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「聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》」シリーズのあわむら赤光最新作、「我が驍勇にふるえよ天地~アレクシス帝国興隆記~」もいよいよ発売日が近付いてまいりました!

痛快にして本格なる、熱く胸焦がすファンタジー戦記!
どこか懐かしくありながら、最も新しい全軍最強の物語です。

そんな「我が驍勇にふるえよ天地~アレクシス帝国興隆記~」の公式PVが完成いたしました。

なんか、この映像すごくないですか!? 
はっきり言って、超かっこいい!!
おおおお~~~っと盛り上がって、期待感にふるえてきます!

ナレーションは大坪由佳さんがご担当! ありがとうございます!

どんな物語かは、現在無料公開中の試し読み版でご確認ください。

「我が驍勇にふるえよ天地」第四章 獅子の芸術
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今月発売、期待の新作「我が驍勇にふるえよ天地」をぜひともよろしくお願いします!

 

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■関連リンク

アキバBlog
【コラム 】 GA文庫7月「ワルブレ」のあわむら赤光先生新作!「我が驍勇にふるえよ天地」
こちらから、第一章&第二章の試読版がお読みいただけます。

【特報!】あわむら赤光最新作「我が驍勇にふるえよ天地」7月発売【試読版もあり】
第三章はこちら! 

   


「聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》」シリーズのあわむら赤光先生が満を持して放つ大傑作がいよいよ今月発売です!


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我が驍勇にふるえよ天地
~アレクシス帝国興隆記~
著:あわむら赤光 イラスト:卵の黄身


あらすじ

天下無双――アレクシス大帝、レオナート一世の驍勇は真実そう評される。
しかし、後に大陸統一を果たす彼も、若き日には《吸血皇子/ノスフェラトゥ》の汚名を着せられ、故郷を奪われた、武骨で不器用な青年でしかなかった。

これは、大反撃の物語である。

再起を誓ったレオナートはまさに一騎当千!
そして一本気な彼に惹かれて集うは、神とも魔物とも例えられる数多の名将、賢者、才媛、奇才。やがて彼らは腐敗した祖国を呑みこむ一大勢力となり、群雄する大国全てと渡り合っていく! 痛快にして本格――多士済々の英雄女傑、武勇と軍略が熱く胸を焦がすファンタジー戦記、堂々開幕!!


 

「驍勇」とは?

さてタイトルの「我が驍勇にふるえよ天地」にも使われている言葉『驍勇』ってご存知ですか? 

ちなみに「驍勇=ぎょうゆう」と読みます。すらっと読めた方は戦記小説にかなり親しんでおられ
るのでは!? 常用漢字に含まれない漢字ですので、学校の勉強だけではなかなか目にする機会がないかもしれませんね。

意味は「強いこと。勇ましい様」のことです。そしてもちろん驍勇とは、主人公レオナートを表しています。


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登場人物


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レオナート
主人公。クロード帝国第八皇子。
《吸血皇子》なる不名誉な呼び名を付けられている。しかしその武勇は正しく天下無双。英雄の中の英雄、茨の道をも黙って進む超かっこいい男です!


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シェーラ
レオを支える麗しき女性軍師。
レオと同じ師を仰ぎ、百学に通じる天才軍略家となった。レオを「理想の人」と公言。たま~に可愛い一面をのぞかせることも。


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アラン
レオの幼馴染みで最大の親友。
多くの貴族がレオを敬遠する中、アランだけはレオを公私にわたって支えてくれる。この物語は男同士の友情も熱いんです!

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ザンザス
レオの黒き愛馬。愛馬と書いて「戦友」とも読む。
比類なき剛馬で、レオでなければ御せず、レオにのみ従う。ザンザスをかっこよく描いてくださるイラストレーターとして、卵の黄身先生はこれ以上ないくらい適任でした!


