■5月xx日
 都内某所にて第2回GA文庫大賞受賞式パーティ開催。
 今回は4名の新人作家さんが誕生いたしました。いずれも応募総数796作品の激戦の中から勝ち上がった強者の皆さんです。これからのご活躍を大いに期待しておりますー!
 ……え~と2次会は某居酒屋に場所を移して行われたわけですが、途中から記憶が曖昧です。確か●●●が●●してたり、△△さんが△△されてたり……。あれ? そういえば××さんが××もしていたような……。
 ま、楽しかったからいいよね! 終わり良ければすべて良し!(←おい)
■5月xx日
 今さらながらKORGのDS-10にハマる。
 いや~、これ面白いっすわ~。
 曲なんか作らなくてもぐりぐり音を作っているだけでかなり幸せな気持ちになれます。
 そいでもって、てけとーに音をいじって、てけとーにドラムパターン作って、てけとーにエフェクト設定して、てけとーにカオスパッドで演奏するだけですげえトリップできます。幸せ。
 そういえば子供の頃、最初に欲しかったシンセもKORGのPOLY-800でしたっけ。まさかこんな形でKORGのシンセを手にしようとは……! 時代の流れはあまりにも速いでござるョ。
■5月xx日
 編集長がちょっとTwitterでもつぶやいてましたが、編集部を出た廊下にはサンドイッチ、惣菜パン、おにぎり、カップ麺が収まった自販機が鎮座しております。
 小腹がすくと小銭を握り締めて、ここから食料を調達するわけですが……。
「どさっ!」なんですよ、「どさっ!」。
 いや、意味が判らないと思うんですけど、本当に「どさっ!」なんです。
 たとえばおにぎりを買うと、下からせりあがってきたプラスチック板の上に、おにぎりが載って下の取り出し口まで移動していくんですが、最後に「どさっ!」という感じで、それを放りやがるんですよね! 取り出し口に!
 まるで「これでもお食べ! 入稿に追われてひいひい言っているボロボロのあんたにはこれがお似合いだよ!」とか言われてる感じなんですよね!!(考えすぎ?)
 しかしそんな仕打ちもいつか快感に……変わることなく、今日にいたっております。鶴亀鶴亀。
 それにしてもあの「どさっ!」は本当になんとかならんものだったんでしょうかね。オフィスグリコのセルフサービスな優しさが身に沁みますわ。

   

■5月xx日
 GW。
 ガンダムウイング。
 すいません、今、世界で一番つまらないボケをしました。猛省しております。
 それはさておき、GWなんですが新人賞の原稿を読んでいましたよ!
「え? このまえ発表があったばかりだろ?」ですって?
 ふふふ……第三回前期の読みがすでに始まっているのですよ! ぎゃーす!
 ……俺、この原稿全部読んだら田舎に帰って小粋な割烹始めるんだ……。
■5月xx日
 あまりにも首・肩がばきばきなので久しぶりに整体に行く。
 揉まれること30分。
私  「やっぱり相当ひどい凝りですか?」
整体師「いやー、全然。まだまだ柔らかい方ですよ。もっとひどい人はいっぱいいますね」
 ……そこはやっぱり「これはひどいですねー、相当凝ってますよ」だろ! 普通に考えて! 俺は客観的なデータなんか求めてないんだよ! 「お客さん、仕事大変ですね。頑張ってるんですね」的な癒しが欲しいんだよううう! 客商売ならそのへん察しろよっ!
 ……はあはあ。すいません、ちょっと取り乱しました。
■5月xx日
「バリサン」という言葉を今、知りました。
 ……若者言葉にキャッチアップしていく限界を感じる今日この頃です。

   

