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GA文庫大賞AWARDS

結果発表

第10回GA文庫大賞 優秀賞受賞者発表!

おかげさまで第10回GA文庫大賞は前期546作品、後期658作品、合計1204作品ものご応募を頂きました。多数のご応募ありがとうございました!
ここに第10回GA文庫大賞・優秀賞の選考結果を発表させて頂きます。


優秀賞

ペンネーム 作品名
只木ミロ 世界はキミを中心に回っている
みならいセロリ 最果ての魔法使い

奨励賞

ペンネーム 作品名
之雪 魔王バトルロイヤル 魔力ゼロでも最強魔王になれますか?
坂井水城 お伽噺は、独りだけでは紡げない
山下泰昌 異世界レースは怪物(エンジェル)に乗って

※敬称略・50音順

■総評
 第10回GA文庫大賞の結果発表であります。
 今回の応募総数は前期、後期合わせまして1,204作品。まずはご応募頂きました皆さま、ありがとうございます。
 皆さまの熱い作品を選考させていただく中、我々編集部の選考会も白熱したものとなりました。

 応募作品全体の傾向としましては、近年人気のファンタジーを中心に学園モノやラブコメなど多彩なジャンルが見受けられましたが、その中でも設定やキャラクター面で尖った作品が多く、編集部一同非常に興味深く読ませていただきました。
 これらの作品の中から、既に発表させていただきました通り前期と後期にて合計6作品が奨励賞の受賞作として選出されています。そして、先日行われました年間の最終選考会議の結果、2作品が優秀賞として選出される運びとなりました。

 世界をその裏で支え続けたきた主人公が、新しい環境で次の世代にその希望を繋いでいく「最果ての魔法使い」。
 尖りまくったキャラクター達が、それぞれの視点と思惑で好き勝手に暴れまくる「世界はキミを中心に回っている」。
 どちらも魅力的なキャラクターと構成が抜きん出ていて、選考のためと言いつつ、非常に楽しく読ませて頂きました。
 奨励賞作品ともども、自信を持って読者の皆さまにお届けできることを大変喜ばしく思います。

 さて第11回GA文庫大賞 前期の募集も既に始まっております。新時代のエンターテイメントを切り開くのはあなたの作品かもしれません。
 ぜひ情熱あふれる作品をご応募ください。

優秀賞

世界はキミを中心に回っている

PN. 只木ミロ

【あらすじ】

 豪華飛行船ヴィクトリア号。そこで一体の死体が見つかったことから、世界中の富豪が集まったその初めてのフライトは、後に《ヴィクトリア号の悲劇》と呼ばれる大事件の舞台と化した。
 邪教徒の爆弾テロが始まり地獄となった飛行船に運悪く乗り合わせていた小説家のヴィクトは、あらゆる人を助けることを使命と宣う貴族令嬢・リーゼロッテを護衛しながら、生き残るための道を模索する。

「……察しろ。俺は方向の神に見放されているんだ」
「それが――貴族的使命(ノブレス・オブリージュ)ですものっ!」
「ねえ、ね。……フランの家族になってぇ?」
「死こそは平等!」
「いきなり爆弾だなんて怖くて怖くて……ついつい余計な殺しをしてしまいました」
《私はアイギスシステムと呼称されております。どうか、お気安くシステムちゃんとお呼びください》

 捜索、取引、暗殺、テロ……己の生存と目的、そして謎に包まれた書物『黒の書』をめぐり、それぞれの異能と生き様が交錯する。果たしてヴィクトは“彼女”を護り、生き残ることができるのか……。

【選評】

 豪華飛行船を舞台に、特異な能力とそれぞれに確固とした目的(あるいは行動原理)を持ったキャラが複雑に絡み合っていく物語。初恋の相手の手掛かりを求めるヴィクト、ノブレス・オブ・リージュに生きるアホの子・リーゼロッテ、死を極端に恐れる米助、邪教を信じるパネロペ、人工知能のアイギスですら、面白くキャラが立っていると感じます。
 それぞれのキャラクターの思惑と行動がしっかりと描かれた上で、それが伏線として他のシーンでも予想外のかたちで機能しており、息をつかせぬ展開が読み手を引き込む作品でした。キャラクターがなにを考えて生きているのかなども、物語の重要な要として組み込まれており、キャラの深みが物語の深みとなっている点も良かったです。
 ヴィクトとリーゼロッテを始めとするキャラクター同士の掛け合いも軽妙で、読み手を飽きさせないものになっていました。

