こんにちは、まいぞーです。
おかげさまで超速で2度も増刷を重ねた大人気ラブコメ
ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?
男子高校生×27歳お姉さんの歳の差&純愛が大好評!
読んだら人におすすめしたくなる胸キュン最高な面白さで
口コミ人気もいまだ拡大中♪という本作ですが
10月に第2巻の刊行が決定いたしました。
2巻のカバーはこちら
↓
ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?2
~たまらなく愛おしく、とにかく尊い~
そんな本作をより多くの方に知っていただくためキャンペーンを開催いたします。
題して
「年カノ」ファンで作るガチ推しPOPキャンペーン♪
年カノこと「ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?」を読んだ感想をツイートでつぶやいて、未読の読者さんに魅力を広めていただきたい!という、全力でファン頼みの感想キャンペーンです。
GA文庫の編集部&営業部の独断と偏見で「これは!」と感じた応援ツイートは、全国の書店さんで展示可能なPOPとして使用させていただきます。
イメージしやすいサンプルとして「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」の販促レビューPOPはこんなかんじです。
POPの面積の都合上、掲載しきれなかった応援コメントも公式ブログなどを通して年カノのファン拡大のために活用させていただく予定です。
◆参加者プレゼントは2巻のサイン本◆
さらに、キャンペーンと題している以上は参加してくださる方にもなにか嬉しいことでお返しするのが筋というものですよね。そこで今回は著者の望公太先生にもご協力をいただきまして「ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?」2巻のサイン本をプレゼントいたします(抽選で5名様)。
可愛すぎるアラサーヒロインで盛り上がった1巻の好評ぶりを受けて、2巻ではさらに新たなる年上の女性も登場! しかも織原さんの上をいく豊満な極乳ぶりとの噂も……!?
◎キャンペーン期間
2018年8月8日(金) ~ 2018年8月31日(金)
◎キャンペーン参加方法
ハッシュタグ「#年カノ最高」を付けて、作品の感想をツイートしてください。ツイートしてくれた方の中から抽選で、「ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?2巻」(2018年10月刊行予定)のサイン本を5名様にプレゼントいたします。
◎抽選方法
キャンペーン終了後にハッシュタグで検索して抽選を行います。
抽選は9月3日(月)を予定しています。
※締切は8月31日の24時です。締切後に期間中のツイートを検索して抽選を行います。
※サイン本の当選は応援コメントの採用とは無関係に抽選いたします。
当選者には、まいぞー@GA文庫のツイッターアカウント(@GA_Myzo)よりDMをお送りします。9月3日にDMをお送りする予定です。DMの受信から24時間以内に指定のメールアドレスまでメールで必要事項をご連絡ください。
※DMを受信できるようにしておいてください。
※9月3日の24時までにDMが来ない場合は、抽選に外れたものとご理解ください。
なお、ご応募は何口でも可能ですが、当選はお一人様一回までとします。
◎注意事項
本キャンペーンは日本国内にお住まいの方のみを対象とさせていただきます。
POPに掲載できるメッセージの数には限りがありますため、頂いたメッセージを掲載することができない場合もございます。申し訳ありませんがご容赦ください。
書店さまに掲出して頂くPOPを想定していますため、公序良俗に反するメッセージはご遠慮ください。
応援コメントを採用させて頂いた方のツイートネームを合わせて掲載させて頂きます。(小社でPOPを作成する時点において参照できるお名前を使用させて頂きます)
キャンペーン内容は予告なく変更する場合があります。
◎個人情報の取得について
今回のキャンペーンで取得した個人情報は賞品の発送に関する目的のみに使用し、それ以外の目的には一切使用いたしません。
未成年の方は保護者の方の同意を得たうえで個人情報を提供してください。また、お預かりした個人情報は賞品発送の一カ月後に速やかに破棄いたします。
胸キュンすぎて人におすすめしたくなっちゃう甘々・純愛ラブコメディ!
「ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?」
作品全体への思いでもいいですし、織原さんや桃田くんなど、登場キャラクターへの気持ちでもOKです。
もちろんまだ読んでない方がこれから読んでみての感想だって大歓迎!
ガチ推しの素敵な応援コメントをお待ちしております。
『聖剣使いの禁呪詠唱』完結記念、あわむら赤光先生ご自身が語りつくす全巻セルフレビュー企画の最終回!
15巻
2016年2月刊行
同時刊行:ラスボスちゃんとの終末的な恋愛事情、ゴブリンスレイヤー
石動が「逸脱」しはじめる15巻
――いよいよこの企画も最終回ですね。では15巻の見所から。
サツキと春鹿のがんばり、そして試合で石動を倒した瞬間、明暗分かれる二人、がまず一つの見どころで、その辺りrefeia先生がカバーイラストと一枚めくったところにある口絵イラストで印象的に仕上げてくださってます。さすが! 一方、その石動も挫折の果てに一つの境地にたどり着くというか、一歩だけ踏み込むんですが、その瞬間もrefeia先生の素晴らしいイラストと合わせて、印象深いシーンになったのではないかと。
――この巻から石動にも大きな変化がありましたね。
賢明なる読者さん諸氏にはきっと、石動が原作者に贔屓されてるキャラだとお気づきのことかと思います。それでも見て見ぬふりして「石動好き」って言ってくださる読者さんのことが僕は大好きです! で、そんな石動がこの巻ではヂーシンと密通したり、新たな力を得たりと、いろいろ動き回るんですが、その辺りの裏話は最終22巻のあとがきの方で触れております。ここで言っちゃうと最終巻のネタバレになるんで言えないんですゴメンナサイ。決して決して最終巻買ってね! っていう商売のためじゃないんです。
――他にもこの巻ならではの裏話などありますか?