 

第三章を試し読み

「我が驍勇にふるえよ天地」は、とにかく熱く、壮大で、読んでいて気持ちいい! 激強な主人公の痛快な一騎当千ぶりを、あわむら先生ならではのド迫力な筆致で書き上げているんです。

どんな読み味なのか「驍勇」の第一章「グランド・プロローグ」と第二章「伝説伝承」の試読版は先日アキバblogさんのコラム記事で先行公開しております。

◆関連リンク◆
【コラム 】 GA文庫7月「ワルブレ」のあわむら赤光先生新作!「我が驍勇にふるえよ天地」
 ※こちらの中段あたり、冒頭~約70ページの試し読みができます。

 

そして今回は、その続きとなる「第三章 彼らに休息なく……」を公開いたします。

※こちらからPDFがダウンロードできます。

 

我が驍勇にふるえよ天地
~アレクシス帝国興隆記~
は7月15日に発売です!
「聖剣使いの禁呪詠唱」シリーズもまだまだ続きますが、新シリーズ「我が驍勇にふるえよ天地」もぜひお楽しみください!


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◆関連リンク◆
あわむら赤光5ヶ月連続刊行ラッシュ!
「ワルブレ」&「驍勇」がそれぞれ6月、7月、8月、9月、10月に発売予定。毎月あわむら先生の作品が読めちゃいます!

 

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20160608dark_obishoeiお待たせしました、ここからは最新作「最強喰いのダークヒーロー」のプロット公開です!
発売ホヤホヤの新作を、著者と編集者でグルになってネタバレしまくるという、前代未聞のブログ記事がここに!
【ご注意】ダークヒーロー1巻の深刻なネタバレがありますので、まだお読みになっていない方は先に本編を通読してからこの下に進むことをおすすめします。
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※↑こちらからPDFをダウンロードできます。


発売したばかりの作品の重大なネタバレの嵐!
もちろん細かいところから大きなところまで、設計図通りにはなっていないところもあります。
でも、ここから実際の小説になると、プロットの何倍も何十倍も面白くなってるんです!
どこがどう変わっているか、どれくらい面白さがパワーアップしているのか、ぜひぜひただいま発売中の「最強喰いのダークヒーロー」第1巻でお確かめください!

そして、プロットの最後にも書いてありましたが、

ダーク表紙2提出用
なんと「最強喰いのダークヒーロー2」の刊行が早くも決定いたしました!刊行予定は2016年8月。

早い!! 2巻はすぐに出るんです。1巻で最悪のダーティ主人公・阿木双士郎の魅力にやられちゃった方は、長くはお待たせしませんのでどうか「最強喰いのダークヒーロー」を応援してください!!

プロットを先に読んじゃって、内容も気になるよ~!という方は

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こちらからすぐにお買い求めいただけます。
すでにツイッターなどでも絶賛コメント飛びかう大好評の作品です。バトルラノベを愛する全ての方に、まだこんな面白さがあったのか!という気持ちで読んでもらえる自信があります。悪党主人公の痛快カタルシス『最強喰いのダークヒーロー』をぜひよろしくお願いします!

◆関連リンク
『最強喰いのダークヒーロー』専門店特典のご案内

   

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こんにちは! GA文庫のまいぞーです。
最新作「最強喰いのダークヒーロー」が絶賛発売中の望公太先生から新作発売を記念して、「自著のプロットをWEB公開してみたい」という驚きのご提案をいただきました!

プロットというのは、小説を作るための設計図のようなものです。どういうお話で、どんなキャラクターが出てきて、どういう風にイベントが展開していくかをまとめたもので、新企画を書く前にこれをもとにして内容を詰めていくことになります。

さて、新作発売を記念して「最強喰いのダークヒーロー」のプロットをこのGA文庫ブログで公開させていただけることになりました。

しかも、TVアニメにもなった代表作「異能バトルは日常系のなかで」のプロットも大サービスで公開OKとのこと! 旧作と最新作、ふたつを見比べれば作家・望公太の思考がよく分かる――かも!? 望先生自身による解説&ツッコミの加筆もありますので、そこにも注目してみてください。読むと驚くポイントとしては、約一名の人気キャラが、性別違ったりしてます(笑)

それでは前置きはこれくらいにして、まずは2012年6月発売(もう4年前!?)の「異能バトルは日常系のなかで」のプロットです。どうぞ!

 

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※↑こちらからPDFをダウンロードできます。


いや~、プロットの段階と実際の小説が全然違う!(笑)

まさか工藤さんが、プロットでは男子だったなんて!!

