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 第一章 弱肉凶食③

 

 

「すり替えたって……ま、まさか――」

 

「ようやく気づいたか。ああ、そうだよ。今日の試合の前に――お前の魔弾をすり替えたのさ。中の触媒が劣化してて使い物にならねえもんとな」

 

 恥ずかしげもない、それどころかむしろ誇らしげな不正行為の告白。
 リザは目を見開いて驚愕した。怒りよりも、信じられないという気持ちが強かった。

 

「……お、おかしいと思ったのよ。試合のために発注した六発の魔弾が……全部不良品だったなんて」

 

 先の試合、リザは魔弾を一発も使わなかった。観客や実況はそのことを不思議がっていたが、なんのことはない、使いたくても使えなかっただけだ。
 試合中、何度引き金を引いても魔弾は反応しなかった。数多の敵を葬ってきたリザの雷撃は、発動することさえできなかったのだ。
 運がない。
 装備のチェックを怠った自分のミス。
 そう思ってどうにか自分を納得させようとしていたが――まさかそれが、対戦相手による卑劣な罠だったなんて。

 

「いったい、どうやって……」

 

「試合前によ、控室に係員が来なかったか? 『初戦に限り装備のチェックを行います』とか言って」

 

「き、来たわよ」

 

 相手の言うとおり、試合開始時間の少し前に帽子を目深に被った男がやってきた。
 この学園ではそれが慣例なのかと思い、リザは素直に自分の魔機剣を渡したが――

 

「そいつは俺だ」

 

「……は?」

 

「ククク。このみっともねえ髪も、こういうときには役に立つんだよな」

 

 そう言って、肩まである白髪をかき上げるようにする双士郎。
 彼の異様な白髪は――否が応でも人目に引く。
 有り体に言って、悪目立ちする。
 不自然に白い髪と、それを強調するような黒尽くめの服装。オセロの如きモノクロームの風貌は、見る者全てに不気味な印象を植え付ける。
 あまりにもわかりやすい、外見的特徴。
 しかし――裏を返せば。
 そのわかりやすい特徴が消失すれば、途端に彼だと認識しづらくなるということだ。
 人間が相手を識別するとき、頭髪は非常に重要な要素(ファクター)となる。髪型と髪色が変わっただけで、人の印象は大きく変わる。

 

「カツラと帽子被っただけの雑な変装だから、注意深く観察したら気づいただろうが……ククク、試合前で緊張していたお前は、相手が俺だと気づかぬまま、まんまと自分の得物を渡しちまったってわけさ。世間知らずのお嬢様を騙すのは楽でよかったぜ」

 

 新入生であるリザは、聖海学園の校則やルールには疎い。そのことも計算した上での作戦だったのだろう。用意周到で抜け目のない作戦だと言えるが――しかし、卑劣な罠であることに変わりはない。

 

「ふ、ふざけないでよ! こんなの……反則じゃない! こんなことが許されると思ってるの!? 恥を知りなさいっ!」

 

「クカカッ。騙される方が馬鹿なんだよ」

 

 睨みつけたリザを真っ向から睨み返し、獰猛な笑みを漏らす双士郎。

 

「……この件は、すぐに先生達に報告させてもらうわ。そうしたら、さっきの試合はあんたの反則負けになるはずよ」

 

「無駄だ。序列入りが出てくる本戦ならともかく、予選での物言いなんさ、教員連中も相手にしねえ。確たる証拠でもあれば別だろうが……俺は割と几帳面な方でな。証拠隠滅には細心の注意を払った。今更お前がどんだけ騒ごうが、結果は変わらねえ」

 

「……っ」

 

「そもそも、だ。この程度の罠にハマってる時点で話にならねえんだよ。上の方に行けば、エゲツなさはこんなもんじゃねえぜ」

 

「上の方……?」

 

「『祓魔祭』……『悪魔王』が討伐された烏島で、年に一度開催される『ソードウォウ』高校生世界大会。トッププロの集うEリーグと比べれば当然レベルは劣るが、『学生しか出場できない』『十代の若者が青春の全てを懸けて戦う』などの付加価値のおかげで、プロリーグと負けず劣らずの人気を誇り――結果、莫大な経済効果を生む。となれば……表には出せねえ陰謀や悪巧みが横行するのも必然だろう? 盗聴、盗撮、買収、八百長、談合、薬物混入、誹謗中傷の拡散、相手の武装への細工などは日常茶飯事。事故を装った闇討ちや、家族を人質に取った脅迫なんかもあったっけな」

 

「そ、そんなことがあるわけ……」

 

「表沙汰になった事例だけでゴマンとあるさ。表沙汰になってねえのを考えると……ククク、どれほどの名プレイヤーが、世間の闇に呑まれて消えたんだろうな?」

 