この15巻は第3弾のドラマCD付の特装版も出ました。で、第2弾の時に、アフレコに絶対に連れていってもらうため、命を削って優良作家になったって言ったじゃないですか? でもその後、僕は気づいたんですよ。
――気づいた、とは?
たとえ締切がヤバくても、担当さんを泣き落とせばいいじゃない、と。
――………………?
早く書き上げるためには、むしろ不良作家であるべきなのではないか?と。
――………………????
そんで「アフレコに行って英気を養わないと原稿が落ちてしまう」とまいぞーさんを脅迫し、原稿のゴールがぜんぜん見えないけどアフレコ行ってきました!
――聞きたくなかった裏話だなー!
アフレコ最高でした! 自分で書いた脚本をキャストの皆様に読んでいただくのがうれしいか恥ずかしいかは作家によって個人差があるみたいなのですが、僕はうれしさしかなかったです。ワルブレはキャストさんに本当に恵まれた作品でした。その後でまいぞーさんに鬼のようにスケジュールを締め上げられたんですが、何も後悔はありませんでした。
16巻
2016年6月刊行
同時刊行:最強喰いのダークヒーロー、29とJK
怒濤のあわむら赤光5ヶ月連続刊行、開始
――続いて16巻の見所を。
海! 水着! 合宿! 裏切り! な16巻です。
――最後なんかちょっとおかしいですね。
あと見開きカラーイラストの、レーシャの魔剣レプラザン覚醒は最高にかっこいいです。そもそもこの覚醒アイデアは、refeia先生がデザインしてくださったレプラザンを初めて拝見した時に、「この二又? になってる刀身かっけえ!」て興奮しつつ、その隙間に光が宿ったらさらにかっこいいんじゃないかと思ったのが元となってます。
他にも静乃の杖とか、refeia先生デザイン発のアイデアはたくさん作中に盛り込まれてます。僕が「黒魔は武器使わないんで、静乃には何も持たせなくていいです!」って言った時、refeia先生が「まあメインキャラだし、何か持たせておきますよ」って仰ってくれなかったら、ワルブレシリーズでもはや定番になってるゴーレムって要素はなかったかもです。
――そ、そういえばこの巻にも美味しそうな料理シーンが出てきますが……
ジョージア料理を取材しようとわざわざジョージア料理店さんを探して
――突撃したら、とても美味しかったんですよね!?
はい、とても美味しかったです!!
正義のためには戦わない諸葉
ワルブレシリーズでは正義、正義って頻繁に口にするキャラとしないキャラとで、意図的にわけてます。本人の善悪には関係なく。諸葉はストライカーズの号令を除けば、滅多に口にしないキャラです。なぜかといえば、二度の前世で「正義のために」戦い抜いた結果、あまりに強すぎる彼は世界の敵になってしまったからです。だから諸葉はもう懲り懲りというか、「正義のため」には戦わず、自分の信念にのみ沿って戦ってます。諸葉は善性の人ではありますが、正義の人では決してないです。シリーズを通してずっと描いてるんですが、その最たるものがこの16巻かな、と。諸葉の決め台詞は「俺は――俺から奪っていく奴を、絶対に許さない」なんです。
2016年7月 我が驍勇にふるえよ天地刊行
17巻
2016年8月刊行
同時刊行:S級御曹司たちがゆく異世界契約支配者生活《ルーラーズ・ライフ》
短編集もついに第3弾
――シリーズ22冊のうちの3度めの短編集ですね。見所からお願いします。
今回はヒロインズとのラブコメ話は控えめで、異色な短編を集めました。エドワードやシャルルで一本書けたのは、特に楽しかったですね! あと「GA文庫マガジン」に寄稿したまま宙ぶらりんだった、AJサンと諸葉の旅話は個人的にお気に入りでしたので、書籍化できてよかったです。
――この頃、あわむら先生は多忙を極めておりました。5ヶ月連続刊行チャレンジという大変なスケジュール!
この前の16巻から次の18巻まで、新スタートした僕のもう一つのシリーズ「我が驍勇にふるえよ天地」を間に挟みつつ、「あわむら赤光 五か月連続刊行!」みたいに宣伝したんですよね。で、読者さんよりむしろ、知り合いの作家さんたちに「がんばりすぎじゃない?」って反響あったんです。
――同業者さんだからこそ驚かれるわけですね。
でも、実はこの17巻は過去に寄稿した短編を集めたものだったので、「5冊出すとは言ったが、5冊書くとは言ってないんです……」と白状するのがちょっと恥ずかしかったです。
2016年9月 我が驍勇にふるえよ天地2
18巻
2016年10月刊行
同時刊行:アキハバラ∧デンパトウ、百億の金貨と転生者
満を持しての『静乃の前世編』
――18巻といえば、見所は決まっていますね。
はい。シリーズ構想時からずっとずっと書きたかった、でもありがたいことにシリーズが長期化してまだ語ることができなかった、「静乃の前世話」回です。ずっと意図的に伏せてきた、前世の静乃の名前が明かされるのもこの18巻となります。
――読者さんの反響も一際大きかった印象です。執筆当時はどんなお気持ちだったのでしょうか?