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優秀賞

最果ての魔法使い

PN. みならいセロリ

【あらすじ】

魔法使い・アルカは人類を滅亡寸前まで追い込んだ魔獣を自身と共に異空間へと封印したはずだった。
しかしアルカは突如、廃墟と化した千年後の世界で目覚め、魔獣と戦う少女・フィルと出会うことになる。
二人はいきなり魔獣に襲われるも、アルカは強大な魔法でこれを退けてみせる。

「アルカさんって……その……何者、です?」
「僕の名前はアルカ=ニーベルク、ちょっと凄めの魔法使いさ」

科学が発展した世界で、魔法は忘れ去られアルカは伝説の存在となっていたのだ。

フィルとその仲間を安全な場所まで送り届けるため、旅路に同行することにしたアルカ。
たびたび襲ってくる魔獣を退けながら、アルカとフィルは心を通わせていく――。

そんな彼らを衛星軌道上から見つめる邪悪な視線があった。
『――見つけた』

滅びかけた世界を救うのは、おとぎ話に紡がれる伝説の魔法使い。
物語は千年を経て動き始める!

【選評】

 魔獣を封印することで世界を護ったアルカが、目覚めた千年後の世界で再び魔獣を相手に戦うことになるファンタジー作品。魔法ファンタジーにポストアポカリプスという組み合わせを上手く描けていて、ノンストップでワクワクしながら読むことができる作品でした。
 また、キャラクター付けがハッキリと行われており、主人公・アルカとヒロイン・フィルの関係性も好ましく描写されていた印象です。ボーイ・ミーツ・ガールとして読んでも安定した面白さのある作品でした。また、作中登場するサポートAIのナビもアルカとフィルの間に立って、上手く物語をサポートするキャラクターとして生きていました。
 特に展開や盛り上がりの作り方が上手く、テンポよく展開が進む中でしっかりと熱いシーンが描かれており、それぞれのキャラクターたちが印象深く活躍するため、作品にぐんぐん引き込まれてしまいました。
 ラストの展開は読者の心を強く揺さぶるものになっており、意外性も相まって大きなインパクトのある作品となっていました。

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奨励賞

魔王バトルロイヤル 魔力ゼロでも最強魔王になれますか?

PN. 之雪

【あらすじ】

普通の高校生・春野健史は、突然謎の美少女ユズカ、
ラムダによって見知らぬ世界へ強制召喚されてしまった。

召喚されたのは、魔王が支配する世界。
世界の果てにある小さな島国メガリア。

ユズカとラムダ曰く、この世界では前・魔王が後継者に恵まれなかったため、
現在、世界のいたるところで様々な者が「我こそが新たな魔王!」と名乗りを上げ、争っているという。

メガリアもちょうど今、隣国であるヘルドミルからの侵略を受けていた。
聞けば、ヘルドミルも魔王を立てて勢力を拡大しているところだという。

それに対抗すべく、ユズカとラムダは健史を召喚したのだった。

「――タケシさまがメイドをお好みのようでしたので、
 私もメイドになってみました……変でしょうか?」

可愛いユズカとラムダに求められ、
健史は元の世界に帰る方法を探してもらうことを条件に、メガリアの魔王になることに決める。

早速メガリアに降伏を迫るヘルドミルからの使者が現れ、健史を庇ったことで負傷するユズカ。

怒った健史は使者と対決、常軌を逸したパワーを発揮して敵を倒すことに成功する。
異世界に召喚されたことにより、健史には魔王としての力が宿っていたのだった!!

「……『メイド服・着エロ』とはなんでしょう?」

「あたしもメイドやってやるぜ! 幹部が二人ともメイド服なら問題ねえだろ」

敵国の襲撃を退けつつ、ユズカ、ラムダたちと交流を深め、城での生活に慣れていく健史。
いっぽうヘルドミルはスパイを送り込み、突如現れた健史についての情報を得ようとする。

諜報活動を経て、ついに健史の存在を察知、直接攻めて来るヘルドミルの魔王。
強大な力を備えたヘルドミルの魔王の降臨に押されてしまうメガリア。

世界にはヘルドミル以外にも数多くの魔王候補が存在する。
果たして健史は魔王候補の一人として無事メガリアを守り、元の世界に帰ることができるのか……!?