 リザは言葉を失ってしまう。
『祓魔祭』は、武の祭典。
 悪魔の消滅と人類の繁栄を祝う、年に一度の記念式典。
 世界中の学生騎士の憧れであり、聖地でもある。
 その輝かしい舞台の裏に――想像もつかぬほどに暗い世界があったなんて。

 

「お前が今まで汚え世界を見ずにこれたのは……実家であるクロス社の力だろう。大事に大事に箱入りで育てられたお嬢様は、華々しい世界しか見ることが許されず、そのせいでとんだ甘ちゃんに育っちまったってわけさ」

 

「だ、誰が甘ちゃんよっ」

 

「甘ちゃんだよ。今日の試合、お前の敗因は一重にお前自身の甘さだ」

 

「違うわよ! あんたが、汚い真似をしたから――」

 

「確かに俺は汚え策を用いた。けど、それを許したのはお前の甘さだ。一流の攻魔騎士(プレイヤー)ならば、試合前に他人に得物を渡すようなヘマはしねえ」

 

「……っ」

 

「それに、だ。本来なら――魔弾に細工にしたぐらいで、お前が俺ごときに負けるはずがねえんだよ。俺とお前では、そのくらいスペックでの差がある」

 

 双士郎は饒舌に続ける。

 

「お前は十年に一人の逸材と謳われるほどの女だ。攻魔騎士としての資質は極めて高く、バトルセンスも申し分なし。一方俺は、どんな無能でも十分は継続できると言われるフレアが、三十秒しか保たねえ最低の落ちこぼれ。俺みたいな雑魚は、お前なら魔弾なしで一蹴できる。違うか?」

 

 違わない、とリザは思った。

 

『ソードウォウ』において、魔弾は勝敗を分ける重要な要素ではあるが――圧倒的な実力差がある場合、魔弾の有無など意味をなくす。リザも中学生時代、明らかに実力が劣る者を相手にした場合は、魔弾なしで勝利したことも何度かあった。
 しかし、今日の試合では――

 

「中学時代、お前は自校でのホームゲームではほぼ十割の勝率を誇っていたが、これがアウェイとなるとやや勝率が落ちる。慣れない環境による不安や緊張が原因だろう。そういう状況でお前は――必ずと言っていいほど、試合始めに魔弾を消費した大技を発動し、リズムを作ろうとする」

 

「なっ……」

 

 リザは唖然とする。
 双士郎が口にしたそれは――彼女自身も気づいていないことだった。
 無意識のクセ、だったのだろう。

 

「高校での初めての公式試合……お前にとっちゃアウェイと同じだ。だからいつものように魔弾で派手な技を見せつけようとして、引き金に指をかける……」

 

 しかしその結果は――不発。

 

 対戦相手の、卑怯な工作のために。

 

「魔弾の不発にお前は大きく動揺する。俺はその隙を突いて、お前の左手の『的』を破壊した。その奇襲攻撃が成功した時点で――もう勝負は決したようなもんだったぜ」

 

 凶悪な笑みを深くしながら、双士郎は続ける。

 

「類まれなる実力と才能を持つお前は、劣勢や逆境での試合経験が極めて少ない。常に優位で戦うことに慣れ切っているせいで、たまに相手に先制されると大きく動揺し、失点を取り戻そうとムキになり、その結果驚くほど動きが悪くなる。中学三年間、公式記録に残っているお前の敗戦はたったの四回だが――その全てが、相手に先制された試合だ」

 

 魔弾は発動しない。
 先制は許してしまう。
 焦りと混乱の悪循環に陥ったリザは、一旦距離を取って体勢を立て直し、装備の不具合を確認しようとするが――

 

「そこでまた、強者特有の弱点が露見する。雷撃と剣技を主体とした攻撃一辺倒のスタイルで戦い続け、圧倒的火力と高機動で相手を封殺する戦法を取ってきたお前は、回避や撤退に慣れていない。バックステップで逃げる際、一瞬首を回して後方を確認するという致命的な傷(クセ)がある」

 

 リザが双士郎から目を切って背後を確認した瞬間、バックステップの蹴り足であった右足の『的』は、狙いすましたかのように破壊された。

 

「ククク。後はもう消化試合さ。『的』で二点以上差をつけられた状態からお前が挽回した試合は過去に一度ない。想定外のアクシデントの連続で、お前の混乱と焦燥はピークを迎える。そこで俺はダメ押しとばかりに、魔弾を用いてフレアを発動。早漏の俺は三十秒しか保たねえが、頭が真っ白になったお前の残り三つの『的』を壊すのには、二十秒とかからなかったぜ」

 

「……ちょ、ちょっと待ちなさいよっ!」

 

 リザは思わず声を上げてしまった。

 

「な、なんで……? なんでそんなに、私のことに詳しいのよ……?」

 

 すると双士郎は大きく息を吸い、そして一気に言葉を吐き出す。

 