ほかにも色々違うところがあって、今読むと担当としても興味深いです。
それにしても、このプロットだけだと正直なにが面白いのか分からないですよね!本当ならこのプロットはまず通りません。というか、実際これは編集部の会議にかける前に私のほうで難色をしめして、
「これ、面白いのかもしれませんが、どこがセールスポイントになるのでしょう?と投げ返したんです。

それに対する望先生の回答がまた謎で

そんなの、二つ名のセンスに決まってるじゃないですか?
としか言わないんです。えー……? えー? いや、センスがかっけえ!のは分かるけど、それウリにはならないですし。え、なるの?そうなの?なるのか。そっか。

たぶん面白く書ける気がするんで、とりあえず書くだけ書かせてくださいというモードに突入した望先生を止められるものはなく、じゃあ、まあそういうことなら書いてもいいけど、読んでダメなら全ボツというお約束で執筆に入ってもらったという、ここで公開しちゃダメな経緯がありました。


なので、これから小説を書いてみたい小説家志望の方とか、プロのなかでもプロットが通過しにくくて奮闘中の方には、まったく参考にならないやり方です。くれぐれも真似をなさらないようにしましょう。

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せっかく真似をするなら、『最強喰いのダークヒーロー』のプロットが良いですよ! こちらはコンパクトな企画の中で面白さが分かりやすく伝わってくるし、編集部の会議も即座に通過した、お手本みたいなプロットです。

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気になる『最強喰いのダークヒーロー』のプロットは続きの記事で!

   

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 第一章 弱肉凶食②

 

 

 永い永い戦いがあった。

 

 攻魔騎士と悪魔の、血で血を洗う凄惨な戦争。

 

『時の悪魔』
『東からの災厄(フロムイースト)』
 あるいは、ただ単に『悪魔』

 

 太平洋の中心を縦断する日付変更線――時を分かつ線より西に向けて現れる異形の化け物達は、そんな風に称された。
 時を隔てる線より召喚される悪魔達は、世界各地に破壊と混乱をもたらし、理解不能の災厄として人々を恐れさせた。

 

 そんな悪魔達から人類を守るために戦ったのが――攻魔騎士と呼ばれる者達。

 

 攻魔騎士――全人口の一割と言われる適合者の中で、悪魔に対抗できるだけの戦闘技能を身につけた者の総称である。

 

 東方より訪れる災厄に対抗するために、世界各国の政府や企業は一丸となって手を組んだ。その結果生まれたのが、『メルクリウス』という、攻魔騎士を管理・育成するための国際機関である。
『メルクリウス』に属する攻魔騎士達は、悪魔から世界を守るために命懸けで戦い続けた。人類と悪魔の闘争は熾烈を極め、多くの命が散ることとなったが――

 

 今から五十年前。
 戦争は――人間側の勝利で幕を閉じた。

 

 太平洋に浮かぶ烏島という名の無人島で『悪魔王(サタン)』を滅ぼしたことにより、全ての悪魔が灰となって消滅し、以来、日付変更線より悪魔が現れることはなくなった。
 もう、日の昇る方角からの脅威の怯える必要はない。
 誰もが待ち望んだ、平和な時代が訪れた。

 

 戦後五十年、『メルクリウス』は様々な戦後復興活動に取り組んだが――
 その中で最たる成果を上げたものが、『ソードウォウ』である。

 

 攻魔騎士同士が武器を手に戦い合うバトルエンターテイメント――『ソードウォウ』は、今や世界で最も多くのファン人口を誇る格闘競技となった。Eリーグのトッププロともなれば、年収ウン十億という選手もザラに存在する。

 

 年に一度、烏島で開かれる高校生(アンダー18)大会の最高峰――『祓魔祭』も、トップリーグの試合に負けず劣らずと人気と観客動員数を誇り、多くの学生がその舞台を目指して日夜鍛錬に励んでいる。

 

 リザ・クロスフィールドも、その一人である。
 いや、一人だった、というべきか。

 

『一年で結果を出せなかったら――一年時に「祓魔祭」に出場できなかったら、もう二度と家の決定には逆らわない』

 

 そう豪語して実家を飛び出して来た彼女にとっては、今年が最初で最後のチャンスであった。
 だが、彼女の夢と野望は、あまりにも早い段階で潰えてしまった――

 