 漫画雑誌などでは「原稿の持ち込み、大歓迎!」といった告知を目にすることがよくあると思います。
 対して小説の編集部では原稿の持ち込みを受け付けているところはほとんどありません。
 なぜでしょう?
 理由は明白です。
「漫画にくらべて小説の原稿を読むのはめっちゃ時間がかかるから」です。
 GA文庫フォーマットで256ページある作品でしたら、だいたい2時間弱はかかるのが普通でしょう。しかし同じ256ページでも漫画だったら20分前後で読めます(まあ、いきなりそんな大作を持ち込む人はいないでしょうが……)。
 仮に小説で原稿持ち込みを受け付けるとしたら、「無言で原稿を読む編集者の前で2時間弱も心臓ばくばくいわせながら待ち続ける持ち込みの人」という大変健康に悪い、針のむしろなシチュエーションが発生してしまいます(※どMの人にはたまらないかもしれませんが)。
 私も10代の頃、某少年漫画誌に持ち込みに行っていましたが、初めて目の前で作品を読まれた時は、自分から来たにもかかわらず1分ほどで逃げ出したくなりましたしね(笑)。
 なにしろ緊張するし、恥ずかしいし、編集者のちょっとした動作(たとえば咳払いとか、うーんと唸られたりとか……)に、いちいち「びくっ」と反応してしまって心臓止まりそうになりますし……。
 初持ち込みは30分ほどで終了しましたが、それでもかなりの精神的ダメージが残りました。なのでこれが2時間弱続くと考えると、ちょっとした拷問といっても良いと思います。
 閑話休題。
 ではなぜ小説原稿は読むのに時間がかかるのでしょうか?
 これも理由は明白です。
 それは言葉が「記号」だからです。
 漫画原稿だったら、ざーっとページをめくって全体の印象をつかむことができます。しかし小説の原稿ではそれができません(※改行の少ない原稿では「うわ~、みっちり文字詰まってんな~、真っ黒だわ~」という印象、逆に改行の多い原稿では「うわ~、下半分メモ帳だわ~」という印象を受けることはありますが(笑))。
 たとえば「山」が出てきた場合。
 漫画だったらそれがどんな山か、絵を見れば一目瞭然です。高いのか低いのか、鬱蒼と木が生い茂っているのか、禿山なのか、冠雪があるのかないのか……視覚情報をそのまま受け取ればいいわけです。
 しかし小説の中で「山」と書かれても、それがどんな山なのか、その周辺にある描写を丹念に読みとっていかなければ具体的なイメージを浮かべることはできません。
 それは「山」という言葉自体に、およそ人間の想像しうるすべての「山」というイメージが内包されているからです。
 ゆえに、それがどのような「山」なのかは、周辺の描写を読み取って解釈したのち、ようやく具体的なイメージとして脳内に立ち上がっていくわけですね。
 こう書いてしまうと、漫画のほうが小説より優れていると言っているように受け取られてしまうかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。視覚情報で提供される表現は読者に想像の余地を残してくれない、という側面もあるからです。妄想をたくましくふくらませる(笑)ためには、むしろ文字情報の方が良いという面もあるわけですね。
 まあ、挿絵の多いライトノベルというジャンルではまた別の問題も生じてくるわけですが、そこに言及してしまうと長くなってしまうので、その辺りはまた稿を改めて……。
 要は表現活動にとっては「それぞれの表現様式の特性を理解することが肝要」ということですね。これは漫画、小説に限らず、アニメでも映画でもゲームでも音楽でも演劇でもお笑いでもなんでも同じことだと思います。
 ということで普段何気なく読んだり聴いたりしているものでも、そういったことを意識してみると、また新しい発見があって「一粒で二度お得」かもしれませんよ、という締めなのでした。

   