毎日「静乃可愛い」「サツキごめん」って言って書いてました。
――(笑)
他にもイベント目白押しの巻で、丈弦が大金星を挙げるシーンなんかもお気に入りです。才能に欠片も恵まれなかった彼が、六翼会議の一翼を倒す説得力のために、この18巻まで丁寧に積んできた描写が集約されたシーンです。
――個人的には、レナードと諸葉の決着はシリーズ屈指のバトル描写だと思っています。
ありがとうございます。実は“閃剣”レナードは、1巻を読んでくれた同期の逢空万太さんが「こんなキャラどうよ?」って提案してくれて、僕が「いただき」ってもらったアイデアをさらにふくらませて肉付けしたキャラなんです。
――おお、そうだったんですね!
だから愛着もすごくて、大切にしようって思ってたんです。
――出番が遅かったわりに、活躍も多い敵キャラだったのにはそんなわけがあったんですね。
はい。さらには諸葉とのあの決戦シーンは初めから頭の中にありました。そこに至るまでの『積み』という意味でも、ずっと意識して出番の多い敵役にしていました。
19巻
2017年2月刊行
同時刊行:たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語、ぜったい転職したいんです!!
クライマックス、開幕
――「最後の戦いの始まり」の巻ですね。
ここから最終巻まで、たった1日間の激戦を描いたお話になってます。だから通常「エピローグ」とするところを「ノット エピローグ」にしてます。まだこのエピソードは終わってませんという意味を込めて。
――この辺りは、ワルブレのクライマックスおさらい記事に詳しく書いてあります。
◆関連記事
――また、この巻からサツキがシリーズ最大級のキーパーソンになっていきますね。
毎日「サツキ可愛い」「静乃ごめん」って言って書いてました。
――18巻と逆なんですね(笑)
あと、この巻からいわゆるボスラッシュも始まります。19巻は貝利仙女との決着回です。
――純粋な戦闘力の比べあいで諸葉があれほど追い詰められるのは珍しいですよね。シリーズでも名試合の一つに数えられる激戦でした。
貝利仙女は僕がポロっと思いついてポロっと登場させた後出しのキャラなのはすでにお話しましたよね。そういうと「おまえ、その場の思いつきでモノ書いてんのかよ!」と批判されそうですが、諸葉の新たな一面(馬迭戈に「殺し合いなら諸葉とは絶対に絶対に戦わない」といわせるほどの強い殺意)を引き出すことができたのもこのキャラのおかげとも言えるので、結果的にはグッドアイデアだったと思っています。
20巻
2017年6月刊行
同時刊行:元勇者、印税生活はじめました。、進め!たかめ少女 高雄ソライロデイズ。
別視点から語られるワルブレ
――それでは20巻の見所を。これは異色の一冊でしたね。
主人公でもないのにロング過去回想をやる男、熾場亮のその学生時代のお話です。同時に田中先生の正体や、真のラスボス駿河安東の遠大な計画が明かされる巻でもあります。
――第1巻のセルフリメイク的なストーリーでもありますよね。
熾場の学生時代のエピソードは、諸葉と対比的に作ってあって、常に1巻を手元に置いて参照しながら書いてたんですが、この似て非なるお話を書くのが意外と面白くて仕方ありませんでした。決して手抜きじゃないヨ。あと、熾場や万里の代の年表を緻密に作ってなかったんで、特にまーやがどの時期に何をしていいのか、矛盾が起きないかなど、情報のサルベージに苦労したのも今ではいい思い出です。
――初校と決定稿で印象ががらっと違う話になりました。
この巻は「現代軸での諸葉VS熾場」「過去軸での熾場の学生時代」という二つの軸が、交互に語られる構造となっております。で、初稿の時には「現代軸は諸葉視点」「過去軸は熾場視点」という風に僕は書いてました。
――でもそれだと、章ごとのつながりが悪いし、なんの話か分かりにくかったんですよね。
それでまいぞーさんが「いっそ一冊通して熾場視点の方が盛り上がるでしょ」と言ってくれたんです。僕は「熾場視点統一でいいの?」「主人公でもないのに、そんなの書いちゃっていいの?」と大興奮でした。遠慮することをやめ、主人公でもないのに熾場亮のお話を一冊書いちゃいました。
――結果的に、熾場の目を通して語られつつも、きちんと灰村諸葉の「主人公たるゆえん」が伝わる物語としてあわむら先生は仕上げてくださいました。
知り合いの作家さん方からも大好評でした。ただ、中にはやっぱり「あくまで諸葉たちの話が読みたいんだよなあ」って方もいらっしゃいますよね。ここ一冊だけ、長編ならではのイレギュラー巻ってことでご勘弁ください……。
21巻
2017年10月刊行
同時刊行:魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが幸せになってはダメらしい。、魔法使いにはさせませんよ!