「…………」
 気がつけばリザは、女子寮の自室に戻ってきていた。
 どうやって帰ってきたのかほとんど覚えていない。
 放送部や野次馬が、敗北について根堀り葉掘り訪ねてきた気もするが、全てうろ覚えであった。
 後ろ手でドアを締め、手に持っていた魔機剣はその辺に立てかける。
 控え室にも寄らずに来たため、格好はGPスーツのままだった。適当に脱ぎ捨てて全裸となり、フラフラと安定しない足取りで浴室へと向かう。
 給湯温度を高めに設定し、熱いシャワーを頭から浴びて試合の汗を流した。
 と言っても、大した汗はかいていないが。

 

「……っ」

 

 最低の試合だった、と思う。
 全力を出したわけでも、死力を尽くしたわけでもない。歯車が噛み合わぬまま、エンジンに火が入らぬまま、いつの間にか試合が終わっていた。

 

「……なんで」

 

 滴る水滴と共に、唇から無念が零れていく。

 

「なんで、どうして……こんなはずじゃ……なんで……?」

 

 リザは深い混乱から未だに立ち直れずにいた。頭を埋め尽くすのは、自分の全てを否定したような嘲笑だけ――

 

「阿木、双士郎……なんなのよ……なんなのよっ、あいつは~~っ!」

 

 己を下した男の名を叫び、ダン、とシャワールームの壁を叩く。

 

 油断してなかった、と言えば嘘になるだろう。

 

 過去の実績や資質検査の結果を見る限り、なにもかもが最低ランクの男だった。
 嫌に目を引く不気味な白髪以外、特徴も特筆すべき点もない。
 実際に相対してみても、強者特有のオーラなどは全く感じなかった。

 

 しかしリザは、そのどう見ても強そうに見えない男に――完全試合を喰らった。

 

 敗北。
 それも、校内選抜戦、の予選会、の初戦敗退。
 結果だけ見れば――最低以外のなにものでもない。
 なに一つとして実績を残せぬまま、リザの一年度の夏は終わった。

 

「…………」

 

 絶望的な状況にもかかわらず、どうにも絶望しきれない。消化不良な気持ちのまま、リザはシャワーを止めて浴室から出た。
 バスタオルを手にとって体を拭いていく。
 顔を拭き、髪を拭き、全身を拭き、最後に湿気が溜まりやすい乳房の下の部分を念入りに拭いたところで――着替えを忘れたことに気づいた。

 

「あー……。えっと、カーテンは閉めてたわよね」

 

 バスタオルで体の前だけを隠すようにして、リザは浴室からリビングに向かう。
 水気を含んだ生地が肌に張り付き、肉付きのいい体が強調される。
 ある意味裸よりも卑猥な絵面となってしまったが、同居人もいない一人暮らしの女子寮の自室ならば、なんの問題はない――はずだったのだが。

 

「よォ」

 

「……へ?」

 

 いるはずのない者が、部屋にいた。

 

 我が物顔でリビングのソファでふんぞり返っているのは――阿木双士郎。
 ほんの数十分前に、リザから全てを奪い去った男。
 GPスーツから着替えてはいるが、似たような黒尽くめの私服。日本人としての最低限のマナーか、靴はきちんと脱いでいる。
 唐突過ぎる来訪者――いや侵入者に、リザが硬直したことは言うまでもない。

 

「また会ったな、馬鹿おっぱい」

 

 バスタオルを纏っただけのリザの裸体を目撃しておきながら、双士郎は狼狽えることもなく、不敵な笑みを漏らすだけだった。

 

「……ひっ。い、いやぁ――ぶっ!」

 

 真っ白になっていた頭がようやく現状を理解し、侵入者に対する恐怖と羞恥から悲鳴をあげそうになるが――その寸前、顔面にクッションを投げつけられた。

 

「騒ぐな。みっともねえ」

 

「……くっ! な、なにやってんのよ、あんた!?」

 

「なにって、不法侵入?」

 

 悪びれもしない双士郎。
 あまりのふてぶてしさに、リザは頭が沸騰しそうになる。

 

「心配しなくても、お前の貞操が目的じゃねえよ。そのだらしねえ体が目的なら、古典ホラーよろしくシャワー中に襲いかかってたさ」

 

「だ、だらしない!? 私の体が……だらしないですって!?」

 