■4月xx日
 今日も今日とて挿絵を描いてくださるイラストレーターさん捜し。
 この作業、思えばGA Graphicスタート時から続けていますので、早10年以上やっていることになります。しかし当たり前のことですが、キャッチーで可愛いイラストを描かれる方は当然多忙。お仕事をお願いするとしても半年先、中には1年先、というケースもままあります。
 そこで編集部的には「まだあまり知名度はないかもしれないけど、魅力のあるイラストを描かれている人」の発掘に血道をあげることになるワケですが、当然そんな簡単に見つかるわけもなく……。
「エウレーカ! 見つけた、ついに見つけたぞ! この人の絵はすごい! ぜひこの人にお願いしよう! ハラショー! ……あ、この前断られたばかりの人だった……」
 ということを繰り返してはそっと涙で枕を濡らすことになるのです。
 ネット、書籍、同人イベント……こういったいわば「砂浜」で、「砂金の一粒」を捜すような作業だなあ……と毎回しみじみ思うのでありました。
■4月xx日
 せっせとアンケート葉書読み。
 皆様からお寄せいただいたアンケート葉書は編集部一同で洩らさず回覧させていただいております。作品の感想や、キャラへの想い、これからの展開への希望などなどいつもありがたいご意見が多く、感謝感激であります。
 中には同じ作品のアンケート葉書を10枚近く送ってくださる方もいらっしゃったりして……。えーと、それって同じ本を10冊買っていただいたってことですよね!? いや、ありがたいんですが、お財布大丈夫ですか? ちょっと心配になってしまいます。
■4月xx日
 以前から耳かき大好き人間だった私ですが、先日「これは!」という耳かきを発見しました。これです。
 これなら耳をかきすぎて痛めることもないし、軽い気分転換にもなって非常に良い感じです。万人受けするかどうかは判りませんが、個人的には超オススメ。
■4月xx日
 毎回校了すると、不要になった大量のゲラをシュレッダーにかけて処分するわけですが、これがなんとなく切ない。
 いや、とっておいたら机上がゲラだらけで大変になることは理解しているのですが、校正や編集部回覧を経て、赤字や付箋だらけになったゲラってどうしても愛着が湧いてしまうんですよね。
 シュレッダーにかけるまえにぱらぱらと読み返しては、「ああ、ここは著者さんと一緒にすっげー悩んだなあ」などと思い出したりして……。
 とはいっても、やっぱりとっておくことは出来ないので、今日も涙を飲んでシュレッダーをガーガーいわせています。
■4月xx日
 古代ギリシャ人は全裸で生活をしていたと知ってびっくり。そしてオリンピックも全裸でやっていたと知って二度びっくり!
 これをネタに何かラノベができないかと一瞬考えたのですが……とても人に言えない内容になってしまったので、このまま封印させていただきます。それに肌色な話はnekopyon.さんの独壇場だしね(笑)

   

 2ヶ月ぶりのごぶさたです。前回に続きまして、今回も校正中に見つけたちょっと変わった言葉を皆様と一緒に楽しんでいければと思います~。
■やじお
 まず、これです。
 なんでしょう、これ? なんだと思いますか? 人名? 野次を飛ばす人? それとも弥次喜多的な何か?
 正解はこちらです。
やじお
「おやじ(親父)」を倒語にした江戸の流行語。
 ……ほんとだよ! 本当に広辞苑に載ってるんだからね! うそじゃないんだからね!(※意味もなくツンデレ風味)
 広辞苑にはこのように「え? そんな言葉載せる必要あるの?」という言葉が、当たり前のような顔をして載ってることがよくあります。注意が必要ですね。
 最近同じ意味で驚いた言葉に「男一匹」がありました。これも本当に載ってます。意味は自分で調べてみてくださいね。ちなみに高倉健や菅原文太のことじゃないですよ。
■かくかくしかじか
 続いてはこちら。
 これは良く聞く言葉ですし、意味もわかると思いますが、じゃあ「かくかく」って何? 「しかじか」って何? と訊かれてすぐに答えられる人はそういないんじゃないでしょうか?
かくかく(斯く斯く)
 内容を省略して引用する語。かようかよう。
しかじか(然然・云云)
 長い文句を省略して、これに代用する語。かようかよう。かくかく。うんぬん。
 どちらも「省略する」という機能は一緒ですね。
 あれ? 「しかじか」の説明に「かくかく」が入ってますね? ということは「かくかくかくかく」でもいいの?
■りゅうぐうのおとひめのもとゆいのきりはずし
 最後はこちら。
 なんとなく浦島太郎チックですが、これ、広辞苑に載っている中で最長の言葉だそうです。「寿限無~(中略)~長久命の長助」じゃないんですね(※こちらは「寿限無」で載ってました)。
 これ、藻の一種らしいんですが、その説明がまたひどい。
りゅうぐうのおとひめのもとゆいのきりはずし(竜宮の乙姫の元結の切外し)
 〔植〕アマモ(甘藻)の別称。
 アマモて! 三文字じゃん!
 ちなみにこれまで私がひいてきた中で言葉の説明部分が一番長かったのが「かかる」なんですが(ちなみに次点は「とる」)、これより説明部分が長い言葉ってありますかね? あったらぜひ教えていただきたいです。
 はい、では今回はこの辺で。
 次回はオノマトペあたりを攻めてみる予定です~。

   
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