書きたかったものをもう我慢しない21巻
――ラストが近づいてきました。続いて21巻です。
最終巻一つ前の巻という全編バトル回再びなのですが、中でも特に諸葉と田中先生の戦いは、これもシリーズ構想時点からずっと温めていたシーンです。才能なんて微塵もないはずなのに、諸葉をしてランクSの誰よりも怖いと言わしめた男の戦いぶりにご注目いただければ。
――諸葉の叔母・エリカさんの正体もこの巻でついに判明しますね。
はい。18巻辺りからじっくりとシリーズのまとめに入って、途中でふくらんだアイデアというよりは、構想時からあった結末周辺のアイデア、書きたいのをがまんして五年くらい温めていたアイデアを、次から次へと書いていって、これはもう本当に楽しかったです。
――長期シリーズが結末にむかう時ならではの感覚ということですね?
僕の前作の「あるいは現在進行形の黒歴史」も全10巻とかなりの長編シリーズなんですけど、やっぱりコメディなんで、そこまで先の先を考えるというよりは、ライブ感重視で書いてたんで。
――そういう意味では、21冊めにして初めての経験ということでしょうか。
シリーズのために用意していたアイデアを残さず使って書くというのは、このワルブレで初めての経験をさせてもらいました。
そして、最終巻へ
22巻
2018年6月刊行
同時刊行:百神百年大戦
――そしてそして、いよいよ22巻!
はい、最終巻です。大変に読者さんをお待たせしてしまった巻でもあります。申し訳ありません。そのあとがきでも詳しく書いてますが、とにかく僕が「有終の美を飾りたい!」という想いばかりが空回りして、シリーズ最大の難産となってしまいました。しかし苦労した分だけ、素晴らしい最終巻を書き上げることができたと信じております。最高のラストバトルと、最高の大団円を、あわむら史上最厚のページ数でお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします!! ここまでご清聴、ありがとうございました。
さてさて、『聖剣使いの禁呪詠唱』完結記念と称してあわむら赤光先生にご自身の視点からシリーズをふりかえるセルフレビュー企画の続編です!
今回は8巻からスタートして、14巻までのインタビューをまとめました。ご覧ください。
8巻
2014年8月刊行
同時刊行:ファタモルガーナの館、未来/珈琲 彼女の恋。
シリーズ初の短編集はラブコメ特化
――さて、引き続き8巻から。こちらの見所を教えてください。
ワルブレ初の短編集です。全編イチャイチャだらけですので、サツキ、静乃、レーシャ、まーや、春鹿それぞれのラブコメ回を楽しんでいただければ。
――文庫書き下ろし短編ばかりではなく、再録のエピソードを含みますね。7巻より過去の時点のお話を扱っているので、不自然にならない工夫もなされています。
「GA文庫マガジン」に寄稿した短編を再録したものがメインです。とはいえ、短編の作業は本編と別スケジュールで進みますので、締切にあっぷあっぷした記憶ばっか残ってます。
――再録といえば、モモ先輩がメインの短編はかわった出自の作品でしたね。
春鹿の短編だけは1巻刊行前に書いて、試読用としてWEB掲載したものです(正確には加筆修正版)。本編で本格的に登場するのは3巻からと遅い彼女ですが、しっかり最初からヒロインしてたんだぜー、思い入れあるキャラなんだぜー、という気持ちを込めて加筆修正しました。次の9巻では春鹿が表紙になるのは決まっておりましたので、ここでやはり短編集をやって春鹿短編再録するしかないって、まいぞーさんと話し合いましたね。
9巻
2014年11月刊行
同時刊行:魔王子グレイの勇者生活(チートライフ)、天壌穿つ神魔の剣
実現、男祭り!
――続いては9巻です。こちらの見所といえば?
あの強敵だったエドワード、シャルルが仲間として共闘する! シリーズでも屈指の見どころだと自負しております。見開きの扉挿絵でもrefeia先生に諸葉&エド&シャルルの男祭りを描いていただいたのが、いい思い出です。
――シャルルの男ツンデレぶりが可愛くて、初稿を拝読した一番の感想が「シャルルがメインヒロインになってるんですけど!?」だったことを思い出しました。
まいぞーさん、そんなこと言ってましたね。それから田中先生にフランス支部のブレーズという、いぶし銀二人に縁の下を支えられて諸葉が戦うシーンは、書いててとても楽しかったです。今になって思い返すと、諸葉がヒロインズやストライカーズ以外を引きつれて戦うシーンって珍しいかも? 第一次白騎士機関総力戦ともいえる9巻だからこそ書けたお話ですね。
――諸葉より強いキャラが現れたのも初めてですね。
はい、馬迭戈さん登場巻でもあります。ある意味、諸葉をボコボコにできちゃう彼の存在と特訓シーンは、果たして読者さんに受け入れられるのかと、実は、正直、恐かったりしたんですが、「ラノベ読者さんはそんなネットで言われてるほど狭量ではないはずだ!」と信じて世に送り出しました。次の10巻で売上が下がったらどうしようかと布団の中で震えてましたが、逆に上がったので出てきました。
10巻
2015年1月刊行
同時刊行:ジンクスゲーム、異世界ラ皇の探求者
大台の10巻突入&アニメ放送開始
――いよいよ二桁の巻数に突入です。見所は?
