編集T的「GA文庫大賞一次突破のための傾向と対策」

 はーい、集中講義の時間ですよ~。みなさん教室に入ってください~。
 さてわたくしGA文庫大賞がスタートしてから、これまで200本以上の投稿作を読ませていただきました。ごっつぁんです!(※編集によっては300本以上読んでいる者もいますよ)。
 その過程で、一次を突破できない作品にはある共通した「弱点」が存在するということに気がつきました。
 それについてはお戻しする評価シートにも逐一書かせてもらってはいるのですが、これから応募を考えている人のためにも、一般的な傾向と対策を典型的な例とともに挙げさせていただきたいと思います。
 微力ながら皆様の一次突破の糧になれば幸いです~。
 
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■設定面
●【パターンA】設定のあと出し。
 終盤になっていきなり「実は俺、魔王の息子だったんだ」などといって物語をひっくり返すというパターンです。
 それまでにきちんと伏線をはってあればOKですが、なんの布石もなくいきなり物語の根幹を揺るがすような設定を持ち出すのはNGです。
 あと出しジャンケンと一緒で、興醒めです。
●【パターンB】作者しか判らない設定の多用。
「もうこれで大丈夫だ。神崎は決して長谷川を殺せない!」
 しかし読者にはなぜ神崎が長谷川を殺せないのか一切説明がない、というパターンです。
 作者の中には何か設定があることは端々で窺えるのですが、これでは読者は置いてけぼりになるばかりです。
●【パターンC】設定の矛盾に気づいていない。あるいは平気で設定を覆す。
 極端な例ですが、「天涯孤独の主人公」に何の説明もなく当たり前のように「両親と兄弟・姉妹がいる」という投稿作があり、目を疑いました。
 また女であることを隠して男子校に通っているヒロインが、なんのきっかけも伏線もなく、ある日突然普通の女子高生として生活を始めるという作品もありました。
 ……書きながら自分で疑問は感じなかったのでしょうか? 疑問です。
●【パターンD】延々と設定だけを読ませる。
 10ページ、20ページ……延々と世界観や歴史、魔法体系、武術体系などをずらずらと無味乾燥な説明文で書き連ねるパターンです。
「どうだ! 俺の考えた設定、すげーだろ!」という作者の自慢オーラはばんばん伝わってきますが、読まされる方は退屈なだけです。
 そしてこのように大仰に語られた設定は、たいていこのあと展開される物語に活かされることはありません。
 ライトノベルはまず、キャラが活き活きと動いてナンボです。
 設定の作りこみはほどほどに。ご利用は計画的に。
※【パターンD】だけで一次オチする作品は少ないですが、【パターンD】を内包する作品はたいてい【パターンA】か【パターンB】が漏れなくセットでついてきているので、そのせいで落ちることが多いです。
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■文章面
●過度の修飾、独特の比喩が多用されている。
 「ルシフェルの再来のような気丈さ」「三千世界の重箱の隅をつつくような雷鳴」などなど、書いている本人が得意気になっているのは判るのですが、意味がまったく判らない比喩を多用しているというパターンです。
 文章は「平易に、判りやすく」が基本です。
 基本ができないうちに応用に手を出すと火傷します。
●視点人物がいつ切り替わったのかわからない。
 一人称の作品によく見られる現象です。
 地の文がAくんの視点で語られる文章に、Bくんの視点が混ざり、さらにCくんの視点が混ざり……後に残るのは混沌だけ、というパターンです。
 誰の視点で記述されている文章なのか、常に意識して書きましょう。
●会話が続くと誰がどの台詞を喋っているのか判らなくなる。
 これも上述の視点人物問題に近いものがあります。
 キャラがしっかり立っていれば発言内容だけでキャラが特定できますので、このような問題は本来発生しないはずなのですが……。
 ただこちらは↓のような対策をとることである程度回避できますので参考にしてみてください。
・台詞の中に呼びかけを入れる
・口調・語調に特徴をつける
・地の文でこまめにフォローを入れる
●「てにをは」がおかしい。
●主語と述語が対応していない。
●無理に難しい言葉を使って、しかも使い方を間違える。
●誤字脱字があまりにも多い。
 これに関しては国語を頑張ってくださいとしか言えません。
 とにかく少しでも迷ったら辞書をひく習慣をつけましょう。
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■キャラクター面
●突然性格・人格が変わる。
「殺したいほど憎んでいた相手」をあっさり許したり、「死ぬほどきらいな相手」と急に恋に落ちたり……お前は多重人格者か! と思うような行動をとるキャラが平気で登場すると読者は醒めます(※ちなみに多重人格を扱った作品の話ではないですよ)。
 キャラの考え方や感じ方が変わったり、成長を見せたりするのはOK……というかむしろそこに「ドラマ」が発生するわけですが、それを納得させるだけのエピソード・描写の積み重ねがないと、キャラは単に「物語を進めるためだけに存在する駒」になってしまいます。
 読者は「駒」には感情移入できません。ちゃんと物語世界の中に存在する人間として、キャラを構築しましょう。
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■番外編
●物語が完結していない。
「七人の侍」でいうと、侍を三人集めただけで終わっているような作品も結構あります。当然NGです。
「途中までの原稿を読まされてどうしろと?」というのが正直な感想です。


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