をつけて挑む作戦もアリですが、流行に合わせるのは後からでもできるので、応募原稿くらいは性癖を盛り込んで尖り散らかしても良いのではないでしょうか。
その意味において、拝読した四作品はいずれも程度の差こそあれ「好き」が詰め込まれているように感じられました。『コミュ障陰キャ剣聖』は可愛らしい王道性、『暁のエクソシスト』はダークな雰囲気とラストの爽快感、『ツンデレ絶滅時代の学園』は破天荒なキャラと世界観、『探偵簒奪‐コドクの推理‐』は特殊な設定と伏線回収の気持ちよさ。
もちろん突っ走りすぎている箇所もありまして、それが金賞や銀賞といった評価の差に繋がっている部分はあるでしょう。
ただ、足りない点は改稿をすれば問題ありません。GA編集部の皆様が上手い具合に調整してくれます。ですのでこれから応募を考えてくださっている皆様は、ぜひ自分の趣味をぶち込んだ原稿を送ってみてください。
新人賞から飛躍するのはそういうタイプの作品なのではないかと思っております。
文芸部門
金 賞
探偵簒奪‐コドクの推理‐
PN. 紺郷席春(受賞時PN 麟火遺跡より改名)
【あらすじ】
地位も名誉も「名探偵」だけが手にすることができる時代。しかし――1つの事件に対して、調査に乗り出す探偵、平均10.6人。探偵の総数はじつに100万人。探偵がひしめくこの世界は、"探偵飽和時代"を迎えていた。事件解決のためなら過程は不要、使う手段も選ばない。一秒でも早く、誰より先に。解決とは奪い取るものである。
探偵に対して事件が足りない。生き抜くためしのぎを削る探偵たちのために、国はとある祭典を開いた。それは、前代未聞の探偵選別戦【月虹の儀】。探偵としての将来が約束される唯一の機会。
集められたのは、七人の曲者揃いの探偵たち。彼らは与えられた特殊な探偵道具を用いて、極限の推理を競い合う。
探偵蟲毒の中で最後に立っているのは果たして誰だ――探偵はもう、事件を解くだけでは生き残れない。空前絶後の推理バトルロイヤル、開幕。
【選評】
事件が枯渇し、百万人もの探偵があぶれる"探偵飽和"の世界。そこでは正しい事件解決は元より、誰よりも早く事件を解決しないと生き残れない――。まさに“探偵蟲毒”ともいうべきハッタリの効いた世界観に冒頭から強く惹きこまれました。広義での特殊設定ミステリに分類される本作ですが、登場する探偵たちのエッジが効いたキャラクター性、それぞれが保有する特殊なアイテムを絡めた推理やトリック、テンポよく読者を飽きさせない展開、幾重にも張り巡らした伏線を回収しきる構成力、どの要素をとっても秀逸でした。編集部や特別審査員から高い評価を得た本作は、読者のみなさまにもお楽しみいただけるのではないかと思います。
本作は、第18回より新設された文芸部門での《金賞》というかたちでの選出となりました。高いエンターテインメント性を備えた本作をどの部門での受賞作とするべきか、というところが選考の焦点の一つでしたが、「より多くの読者に、より適切な形で作品を届ける」という観点から、従来のライトノベル読者層とは異なる新たな読者層に広くリーチできる可能性を感じられた本作は、文芸部門での選出とさせていただきました。
銀 賞
コミュ症陰キャ剣聖に、英雄なんて荷が重い
(受賞作品「コミュ障陰キャ剣聖」より改題)
PN. 伊多良 天狗
【あらすじ】
人見知りが過ぎて使用人にすら声をかけられない根暗令嬢シャルリー。彼女の生きがいといえば、誰も来ない裏庭でこっそり剣を振ることだけ。
ある日、庭で倒れていた美少女を助けたことで、シャルの人生は一変する。少女の正体は絶賛行方不明中の聖帝ラウラ。しかも彼女は、「私の〈剣聖〉になってほしいの」と告げてきて……?
挨拶だけで気絶寸前、それでも剣だけはやたら強いコミュ症陰キャが、陰謀と混乱渦巻く聖都へ殴り込み⁉
対人能力はド三流、ただし剣技は超一流!
コミュ症陰キャには荷が重すぎる英雄譚(?)が、今始まる――!