「リザ・クロスフィールド。『ソードウォウ』関連用品の開発・販売で世界的なシェアを誇る大企業、クロスアヴァロン社の創始者の孫。父はクロス社の現代表取締役、ウーゼル・クロスフィールド。七月七日生まれ。身長一五九㎝。体重は非公開だが、おそらく五十前後。血液型はB型のRH(-)。適合者資質――カテゴリA、魔力タイプ――属性変化系。現在の使用魔機剣、天照社製『雷嵐の導き手ジルクーア』。昨年度の欧州∪15大会の覇者であり、そのときの功績が認められ、『メルクリウス』より『閃雷』の二つ名を授かる。好物はチョコレート系の菓子。嫌いなものはレモンティーと爬虫類。十歳で『ソードウォウ』を始め、以降目覚ましい活躍を見せる。欧州の大会では常に優勝争いに加わる実力者。可憐な見た目も相まって高い人気を誇るが、大変な負けず嫌いでも有名。十二歳のとき、とある大会の決勝で敗退した後、約三十分その場で泣き喚き続けたことがある。隠れた趣味は『日本のアニメ鑑賞』。日本語は主にアニメで覚えた。コスプレにも興味があり、様々なアニメの服を購入しては自宅で一人ファッションショウを開いている。人前に出ることも検討しているがなかなか踏ん切りがつかず、妥協案としてコスプレ衣装の上にコートを羽織って夜の街に――」

 

「わーわーわーっ!?」

 

 絶叫を上げるリザ。
 叫ばずにはいられなかったのだ。

 

「なんなの!? 本気でなんなの!? あんた、私のストーカーっ!?」

 

「ストーカー? クク、ナメんな――それ以上だよ」

 

 獰猛な笑みは、誇らしげに告げる。

 

「今日の試合のために、お前のことは調べ尽くした。昨年の欧州中学生覇者だけあって、探せばいくらでも情報は手に入ったよ。公式戦の記録や映像はもちろん、ファンが勝手に撮影した動画や画像、諸々の雑誌記事、あちこちのSNS……このご時世、ちょっとしたスキルさえあれば、地球の反対側のことだろうと全部筒抜けだ」

 

「な、なによ、それ……」

 

 徹底した敵情視察。
 その恐ろしいまでの執念と陰湿さに――リザはゾッとした。
 対戦相手の成績や映像を見て、そこから相手を分析して戦術を組み立てること自体は、極めて普通のことだ。
 だが――目の前の男のそれは、明らかに常軌を逸している。
 弱点を探すのではなく、その者の全てを掌握するような――

 

「……『ソードウォウ』は、お互いの積み上げてきた『強さ』を競い合う、神聖な格闘競技よ。それなのに……ストーカーまがいのことして、卑劣な小細工で相手を貶めて……あんた、そんなことして勝って、楽しいの?」

 

「楽しいねえ!」

 

 苦悶に満ちた声に対し、双士郎は全く間を置かずに即答した。
 唐突にソファから立ち上がり、リザへと顔を寄せて瞳を覗きこむようにする。
 ドス黒い欲望を秘めた双眸。

 

 闇を見つめたような。
 闇を煮詰めたような。

 

 あまりに暗く鋭い眼に、リザは危うく悲鳴を上げそうになった。
「お高く留まった天才様が、凡人以下の俺にハメられて潰される。最高だよ……最高以外のなんだっつーんだ。どっちが強いだの、どっちが弱いだの、くだらねえ勝負ごっこに夢中になってる馬鹿どもを出し抜いてボコボコに凹ませてやることが、俺みてえな無能にとっちゃこの上ない愉悦なんだよ……ククククク、クカカカカカカカーッ!」

 

 タガが外れたような哄笑。
 なにもかもを見下すようでありながら、端々に痛烈な自虐が滲む。
 高らかに、しかしどこか自暴自棄に笑う男に、リザは心から恐怖した。

 

(なんなのよ、この男……)

 

 フェアプレイ精神など欠片もなく、向上心など微塵もなく、なりふり構わず、手段を選ばず、恐ろしいまでの執着と執念で勝利だけをもぎ取る。
『ソードウォウ』という競技を愛し、ひたむきに鍛錬を積んできたリザにとっては――目の前の男は、完全に理解の外にいる生き物だった。

 

「……この早漏野郎。あんたは、最低の男よ」

 

「ククク。そりゃどうも。だがお前は、そんな最低の男に負けたわけだ。しかも完全試合で。脆いもんだな、お前の積み上げてきた『強さ』っつーのはよ」

 

「う、うるさいっ」

 

「聖海学園の校内選抜戦では、予選で一敗でもした奴が本戦に出ることはまずない。全勝者だけが本戦に出場するシステムだ。つまり、お前の夏はもう終わったってわけだ」

 

 そこまで言ったところで、双士郎は顔を玄関の方へと向ける。
 視線の先にあるのは、捨て置かれていたリザの魔機剣――天照社製『雷嵐の導き手・ジルクーア』。

 