「万里校長が生徒本位の学校作りをした理由」も含めれば、1巻からずっと伏線を張られ続け、7巻で意味深に登場した熾場亮と、ついに激突するのがこの10巻です。
――シリーズを開始する時に、10巻くらいまでは続けたいですね、と話しあっていたのが良い思い出です。実際には倍以上の22巻まで続くのですが。
この巻はワルブレアニメの放映時期と合わせて上梓しました。なので表紙はrefeia先生に「ワルブレシリーズを象徴するイラストを」というふんわりした要望で丸投げしました。
――いやー、ひどい話ですよね。
いや、なんで他人事なんですか(笑) しかも最終巻でももう一度、そのふんわりした要望を丸投げしてしまいましたよね。
――ひどい話ですよね。
実際に仕上がったイラストはさすがの一言でした。アニメスタートのタイミングにふさわしい、堂々としたワルブレメインキャラ3人の姿が見事に描かれています。同じくふんわりした発注から最終巻を飾るにふさわしい完璧なイラストになった22巻と、この10巻表紙とを見比べていただけると面白いかと!
原作とアニメで結末が違うキャラ
10巻ではお話したいことがいっぱいありますがもうひとつだけ。この巻で活躍する熾場亮は諸葉と対比的な人物として構想を練りました。で、実はもう一人、諸葉と対比的に構想して描いたキャラクターがいます。1巻で登場し、この10巻で退場する石動の弟・巌です。僕はこの厳を勝手に「ワルブレ三大ゲスキャラ」の一人として認定しております。僕はゲスキャラを書くのも読むのも大好きですので、こいつもすごく愛したキャラの一人です。でも、その末路はどうしようかとけっこう悩みました。で、ワルブレアニメと原作では、巌の結末が違うのはご存知でしょうか? アニメの巌が最後、清々しいまでに叫ぶあのシーンは、まさに稲垣監督のお人柄のよさがありありと表れた結果だと思うんですよね。僕は脚本や絵コンテ段階でそれを拝見しまして、おかげで踏ん切りがつきました。僕はやっぱりゲスキャラにはゲスの美学を貫いて欲しいなと! なので最後まで巌は、どうしようもない奴として描ききったんですが、改心して欲しかった勢の皆さん、ゴメンナサイ……!
11巻
2015年2月刊行
同時刊行:路地裏バトルプリンセス、電想神界ラグナロク、勇者が魔王を倒してくれない
海外エピソード第2弾、アメリカ支部編
――10巻から間を置かず翌月に刊行された11巻について教えてください。
諸葉、アメリカに行く――の回です。外国に行くのは5巻のロシアに続いて二度目です。アメリカ支部の面々がアットホームなキャラなので、今回は殺伐とした雰囲気にはなってません。……なってませんよね?
――海外編ということで、何か気をつけて書かれたことはありますか?
チェコ料理を取材しようとわざわざチェコ料理店さんを探して突撃したんですが、とても美味しかったです!!
――あれ、ロシア編でも同じこと言ってませんでしたっけ?
それはそうと、6巻でもやってたんですがこの11巻でも、ドラマCD付の特装版が出ました。6巻の第1弾の時、てっきりアフレコには必ず呼んでもらえると思って、ドキドキしながら原稿サボってナルガクルガ狩ってたんですが、そんな不良作家はアフレコに呼んでもらえず、収録はとっくに終わっていたという悲しい事件がありました。
――あ、これ一生恨まれるやつですね……。お招きせず申し訳ございませんでした。
なので僕は優良作家に生まれ変わるため、この時期は死ぬ気で締切守りました。9巻が11月発売、アニメ化合わせで10巻が翌年1月発売、11巻が2月発売と、なんと4か月で3冊書くという異次元締切だったのに途中で気づいたんですが。
――いま考えるとかなりおかしいスケジュールですね……。
だからなんで他人事なんですか(笑) ともあれ、アフレコに立ち合いたいという執念のおかげでまいぞーさんが組んだ殺人的スケジュールを成し遂げることができました。今後全ての著作にドラマCD付けてくれたら、僕は永遠に優良進行できるんじゃないっすかね?