異世界に召喚されて転生したタケシが、
美少女メイド――幹部ふたりとその世界で魔王を目指す、最強バトルファンタジーラブコメディ!!

【選評】

とにかく無口系ヒロインのユズカが可愛かったです。

転生時に健史の記憶を読み取ったユズカが「ご安心ください。あまり詳細な記憶は読んでいません」などと言いながら、
微かに頬を染めながら「『ミニスカ制服』や『紐ビキニ』なんて知りません」などと否定しきれない否定をしている様子や、
前の日にラムダの胸に見とれていた健史に、翌日ぴったりくっついて、ラムダよりは小さい(でも大きめ)胸を押しつけてくるところ、
また、その理由を尋ねる健史に「特に意味はありません。そんな気分なのです」とぼそっと呟いてきたりするところに、とても惹かれました。

男勝りのラムダ(ただし超巨乳)も、とてもサッパリしている一方で、ユズカに対抗してメイド服を着て迫ってきたりするなど、
こちらもとても魅力的でした。健史を掌の上で踊らせているようで、実は自分が踊らされてしまうヘルドミルの諜報員マオも含め、
ヒロインが総じて可愛かったです。

設定においても、ユズカもラムダも異世界ではとても強いはずですが、転生した健史がそれ以上に死ぬほど強いのはお約束です。
非常にストレスフリーで、すいすいと楽しく読むことができました。

物語の展開ではやや山に欠けると感じる部分がありましたが、
多少修正の相談をすることを前提に、このぐらいシンプルでもいいかと思いました。

ユズカ可愛さでここまで読ませるのはすごいです。

健史がメイド好きだと知るや、メイドの格好をする国の幹部(いっぽう部下にはとても厳しい)ことユズカの可愛さと、
そんなユズカやラムダに流されつつも、決めるところは決める健史の活躍を、ぜひ読者のみなさんにも楽しんでほしいと思います。

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奨励賞

お伽噺は、独りだけでは紡げない

PN. 坂井水城

【あらすじ】

そこは『お姫様』と『騎士』の強い想いが力(魔力)となる【お伽の世界】。

世界に名高い魔導学院に通うエルトは、歴代でも類をみないほど抜きんでた実力を持っていた。
学院の目的は人類の天敵である幻想獣に対抗する軍人を教育すること。
男子は騎士としての、女子は叙情魔法使いとしての訓練を積むことになっている。

そんな成績優秀な彼に欠点があるとすれば――
「お姫様を守るのが騎士の勤め」
という、この世の基本ルールが気に入らないこと、だった。

ある日、エルトは学園長より一人の少女と番(つがい)を組むよう命令される。
彼女の名はシャルル。
床まで届きそうな美しい銀の髪を持つ少女。

騎士と叙情魔法使いは、互いに絆を深めることでよりその能力を発揮できるとされており、通常はペアを組んでいるのだが、エルトの「姫嫌い」は徹底していて、いままで番はいなかった。

当然、猛反発をするエルトだったが、笑顔の学院長は

「まーあー、エルトがそこまで言うならそれで構わないよ~。一匹狼上等って感じ~。  でも番がいなかったらー、十日後に行う予定の実地訓練には参加できないよ~。つまり番がいないエルトは現状では実地訓練への参加資格がないね~」

目前にせまった試験を受けるには、番の存在が必要不可欠。
しかたなく番になることを承知したエルトだったが、シャルルにはある秘密があったのだ――。

想う力が魔力となり、物語と力を紡ぐ世界。
騎士とお姫様の【お伽噺】がいまはじまる。

【選評】

 姫を守る圧倒的に強い騎士である、主人公。
 素性はしれないが、「姫候補」であるところのヒロイン。
 そして「お伽噺」によって、発動する異能。
 ファンタジー要素をベースに、物語や設定、キャラクター造形がなされていたのは面白かったです。
 「紡ぎ姫」という設定は、ストーリーやキャラの行動などに絡んでいたのは練られた構成だったと感じました。
 また、ヒロイン、シャルルの造形はやや好みが分かれるところかもしれませんが、少々堅物とも思える主人公とのやりとりなど、
 二人の関係性が進む過程はほほえましくて良かったです。
 全体構成面では、最期を急いでまとめた感も強かったですが、そこは今後改稿してより厚みのある物語にしてゆけるとよいかと思います。
 まだ荒削りな箇所も多かった作品ですが、新しい物語を築いてゆく素地はあるということで受賞となりました。