「お前がなんのために留学してきたのかは知らねえが……ま、大手メーカーであるクロス社の令嬢が、当て付けみてえにライバル企業の装備を使ってるとこを見る限り、大方の予想は着くけどな」

 

「っ!?」

 

「あれだろ? レールに乗った人生はまっぴらごめんだー、的なやつ? ククク、羨ましいねえ。一度でいいから、そういう贅沢な悩みを抱えた人生を送ってみたいもんだ」

 

「……あんたに、私のなにがわかるのよ」

 

 リザの声は怒りで震えていた。
 両の拳を、強く強く握り締める。

 

「羨ましい、ですって……うちの家族のこと聞いたら、二度とそんな口は聞けなくなるわよ。私の父はね――」

 

「そうか。大変だったな」

 

「そう、大変だっだのよ――って話を聞きなさいよ!?」

 

 あまりにも適当な返しに、思わずノリツッコミをしてしまうリザだった。

 

「生憎、他人の不幸自慢や自分語りには興味がなくてな。お前の戦う理由なんざどうでもいい。俺にとって重要なのは――お前に戦う理由があるかどうかだけだ」

 

「ど、どういう意味よ……」

 

「言っただろ? 俺は、お前に糸を垂らしに来たんだよ。イギリスの中高一貫校から、面倒くせえ手続きしてわざわざこの学園に来たんだ。なにかしら、ここで戦わなければならない事情があんだろ? だったら――個人戦の他に、チーム戦っつー可能性も、まだ残ってるんじゃねえのか?」

 

『祓魔祭』には――二種類の戦いがある。
 一対一で争う個人戦。
 そしてもう一つは、四対四のチーム戦だ。

 

(チーム戦……)

 

 考えもしないことだった。
 チーム戦では言うまでもなく、チームワークが物を言う。入学してまだ日が浅いリザには、背中を預けられるほどに信頼できる仲間はいないし、仮にそんな仲間を見つけられたとしても、リザの戦闘能力に合わせられる者がいるとは思えない。実力のある上級生の大半は、昨年からチームを作り、この夏に向けて連携を磨いているからだ。
 そのためチーム戦のことは最初から考えもせず、個人戦一本に絞っていたのだが――

 

「まさか……あんたと一緒のチームになれっていうの?」

 

「おう」

 

「冗談じゃないわよ! 誰があんたみたいな奴と組むもんですか!」

 

「ククク。いいのかよ? 相手や手段を選んでる余裕が、今のお前にあるのか?」

 

 リザは言葉に詰まり、歯を食いしばる。そんな彼女と楽しげに眺めながら、双士郎は一歩前に出た。
 大きく手を広げる。
 烏が翼を広げるように、あるいは悪魔が翼を広げるように。
「黙って俺に従え、リザ・クロスフィールド。そうすりゃ、お前を『祓魔祭』の頂点へと連れてってやる」
 白髪の下、妖しい輝きを秘めた双眸がリザを見下ろす。
 こちらの全てを見透かすような眼光は言いようのない圧力を伴い、息苦しさを感じてしまう。
 リザの望みを断ち切り、絶望の淵へと追いやった男が、今度は望みを繋ごうとしている。
 掌を返して、手を差し伸べようとしている。

 

 状況が全く理解できない。

 

 理不尽な流れに飲み込まれ、脱出不能の渦の中に閉じ込められたような。

 

 阿木双士郎という男に、利用され、翻弄される――

 

「……なにが……なにが目的なのよ、あんた?」

 

 絞り出すように問うたリザに、双士郎は嗤う。

 

「俺は今年の『祓魔祭』で、個人戦とチーム戦の両方で優勝を掻っ攫い、完全制覇を成し遂げる。そして――」

 

 双士郎は言う。

 

「――このクソみてえな世界を、思いっきり虚仮にしてやる」

 

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最強喰いのダークヒーローは、ただいま絶賛発売中! 第2章以降の物語……双士郎のダーティな快進撃は、ぜひ本編でお楽しみください。

   

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 第一章 弱肉凶食①
『ソードウォウ』高校生大会の個人戦では、競技時間は十五分(ワンクオーター)と定められている。
 時間内に互いの『的』を破壊し合い、試合終了の時点でより多くの得点を得た方が勝者となる。両手両足の『的』は一点で、胸の『的』は五点。同点の場合はサドンデスとなり、それでも決着が着かなければ判定勝負となる。

 

 リザ・クロスフィールドのデビュー戦も、当然十五分の制限時間で行われたが――結果から言ってしまえば、試合は十分も経たないうちにケリが着いた。

 

『パ、完全試合(パーフェクトゲーム)……』

 

 震えた実況の声が、闘技場に響き渡る。
 観客席上部にあるスコアボードは、選手の『的』とセンサーで繋がっており、両者の得点状況が随時表示される。五芒星に似た図形の一つ一つが『的』と連動しており、『的』が破壊されると灯りが消える仕組みだ。