12巻
2015年6月刊行
同時刊行:ギルティ・アームズ
諸葉不在の物語再び。だが――
――続いて12巻の見所は。
諸葉不在の亜鐘学園に、恐るべき六翼会議の背教者たちが襲い来る、ピンチに次ぐピンチの12巻です。ラブコメ要素がほとんどなく、ずっとバトルしてる巻です。ワルブレシリーズでもここまで徹底してるのは珍しかったり。そして、ついに駆けつけた諸葉のシーンはrefeia先生のかっこよすぎるイラストも合わせて、バシィィッと決まった一幕だと思っております。
――この巻もほぼ諸葉不在のお話でしたね。
はい。諸葉がアメリカに行っている間の学園を舞台にずっとピンチが続くわけで、7巻の悪夢再びというか、これプロット的に大丈夫? という疑心暗鬼はあったんです。ところが、いざ書いてみれば杞憂でした。やっぱりサツキを代表に、逆境におけるメンタルが清々しい連中が多いおかげで、ピンチはピンチなんだけど、読み手にストレスよりも応援したくなる気持ちを抱いてもらえる、そういうお話が書けた手応えがありました。
アニメと影響しあった展開も
実は諸葉がアメリカから帰ってくる手段として、当初はまーやが万里の《移ろいの門》を引き継いで、完成させるという展開を構想していました。
――あれ? でもそれって……
はい。これ、アニメの脚本会議でアイデアを求められて、先にそちらで使っちゃったんです。なので原作で後から同じことしてもしょうがないから変化をつけようと考えました。むしろアニメをご覧になった読者さんが「アニメ通りに上手くいくんでしょ……あれ、そうじゃないの!?」と、ハラハラしてくれるんじゃないかとイタズラ心がわきまして。原作ではアニメとは逆に、まーやが失敗するという展開にしてみました。もちろん、まーやはただ可哀想な少女で終わらずに、後の巻でしっかりリベンジを決めるという構想の下で12巻を書いてます。
13巻
2015年8月刊行
同時刊行:幻葬神話のドレッドノート、仮面魔女の解放戦記《レジスタンス》、教導覇帝の完戦常勝譚〈パーフェクトヴィクトリア〉
シリーズ史上最高に××なお話たち
――13巻は短編集第2弾ですね。
短編集第1弾(8巻)同様、各ヒロインズとのイチャイチャを堪能していただければと。それから12巻が殺伐バトル回でしたので、ここで短編集やるしかない! とまいぞーさんと話し合った記憶があります。シリーズ史上最高に頭が悪くてえっちな話ばっかりになったのは計算外です。計算外ですよ。
学年が上がるかどうかはこうして決まった
シリーズ構想を練るに当たって、諸葉たちが進級するか否かは決めかねて、けっこう後回しにしてました。
――そういえば決めていませんでしたね。実際には諸葉たちは進級して学年が上がっていきます。
二十冊以上かけて作中一年終わらないシリーズがあってもいいじゃない。という冗談はさておき、決めかねた理由は石動迅という美味しいキャラが卒業しちゃうと、諸葉たちとのからみが少なくなってしまうからです。しかしある日、「石動が校長になっちゃえばいいじゃない」というアイデアが降ってきまして、それが決め手になりました。
――石動が校長になることが決め手? 詳しく聞かせてください。
「石動が校長になる」「じゃあ万里さんどうすんの?」「あ、六翼会議にさらわれればいいんだ!」「敵も《移ろいの門》使ってきたらエゲツなくていいじゃん!」とアイデアが次々と連鎖していって。
――あー! そういうお考えがあったんですね……。初めて聞きました。
そうなんです。こうして、晴れて諸葉たちは進級できることになりました。
14巻
2015年10月刊行
同時刊行:出番ですよ!カグヤさま、超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!
見所もりだくさんの14巻
――14巻の見所もお聞かせください。
灰村さんちの里帰りに続く、静乃さんちのお宅訪問! さらに、まーやが12巻のリベンジかますところや、なんといってもシャルルVS熾場ですね!
――この巻ではシャルルが諸葉に高級中華をふるまうお話がありますね。
中華街を取材しようと横浜行って中華料理店さんをいろいろ回ったんですが、とても美味しかったです!!
――またそれですか!
美味しかったです!
――他にも14巻の秘蔵エピソードなどはありますか?
ありますあります。14巻はいっぱいあるんです。静乃のおじいちゃんと諸葉がやり合うシーンは、実はかなりばっさり削っています。漆原家のキャラがもっている「煮ても焼いても食えない」感じは書いていてホント楽しくて。そのラスボスたるおじいちゃんは、筆が止まらなくて困ったくらいです。
――あのおじいちゃんが目立ちすぎると、なんの話か分からなくなっちゃいますからね。それから諸葉の叔母さんであるエリカが初登場する巻でもありました。
実は諸葉の叔母が外国人だということはすでに6巻でさりげなく言ってるんです。
――そうそう! あの伏線は巧妙でしたね。私、あわむら先生に言われるまで気がつきませんでしたから。
えー、ちゃんと読み込んでくださいよー! エリカはこの14巻では顔見せ程度ですが、先々重要キャラになりますし、そのつもりで1巻からずっと折に触れて存在をほのめかしていたキャラでもあります。
――かなり踏み込んだ、裏話っぽい感じになってきましたね。
裏話といえば、貝利仙女の顔見せ回でもあります。途中まで駿河安東だと思っていた人物が、焼き殺されてみれば実はフェイクの紙人形だった――という展開で出てきた紙人形。あれは、貝利の宝具(パオペイ)なんです。
――あそこは初稿では分かりづらくて打ち合わせですごく質問しましたね。
いろんな勢力が先々の戦略も見据えた上でフェイクかけまくるんで、読みづらかったかもしれないと後で反省しました。
――完結後に、いまさら白状するんですか!?
白状ついでにもう一つネタバレ行きます! バトル物ってどうしてもインフレするというか、させなきゃ面白くならないと思っているんですが、さりとて天井は最初に決めておこうというのが、僕の美学だったりします。なのでワルブレに出てくる強キャラは早い段階で既に頭の中にあったし、実はこっそり伏線張りまくりですし、パワーバランスも決定してました。たとえ諸葉でもエドワード相手だと息の根は止められません! でも貝利仙女は――
――14巻で急に出てきましたよね。
ポロっと直前に思いついて、ポロっと出してしまいました。だからこいつに関しては伏線全く張ってませんし、実質ランクSS一人増やしちゃいました。だってそんなのが駿河安東に仕えていたら、超かっこいいと思ってしまったんです……。
――でも、魅力的な悪役として後々の巻までずっと活躍してくれました!