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奨励賞

異世界レースは怪物(エンジェル)に乗って

PN. 山下泰昌

【あらすじ】

異世界パラフェルヌス(parafermus・通称パラフェ)で熱狂的な人気を誇る競技「エンジェル・ライド」。

ある日、異世界であるパラフェと、主人公たちの住むアウアが偶然繋がったことをきっかけに、
双方の世界の親善を兼ねた「エンジェル・ライド」が開催されることになった。

「――あなた、私とエンジェル・ライドに出場しなさい!」

将来、パラフェの研究者になりたいという希望を持っていた高校生・綴喜雅文は、
エンジェルの暴走事故に巻き込まれ、突然「エンジェル・ライド」のライダーとして参加することになってしまう。

雅文が乗ることになったのは、オルというパラフェ人の美少女が変化したエンジェル。
オルは能力は極めて高いものの、それ以上に性格にムラのあるエンジェルだった。

何事も論理的に行動する雅文は、当初振り回されたりしながらも、
負けず嫌いの彼女とコミュニケーションを取りながら、レースに取り組んでいく。

「エンジェル・ライド」では、敵に対しては一切の妨害が自由。

ライバル同士が互いに牽制し合うのはもちろん、華やかな「エンジェル・ライド」の裏では、
パラフェとアウアの交流を疎ましく考えている者たちが暗い陰謀を蠢めかせていた。

「……全く毎度毎度。一体何の用ですか? ――警戒」

そんななか、雅文はライバルチームの女の子・スキムと親密になったり、
そのせいでオルと反目しあったりしながらデットヒートを繰り広げていく。

いつしか、誰よりも楽しそうに大空を飛ぶオルを支えたいと思うようになる雅文。

アウア人――ひいてはレースの開催される日本人であることの利を活かし、
果たして、雅文はオルを勝利に導くことができるのか……?

レース内はもちろん、レース外においても、オルを牽制する幼なじみなどが登場。
コースの外でも、アツい場外バトルが勃発!?

魅力的なヒロインたちに騎乗《ライド》、
大空をともに駆けて戦う、異世界バトルストーリー!!

【選評】

最初は、正規ライダーの「代わり」。

なまじポテンシャルが高いだけに、ワガママで誰の言うことも聞かず、自分の飛びたいように飛ぶオル。
いっぽう、オルが壁にぶつかったり、ふて腐れたり暴走したりしても、彼女のことを信じて支え続ける雅文。

そんな雅文に、いつしか信頼して背中を預けて飛ぶようになるオルと、
信頼してくれたオルに自身もまた信頼を返すように彼女を駆り、
幾多のトラブルを越えてゴールを目指して飛ぶ雅文の物語がとてもよかったです。

オルが飛んでいる理由、飛ぼうとした理由を今一度認識し直して、それを目指しつつ、
雅文と本当に楽しく空を駆けることができるようになっていくさまを、しっかり楽しむことができました。

また、ヒロインのオルについては、怒ったり笑ったり拗ねたりと喜怒哀楽がストレートで、
オルみたいな子が傍らにいてくれたら、毎日すごく楽しそうだと思いました。

一見強気なのに、雅文がスキムと仲良くなった途端、
本調子が出せなくなる焼き餅焼きでさみしがり屋なところにも惹かれました。

加えて、何人もいるヒロインキャラの中で「きっと来ると思ってました。――確信」
「……すみません。興奮してしまいました――羞恥」など、語尾に「――○○」と漢字二文字を付けて喋るスキムも非常に可愛かったです。

レースものは正直なところジャンルとして厳しい点は否めませんが、
キャラクターが魅力的でバランスも良く、物語も成長譚、バディ物としてよく仕上がっていましたので、今回選定しました。

才能もあり、自信家な反面、実は弱いところもあるオルと、
そんなオルを支えて彼女に騎乗《ライド》する雅文。

訓練でいきなり同室に放り込まれるなど、様々な意味(?)で奮闘を重ね、
最終的に「エンジェル・ライド」で勝利を目指す二人の物語、刊行された暁にはお手に取ってみてください!