 

 現在スコアボードでは、片方の選手の灯りが五つ全て消え、そしてもう片方の選手の灯りは五つ全て灯ったままだった。

 

 それが意味することは――

 

『なんと、なんと、勝者は……阿木双士郎選手。自分の「的」を一つも破壊させずに、クロスフィールド選手の五つの「的」を全て破壊……。いわゆる、完全試合です……。しかし、これはいったい……』

 

『な、なんて言えばいいのかな……』

 

 闘技場は静まり返っていた。
 思いもよらぬ結末に、まるで予想していなかった大番狂わせに、誰一人としてまともな感想を口にすることができない。
 試合を見た全ての者が深い混乱に陥っていた。
 しかし混乱の度合いで言えば――記念すべきデビュー戦で完全試合を喰らってしまったスーパールーキーが陥った混乱は、観客達の比ではなかった。

 

(負け、た……?)

 

 結果だけ見れば、完全敗北以外のなにものでもない。
 しかしリザは自分の敗北を、まるで受けいられずにいた。

 

(負け……? え……? なにこれ……? こんなことって……)

 

 わからない。

 

 なにがなんだかわからない。

 

 自分がなぜ敗北したのか、全くわからない。 

 

 未熟さと傲慢さ故に敗北を受け入れられないわけではなく――戦場でなにが起こったのか全くわからなかったのだ。
 気がついたら負けていた。
 負けた、という実感がまるでない。悔しさも惨めさも湧いてこない。
 試合終了のブザーも、スコアボードに表示された対戦結果も、なにもかもが他人事のように感じる。 

 

(おかしいわよ、こんなの……)

 

 もしも――対戦相手の男が実はとんでもない強者で、今までずっと隠していた実力を発揮して自分を圧倒した、という話ならばまだ納得できる。
 だが、そうではない。
 相手の男は――決して強くはなかった。
 彼が強かったわけではなく、リザが――

 

『いやー……なんとうか、奇妙な試合でしたね……。パッとしないというか、見栄えしないというか。阿木選手は、フレアのために一発魔弾を使っただけで、クロスフィールド選手に至っては、魔弾を一発も消費していません。純粋な体術だけの決着となったわけですが、その体術にしても……』

 

『うーん……リザちゃんも、初戦だから緊張してたのかな? 明らかに動きが悪かったね。とてもじゃないけど、欧州の中学生覇者とは思えない』

 

 そう。相手が強かったわけではない。

 

 リザが――弱かったのだ。

 

 普段通りの動きを一切できず、困惑と動揺が解消せぬうちに五つの『的』を破壊されてしまった。欧州の∪15の大会で優勝を手にした彼女の実力は――国際攻魔騎士管理機関『メルクリウス』より『閃雷』の二つ名を授かった彼女の真価は、なに一つ発揮することができなかった。
 まるで、悪い夢でも見ていたような――

 

「……え?」

 

 ステージに跪いて顔を伏せていた彼女は、ふと顔を上げる。
 自分に勝利した阿木双士郎が、すぐそばまでやって来ていた。白濁した白髪の隙間から覗く眼が、リザを見下ろす。

 

「な、なによ……?」

 

 警戒と敵愾心を露わにしたリザを無視して――双士郎は片手で顔を覆った。
 やがて、彼の体が徐々に震え始める。

 

「……ク、クク、ククク」

 

 顔を覆う掌から、音が漏れる。
 ずっと沈黙を保っていた口から零れたのは――笑い、だった。
「ククク……ククッ、クカカカカカカカカカカカカカカカカカカカァ――ッ!」
 哄笑。

 

 

 

 静まり返る闘技場の中心で、彼は一人、声を上げて笑う。
 大口を開け、犬歯を剥き出しにして、腹の底からゲラゲラと大笑いする。
 この世の全てを見下し、蔑み、嘲笑するかのように――

 

「クカカカカカカッ、ククク……どうだよ、リザ・クロスフィールド。早漏だって馬鹿にしてた男にイカされちまった気分はよォ?」

 

 ようやく笑いを収めたところで、双士郎は酷く愉快そうに言葉を紡いでいく。

 

「これが十年に一人の天才と謳われた『閃雷の騎士』かよ? はっ。大したことねえなあ。期待外れもいいとこだ。強い弱い以前に、勝負ってもんを根本的にわかっちゃいねえ。ただの雑魚じゃねえか」

 

「なっ!?」

 

 失礼極まりない言葉の連続に、リザはキッと相手を睨みつけた。

 

「ざ、雑魚ですって!? こ、この私が……」

 

「ああ、雑魚さ。雑魚で不服なら……まあ、カモってとこかな? 簡単に勝ち星を提供してくれる、実に美味しいカモだ。頭の方も鳥並みにスカスカみてえだしな。クク。栄養全部でけえ乳に行ってんじゃねえのか?」

 

「っ!?」

 