そう言ってもらえるとポロッと出した甲斐があります。
――さてさて、前回に続いてまた担当なのに聞いたことがない話がどんどん出てきた全巻セルフレビュー第2弾も予定どおり14巻までふりかえりました。残るは15巻~22巻、ワルブレ完結へむけて加速度的に盛り上がっていくクライマックス編です。そちらはまた次の記事でお楽しみください。
GA文庫最長シリーズ「聖剣使いの禁呪詠唱」完結を記念して、著者あわむら赤光先生にインタビューをいたしました。
テーマはずばり「ワルブレ全巻セルフレビュー」!
著者自らが語る、ワルブレの見所、思い出話、そして今だから明かせる裏話的な内容などなど。
全22巻なのであわせて3回の連載形式の記事でお送りします。
第1回となる今回は、記念すべき第1巻から、シリーズ屈指の難産だったとふりかえる第7巻までのインタビューをお届けします。
1巻
2012年11月刊行
同時刊行:ハンドレッド、幻國戦記CROW
諸葉、サツキ、静乃、三人のための物語
――まず、シリーズ初めとなる第1巻についてお聞かせください。
灰村諸葉という主人公の強さとかっこよさを、とにかく堪能していただければと!
――そうですね。それが1巻から最終巻まで続くテーマになりましたね。
あとサツキと静乃という前世からの嫁二人と、イチャイチャしたりラブがコメったり真面目に心と心を触れ合わせたりというシーンも目白押しです。ワルブレシリーズの中核をなすこの三人による、三人のための物語がこの1巻です。
諸葉の根っこを描く第1巻
――執筆当時はどのようなことを意識していましたか?
諸葉というキャラの「根っこ」の部分を描こうとしていました。僕がメチャクチャかっこいい主人公と信じるキャラはこういう男なんですというのを読者さんに提示して、「なるほど、こいつは好きやな!」って思ってもらえるように、とにかくそこを丁寧に描きました。
実はサツキは「前世の妹」じゃなかった
――そういえば、サツキって初稿ではもうすこし違うキャラでしたよね?
実はサツキは最初、「前世の妹」設定はありませんでした。ただのお姫さまで、背景も薄味なせいかキャラクターもぺらぺらでした。で、初稿を読んだ担当のまいぞーさんに「静乃の方はとても魅力的で全く問題ないんですが、サツキはキャラ死んでるんですが……」という忌憚のないご意見もいただきまして。
――あー、いや、そんなきついこと言いましたっけ……?
まあ、実は僕もそう思ってたんです!
――じゃあそんな原稿提出しないでくださいよ!(笑)
と、まあ、そんな心温まる打ち合わせの後、ではどんな風にキャラを造り替えようかと散々悩んだんです。で、ある日、「妹だけど前世じゃないから関係ないよね」というフレーズが天啓のように思い浮かんで、今の設定になりました。
――あれは発明でしたね。アイデアを聞いたとき、すごい!と思いました。
面白い背景ができてしまえば、途端にサツキが活き活きと動き出して、今のキャラ造形が完成しました。
――ほかには1巻に込められた秘密などありますか?
春鹿もソフィアも丈弦も斎子も竹中も1巻からちゃんといる、ということですかね。
――ええ!? そうでしたっけ?
読みづらくしたくないので余分な情報量を抑えるために、敢えてキャラ名は1巻で出してないんですが、春鹿もソフィアも丈弦も斎子も竹中も1巻で一言しゃべってます。先の巻まで読んでから読み直すとどのセリフがどのキャラか分かるようになっていると思います。ただ春鹿の台詞がいま読み返すと「こんなかっこいい台詞は言わないよなあ……」と、ちょっと練りが足りなかったのを反省してます。ちなみに亀吉はいません。2巻書いてる時に思いついて爆誕しました。
2013年1月 あるいは現在進行形の黒歴史9巻発売
2巻
2013年2月刊行
同時刊行:妹様による、俺ルート攻略・ラブコメ理論
静乃の正妻オーラが止まらない第2巻
――続いて第2巻ですが、こちらの見所としては?
静乃がひたすら正妻オーラ出してるところです。サツキ、ごめん……。まーやもこの巻から本格登場するんですけど、やっぱ全部静乃が持ってっちゃったな、と。
――いわゆる「静乃回」でしたね。可愛かったです。
それから諸葉が初めて禁呪を使う巻でもあり、タイトル回収を半分してます。禁呪詠唱のシーンはとても力を入れて書いたので、読者さんにも好評だったとまいぞーさんから聞かされて、ひたすらうれしかった記憶があります。
ライヴァル登場回でもある
――シリーズ通して諸葉を支える人気キャラ・エドワードもこの巻から登場しましたね。
表テーマが「静乃回」なんですが裏テーマが「魅力的なライヴァル回」で、白騎士エドワードと御付のAJも気合入れて書いた……というか、こいつらはホント書いてて楽しいので、勝手に筆が乗りました。二人ともこの先ずっと要所要所で顔を出すんですが、ゲストキャラの中ではとても人気がある方ではないでしょうか? ヒロインズよりAJサンの方が好きって声もあるそうで、「諸葉とくっつかなくてゴメンね」って恐縮しました。
3巻
2013年4月刊行
同時刊行:ヴァルキリーワークス、放課後四重奏
見所は「すごい水着」!