【選評】
人に会いたくないがために一日中剣を振り続け、知らぬ間に強くなりすぎてしまった少女・シャルが主人公の、巻き込まれファンタジーです。大陸の最高権力者「聖帝」を名乗る少女ラウラに出会ったことで、身の丈には到底合わない出来事の数々へと否応なしに身を投じていくことになります。ラウラからシャルへの頼みはたったひとつ――〈剣聖〉となること。「私みたいなコミュ症陰キャには無理ですよぅ……」とぼやきながらも、少しずつ、確かに成長してゆくシャルの姿は読み手の心を強く惹きつけ、気づけば彼女のことを全力で応援していました。
そんな一人の少女の成長譚を、本作は多彩な表現力で描き出します。シャルが繰り出す奇行・奇声の数々は、凡人には到底思いつかない語彙の連続。しかし一転、ひとたびシャルが剣を手にすれば、息をのむほど臨場感あふれる戦闘描写が展開され、文字を追っているはずが、激しいアクションシーンを目前にしているかのような迫力を味わうことができます。
素晴らしい感性とセンスが、ハイレベルな筆力によってそのまま出力されていると感じました。
彼女らを取り巻く他の登場人物たちも個性的かつ魅力的で、キャラクター造形もまた、本作の大きなストロングポイントです。
王道の舞台設定、異端(……いや、変?)な主人公。荷が重すぎる役目を担わされた少女が、それでも剣を抜く理由を、ぜひ見届けてください。
銀 賞
ツンデレ絶滅時代の学園
PN. 佐々和丈晴
【あらすじ】
癒やしがなにより求められる現代において、優しくお淑やかな甘々ヒロインは老若男女の憧れとなり一種の社会的なステータスとまで化した。一方、ツンデレは不人気の一途をたどり……絶滅した。ツンデレなどすっかり過去の概念と成りはてたその時、名門ヒロイン養成学校・私立天々(あまあま)学園に一人の少年が舞い降りる。彼の名は市姫彼。完璧なヒロイン英才教育を受けた、美少女以上に美少女な彼は、ツンデレ絶滅時代の学園でとてつもない逸材と出会う。「か、彼女――釘城李子は失われしツンデレの原石なんだ!」あまあまヒロインだらけの世界で巡り逢えた可愛すぎるツンデレ美少女とのツンツンデレデレ学園ラブコメ、時代がここから変わっていく!
【選評】
紅一点、鶏群の一鶴、泥中の蓮、あるいは珠玉の瓦礫にあるがごとし、はたまたスイーツ食べ放題中のカレーライスのありがたさ。そして、あまあまデレデレヒロインハーレム学園で出会う、たった一人のツンデレヒロインのなんと可愛く尊いことでしょうか!
この強烈な対比が効いたユニークなコンセプトに心を鷲掴みにされました。ありえざる場面にとびきり優れたものが現れるとき、ありふれたもの、めずらしいもの、そのどちらもの美しさが引き立っていくものです。本作を通じてあまあまデレデレヒロインたちの可愛さを十分に堪能すると同時に、やっぱりツンデレヒロインって最高だよな!という思いをたっぷりと味わうことができました。本文には荒削りな部分もありましたが、ツンデレ礼賛の熱い情念にたしかな才能を見出し受賞を決めました。
銀 賞
そしてエクソシストは甦る
(受賞作品「暁のエクソシスト」より改題)
PN. 橋本秋葉
【あらすじ】
二〇二五年、春。僕は、エクソシストを辞めた。
類まれなる才覚で【暁のエクソシスト】の称号を手にし、祓魔師界のスター街道を歩むはずだった若き天才・シチロー。
しかし彼は悪魔祓いの世界から足を洗い、今や自堕落で落ちぶれた日々を送っていた。
ある日、生活費に困窮したシチローは、知り合いのオカルトマニア・アズラから怪しげな依頼を引き受ける。
いつもの眉唾物かと思いきや、事件の影には本物の悪魔の存在が見え隠れし――。
神に寵愛されし天才は、エクソシストたる運命から逃れることはできない。
【選評】
かつて天才と呼ばれていたものの、とある挫折によりエクソシストを引退した青年を描いた現代ファンタジー。
センスの良い言い回しから一瞬で物語の世界観に引き込まれる強烈なパワーを持った作品でした。
人間に憑りつき、現実世界への侵食を目論む悪魔。神の祝福を以て悪魔を祓うことを使命とするエクソシスト。
悪魔とエクソシストの対立を描くだけにとどまらず、「才能」というテーマを掛け合わせて主人公の葛藤や成長を描くアプローチには目新しさがありました。
また文章の描写力が高く、悪魔によって人間が侵食されていく姿は読んでいておぞましさを感じるほどです。
そうして溜めに溜めた葛藤を、山場で解決する際のカタルシスは爽快で、この作品でしか感じられない面白さといっても過言ではないです。
新時代のダークファンタジーが生まれる瞬間をその目に焼き付けてみてはいかがでしょうか。