 品のない罵倒に、カァ、と頬が熱くなる。リザは跳ねるように立ち上がり、相手へと詰め寄った。

 

「ふ、ふざけんじゃないわよ! もう一回、もう一回勝負よ! こんなの……あり得ない! この私が、あんたみたいな早漏に負けるはずないのよ! 絶対なにかの間違いだわ……ちゃんと本気で戦えば、今度は――」

 

「もう一回? 今度? クク。どこまで甘ちゃんなんだかな、このお嬢様は? 生きるか死ぬか、勝つか負けるか……真剣勝負の世界じゃ、泣きの一回は存在しねえんだよ。勝負をナメるのも大概にしな」

 

「だ、だって――」

 

「いつまで恥を重ねる気だよ、馬鹿おっぱい。これ以上口を開けば開くだけ、自分が言い訳しかできねえ無能だって周囲にアピールするようなもんだぜ?」

 

 リザは口を噤み、ギリギリと歯を食いしばった。
 なにも言い返せなくなった彼女を見て、双士郎はさらに笑みを深くする。

 

「クカカカカッ! 無様だねえ、リザ・クロスフィールド。てめえもいろいろと事情抱えて戦ってたんだろうが、この一回の敗北で全てがパーだ」

 

 勝者は敗者を、ひたすらに罵倒し続けた。

 

「お前は強い。俺よりもはるかに強い。だが――今日勝ったのは俺だ」

 

 そんな勝利宣言を述べた後、双士郎は再び、堪え切れんとばかりに笑い出す。闘技場全てに響き渡るような大音量の嘲笑を撒き散らしながら、彼は姿を消していった。

 

 残されたリザは、悪魔のように嗤う男の背を、呆然と眺めることしかできなかった。

 

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最強喰いのダークヒーロー

作者:望公太

 
 世界中の学生『攻魔騎士』が青春のすべてをかける異能武闘――『ソードウォウ』。その大会に、圧倒的な連戦連勝、世紀の大番狂わせを起こすダークホースが現れた。その名は阿木双士郎。卑怯・卑劣とそしられようと、勝つためにあらゆる手段を尽くす最弱にして完勝の男。

 この物語は、そんな双士郎が弱者のまま頂点へ至る、悪党主人公のジャイアントキリングストーリーである。


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 プロローグ

 少年にはなにもなかった。

 選ばれし者ではなく、持たざる者だった。

 

 生まれながらの落第者で、笑えるほどの敗北者だった。

 

 どんなに手を伸ばしても届かない。

 

 足掻いても足掻いても報われない。

 

 頂点に立つに相応しき血筋に生まれ、『最強』の名を恣(ほしいまま)にする存在から徹底した指導を受けたにもかかわらず――凡人の域にすら達しなかった。

 

 どうしようもないまでに才に恵まれなかった少年は、とうとう劣等の枠から抜け出すことはできなかった。

 

 運命はあまりに無慈悲で、世界はあまりに残酷だから。

 

 少年は己の無能を嘆き、無責任な周囲に絶望し、非情な運命を呪い――
 そして、世界に復讐することを誓った。
 凡人は天才には勝てない。

 

 弱者は強者に勝てない。

 

 そんな必然の理へと反旗を翻し、不安定に秩序だった世界を虚仮にする。

 

 残りの生の全てを、ただ復讐のためだけに費やすことを決めた。

 

 そのためならば、手段は一切問わない――

 

     ≠

『常夜島』

 

 太平洋にポツンと浮かぶ人工の島は、軍事拠点だった頃の名残でそう呼ばれていた。
 半世紀ほど前までは死と闘争で溢れ返っていた島も、今では様々の企業による再開発が進み、多くの人間が暮らす海上観光都市として賑わっていた。

 

 その島の東端には――広大な敷地面積を誇る学園がある。

 

 島面積のおよそ百分の一を締める巨大学園は、名を私立聖海学園という。
 有能な攻魔騎士を育成するために作られたその学園は――本日、熱狂の始まりを迎えようとしていた。

 

『――さあ! 今年も血沸き肉躍る季節がやってまいりましたよ、ご学友の皆様! 全世界の学生攻魔騎士が覇を競い合って頂点を決する武の祭典――「祓魔祭(カーニバル)」! その出場選手を決定するための校内選抜戦――その予選が、本日よりスタートです!』

 

『わー、ぱちぱちー』

 

『悪魔との戦争が終結して早半世紀……記念すべき戦後五十周年となるこの年に、校内選抜戦を勝ち抜いて、我が校の代表者となるのは果たしてどの生徒なのか!? あ。ちなみに、今日の第四闘技場(スタジアム)の実況は不肖私、二年、文倉燕(ふみくらつばめ)が勤めさせて頂きます! 解説は……聖海学園序列六位にして、我が校が誇る大人気アイドル、「かみゅーん」こと、神峰弓(かみねゆん)様に来ていただきました!』

 