「体脂肪率20パー弱ってとこか? デブじゃねえが、アスリートにしちゃ少々肉付きがいい方だな」

 

「じ、自慢じゃないけどねっ! け、けっこういい体してるはずよ、私は! 女友達から『脱いでも脱がなくてもすごい』って褒められたこともあるし……グラビアのオファーだって、全部断ってるけど、何十回もあったんだからっ!」

 

「どうでもいいけどよ、あんまり熱弁振るってると、いろいろ見えちまうぜ?」

 

「~~~~っ!」

 

「ククク。まあ、そこまでご自慢の裸体を見せつけてえっつーなら、お望み通りたっぷりと堪能してやっても――ぐあっ!」

 

 ヘラヘラと笑う男の顔に向けて、リザは先ほど投げつけられたクッションを思い切り投げ返した。

 

「変態っ! 変態っ! この……変態の早漏野郎っ!」

 

 続けて、置き時計、ぬいぐるみ、雑誌と、近くにあったものを手当たり次第に投げつける。
 双士郎が仰け反った一瞬の隙を見て、リビングを駆け足で横切り、着替えの入っているタンスの元へと向かう。
 同年代の男の前を、バスタオル一丁で、尻丸出しで駆け抜ける。
 羞恥心で顔から火が出そうになるが、リザは歯を食いしばって恥辱に耐えた。
 下着と部屋着を取り出し、猛スピードで脱衣所へと戻る。「おーい、ブラとパンツが揃ってなかったけどそれでいいのかー?」という冷やかしを無視して、大急ぎで着替えを済ます。
 衣服を身につけ、現代人としての尊厳と慎ましさを取り戻したリザは、バン、と勢いよく脱衣所のドアを開いた。ズンズンと大股で双士郎へと詰め寄り、

 

「なんなのよ、あんたは!?」

 

 と、烈火の勢いで叫んだ。顔は真っ赤で息は荒い。
 青い瞳では、羞恥と怒りが炎となって燃え盛っていた。

 

「なんで私の部屋にいるの!? どっから這入ってきたのよ!」

 

「玄関からだよ」

 

「げ、玄関……」

 

「敗戦のショック引きずってるのはわかるけどよ、シャワー浴びんなら鍵ぐらいはかけときな。不用心にも程があるぜ」

 

「……っ。だ、だからって……勝手に入ってきていいことにはならないでしょ。よくも、よくも私を辱めたわね……! 絶対に許さないんだから!」

 

「ククク。そうカッカすんなよ。他の奴に見られたくなかったから忍び込ませてもらったが、俺の目的は覗きでも下着ドロでもねえ。ちょっとお前に話があっただけだ」

 

「話? ふんっ。変態と話すことなんてないわよ!」

 

「いいのか? そうやって意固地になってると――地獄から抜け出すための糸を取り逃がすことになるぜ?」

 

 相手の言葉に耳を貸すつもりはなかった。
 問答無用で部屋から締め出そうと思っていたが――しかし、双士郎がポケットから取り出したものを見て、リザの表情が変わる。

 

「とりあえず、こいつは返しとくぜ」

 

 そう言ってテーブルにバラバラと転がしたのは――六発の魔弾だった。
 魔弾。
 形状やサイズは普通の弾丸と変わらないそれは、魔力増幅装置である。
 悪魔に対抗するために生み出された兵器であり、人類の叡智の結晶。
 適合者は各々の魔力性質に応じて様々な超常現象を引き起こすことができるが、魔機剣に装填した魔弾を消費することで、その威力は、何十倍にも跳ね上がる。
『ソードウォウ』の場合、高校生の大会では一試合六発までとレギュレーションが定まっており、魔弾を用いた大技をどのタイミングで使うか、が重要な戦略となる。

 

「これ、私が使ってる魔弾と同じ……え? あれ? でも、返すって……」

 

 困惑するリザに対し、双士郎はこれみよがしにため息を吐いた。

 

「察しが悪いにも程があんだろ。今までどんだけ平和な世界で生きて来たんだ?」
「う、うるさいわねっ。いいから、ちゃんと説明しなさいよ。どうしてあんたが私の魔弾を持ってるの?」

 

「――すり替えたからだよ」

 

 双士郎は言った。
 恥じることもなく、堂々と。

 

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