『ちょ、ちょっと止めてよ、燕ちゃん。そういうの恥ずかしいからさ……』

 

 実況席に座る二人の女子の声が、円形の闘技場へと響き渡る。
 潮の匂いを孕んだ風が優しく通り抜ける観客席には、満員とまでは行かないが、それなりの数の生徒が座っていた。

 

『思いの外生徒が多いですねー。上位序列入り(ランカー)が出ない予選なんて、席の四分の一も埋まればいい方なんですが。これはやはり、今夏歌手デビューも決定している「かみゅーん」の美声を聞こうと、集まった者が多いのでしょうか?』

 

『もうっ、違うでしょ、燕ちゃん!』

 

『あはは。失礼致しました。そうですね。「かみゅーん」ファンの方もいなくはないようですが……多くの方の目的は、やはり彼女のようですね』

 

 実況者の言うとおり、すり鉢状の観客席に集まった生徒達が向ける視線は、アリーナの中央に立つ一人の少女へと集まっていた。

 

 美しい少女である。

 

 迸る雷光を思わせる金色の髪と、凛とした眼差し。まだどこか幼さが残る顔立ちだが、ピッチリとしたGP(ゲームプレイング)スーツに包まれた肉体は女性特有の起伏の激しく、なんとも言えない妖美さを醸し出していた。

 

 攻魔騎士同士が武器を手に戦う格闘競技――『ソードウォウ』の公式規定(オフィシャル)に則り、彼女の体には五つ『的(ライフ)』が装着済み。

 

 右手、左手、右足、左足、そして胸部。

 

 手枷にも似た『的』が装着された右手には、華美な装飾が施された細剣が握られている。これもまた大会規定に則った、六連の魔機剣(リボルバー)であった。

 

『「閃雷の騎士(オブライトニング)」リザ・クロスフィールド! 今年聖海学園に入学した話題の新入生です! みなさんもご存知の大企業――クロス社のご令嬢にして、昨年度の欧州中学生大会の覇者! 鳴り物入りのスーパールーキーの初戦に、多くの生徒が興味津々のようですね』

 

「……ふん。くだらない」

 

 華やかな美貌を誇る少女――リザは、大音量で語られる自分の情報に対して、心底つまらなそうに鼻を鳴らした。

 

「経歴や生い立ちなんて、なんの意味もない。戦場(ここ)に立つ以上、勝った負けたの結果だけが全てなんだから」

 

 一人呟いた後、対戦相手の男へと視線を移す。
「聞いたわよ、あんた――早漏なんですってね?」
 その口元には、茶化すような笑みがあった。

 

「なんでも、全っ然保たなくて、すぐに終わっちゃうとか……。はん。男のくせに情けないわね。棄権するなら今のうちよ?」

 

「…………」
 挑発を受けても無言を通すのは――オセロのような風体の男であった。
 全身は黒尽くめ。五つの『的』を装着したGPスーツも、手に持つ六連の魔機剣も、黒一色で統一されている。

 

 対して頭髪は――白。

 

 色素という色素が抜け落ちてしまったかのような、白い髪。どこか薄汚れた印象を受ける白濁した髪色は、燦然と煌めくリザの金髪とは対照的であった。
 白と黒のコントラストが際立つ風貌の男は、そよぐ風に白濁した長い髪を揺らしつつ、幽鬼の如く戦場に佇んでいた。

 

『大注目のクロスフィールド選手の対戦相手は……三年生の阿木双士郎(あぎそうしろう)選手です。えーっと、阿木選手には関しては一切の情報がありません。というのも、彼はこの三年間、一度として戦っていないからです』

 

『一度も?』

 

『はい。公式非公式含めて、一度も。校内選抜戦にエントリーしたのも、最終学年となった今回が初めてですね。というか彼の場合、攻魔騎士としての才覚や技倆の問題で、選手として戦えるレベルに達していないようで……』

 

『ふうん』

 

『適合者(キャリア)資質は、最低のカテゴリE。授業の成績も散々。基礎技能であるフレアの発動時間があまりにも短いせいで、一部では「早漏騎士」と揶揄されているとか……』

 

『あー、聞いたことあるかも。三年に、そういう先輩がいるって』

 

『こう言ってはなんですが……阿木選手は、おそらく思い出作りが目的かと思われます』

 

『なるほどねー。でも、思い出作りだとしても精一杯頑張って欲しいなあ。最後まで諦めなければ、奇跡が起こるかもしれないもんね』

 

『そうですね。阿木選手にも、どうにか奮闘して欲しいところです。スーパールーキー相手に、「的」の一つでも破壊できたら立派なものだと思います』

 

 実況席の二人は、まるでリザの勝利が確定しているような発言を繰り返す。
 そう考えているのは彼女達だけではないだろう。
 会場にいる者の大半が、リザ・クロスフィールドの――いずれ自分と戦うかもしれないライバルの初戦を見るべくして集まった者達だ。

 

 すでに決している勝敗など、誰も興味はない。

 

「ふん。思い出作りだかなんだか知らないけど、私はそういう甘ったれた考えで戦場に立つ奴が一番嫌いなのよ」

 

 攻撃的に言い放ち――そしてリザは、体内で練り上げた魔力を一気に解放した。
 黄金に輝くオーラが、彼女の全身を包み込む。
 頭から爪先まで魔力が行き渡り、肉体を構成する全ての細胞が活性化。体外に放出した魔力は、淀みなく体表を循環する。

 

『おーっとクロスフィールド選手、なんと魔弾を消費せずに魔力解放(フレア)の状態となりました! 全国レベルでは必須技能と言われる、魔弾不使用(ノーバレット)のフレアですが……さすがは欧州の覇者、なんなくやってのけてくれます』

 

『綺麗なフレア……。「攻魔騎士はフレアに始まりフレアに終わる」とも言われるけど、今の一連の魔力の流れを見ただけで、彼女が一流だってことがよくわかるね』

 

 体内で渦巻く魔力を動力源とし、体外に迸る魔力を鎧と化す。

 

 悪魔の到来より世界に溢れた魔の力と適合できた人間――適合者(キャリア)にのみ許された、攻防一体の戦闘技法。それこそがフレアである。

 

「この国にはこういうことわざがあるらしいじゃない? 『獅子は兎を狩るにも全力を尽くす』とか。ふふん、いい言葉ね。私も、相手がどんなに雑魚だろうと決して手を抜いたりはしないわ。けちょんけちょんに叩き潰してやるから覚悟しなさい!」

 

「…………」
 白髪の男は、やはり口を開くことはなかった。
 やがて時刻となり、試合開始のブザーが、開戦の合図を告げる。
 聖海学園一年・リザ・クロスフィールド。
 聖海学園三年・阿木双士郎。

 

 双方にとって高校デビューとなるその戦いが――全ての始まりだった。

 

 これより世界は、阿木双士郎という名の『最悪』を知る。

 

『最弱』で『最低』な、『最悪』の存在を思い知らされる。

 

 高等学校最高学年の夏。
『ソードウォウ』高校生世界大会――『祓魔祭』に出場するための、最初で最後の機会。

 

 この一夏のためだけに、彼は全てを賭けてきた。

 

 不出来な劣等生と蔑まれようとも、『早漏騎士』と陰口を叩かれようとも、物言わぬ木偶の坊のような学生生活を送りながら――虎視眈々と牙を研ぎ続けてきた。
 我が物顔で闊歩する大物共の喉元に、深々と突き立てるための牙を――

 

 

 次の話>>

   

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いよいよ発売日が近づいてきた、望公太先生&へいろー先生による期待の新作「最強喰いのダークヒーロー」。今回は、作品の見所紹介に加えて、試読版をお届けします!

作品の見所は、なんと言っても主人公!
並みいる最強たちを智略で喰らう、悪党主人公《ダークヒーロー》が本作最大の魅力です。

 

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彼は三年生になるまで一度も公式試合に参加してこなかった、ダークホース。
ごく普通の魔力も満足に扱えません。才能に見放されし、最弱の男です。

それでも彼は戦います。
「もしも異能武闘の世界にギャンブル漫画の主人公みたいな最強の勝負師がやってきたらどうなるか?」というコンセプトを体現するかのように、ひたすら頭脳を使って、彼我の圧倒的な戦力差を覆していくという戦い方を繰り広げるのです。

そんな彼の前に立ちはだかるのは、

 

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学園序列第一位、ルイ=ミシェル・ヴィレット!

彼こそが、学園の頂点に立つ正真正銘の最強。
さわやかルックスで心もイケメン、向かうところ敵なしの完璧スペック。
ふつうに考えて、みんなが憧れる王子様、the主人公属性!みたいな好青年です。

しかし――

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この作品はイケメンをぶっ潰します!

はじめから勝負にならないくらいの戦力差を、一切の手段を選ばずにひっくり返してしまう逆転劇。それが最強喰いのダークヒーローの見所です。

百聞は一見にしかず、今回は冒頭から約40Pまで=第1章まるまる読める試読版をご用意しました。

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↑試読版はこちらをクリック!

阿木双士郎の反則スレスレなジャイアントキリングとは? 
胸がすく爽快な読み味の、悪党快進撃をぜひぜひお楽しみください!

最強喰いのダークヒーローはいよいよ今月発売です。
ただいまご予約大好評受付中! どうぞよろしくお願いいたします!

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20160601kamisama_shoeiども! GA文庫&GAノベルのまいぞーです。
ただいま好評予約受け付け中の6月刊新作「神様に転生 ~千万回死んだら異世界で神になりました~」の特典情報をお届けにまいりました!

 

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神級チートでハーレムゲット! GAノベル6月新作「神様に転生」紹介!


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