――3巻はカバーイラストがエッチですね!
海! 水着! 合宿! 怪物! な3巻です。最後なんかちょっとおかしいですね(笑)
僕はイラストに関しては、基本的にイラストレーターの先生の裁量に多くをお任せするスタイルなんです。だから水着のデザインとかもただ「お任せします!」ってrefeia先生に丸投げしてしまったんですけど、そしたら静乃の水着が想像を絶するほどすごい奴で、初めて拝見した時、思わず椅子から腰が浮きました。いやすごかった……。
――モモ先輩はこの巻から本格登場です。
まいぞーさんのお気に入りキャラ・春鹿が大活躍します。あとソフィア以外のストライカーズの面々もですね。
長期構想に踏み出した第3巻
1巻がありがたいことに大変好評で売上げも良かったらしく、まいぞーさんが「現時点で最低でも8巻まで書けます!」って言ってくれたんですよね。で、長期シリーズ化できることになったんで、お話の世界観を一気に広げることができるぞ! って僕も喜んで、脇キャラたちに焦点を当てることができました。
――シリーズをどれくらい続けられるかで、書ける内容にも影響があるんですね。
おかげでこのワルブレシリーズで実は一番書きたかったテーマである「前世では『世界の敵』扱いだった諸葉だけど、現世では素晴らしい仲間たちに恵まれたからもう一人じゃない」っていう要素を描くことができました。
――長期シリーズにならなかったらテーマも変わっていたでしょうか?
そうですね。もし長期化できなかったら「前世の嫁は最高だった。そして現世でも最高だった。終わり」しか描く紙幅がなかったでしょうね。キャラの成長という点では寂しかったと思います。
六頭領の会談をいまこそ読み返してほしい
ワルブレ世界のスケールを飛躍させていいことになった恩恵はもう一つあります。六頭領の面々と、その会議の風景を書けたことです。あそこはメチャクチャ気合を入れて書いたんですが、一つに六頭領たちを「一筋縄ではいかない連中」だと描きたい、もう一つにシリーズ全体の伏線をここに詰め込んでおいて、読者さんがいつか読み返してくださった時に「ああ!」「あああ!」「ああああああ!」ってなってくれたらうれしいなあ、とそういう想いで書きました。ネタバレをしちゃうと「ランクSの数が合わない」とかそれに付随して「六人目のランクSの影」とか「雷帝ってホントに強いの?」とか「エドワードは駿河安東をどう思ってるか」とか「メタフィジカルが出現するの、そういえば日本を除くと国連常任理事国ばっかだよね」「サツキ覚醒中、安東はどうなってたか」とか、とにかくたくさん入ってますので、ぜひ一度読み返してみてください。オススメ!
2013年6月 あるいは現在進行形の黒歴史10巻発売
4巻
2013年8月刊行
同時刊行:最弱無敗の神装機竜《バハムート》、不死鬼譚きゅうこん 千年少女
難産だったけど可愛い子・レーシャ
――4巻では学園の外から敵が現れましたね。
そうですね、この巻がレーシャ登場回です。それから外国人対比でここで出すしかない! と温存していたソフィアも登場回なんですが、やっぱこの巻はレーシャが全部持っていっていると思います。ちょっとおバカで可愛いレーシャ、でも可哀想な背景があって、激怒した諸葉が彼女を救い出すというベッタベタのお話が、ベッタベタに面白くなるように全身全霊で書きました。
――レーシャもサツキ同様、初稿から変化しましたよね?
実はレーシャの性格付けは難産でした。背景設定は最初から決まってたんですが、「この子はこういう性格」って骨子がなかなか出来上がらなくて、シーンごとに言動がブレブレで、苦労しました。これじゃ魅力的にならんぞってことで焦り、腰を据えて、「諸葉と一対一の会話」「サツキと一対一の会話」「静乃の一対一の会話」という風にケース別のSSを書きまくって、ようやく骨子をつかむことができました。
――そんなトレーニングを積んでいたんですね!
難産だった分、以降はずっとレーシャはよく動いてくれる、可愛い娘に育ちました。
――他にも4巻の秘蔵エピソードはありますか?
田中先生についてですかね。諸葉の担任である田中先生の正体は、1巻を書く前の構想段階から決まってて、描きたいシーンも結末までバッチリ頭の中にありました。だから1巻からただ怪しげなキャラというだけじゃなく、強キャラ感を出しておりました。ただ、正体が判明するのはどれだけ先やねんって話なので、あんまり露骨に書かなかったんです。強キャラだと気づいてくれる読者さんもいれば、読み飛ばす読者さんもいて当然ってレベルに敢えて抑えました。でもアニメ化の時に、稲垣監督がそこをちゃんと読んでくれてて、「田中のさりげない強キャラ感は大事にしましょう」って言ってくださった時はとてもうれしかったです。
5巻
2013年11月刊行
同時刊行:神託学園の超越者<トランセンダー>
諸葉無双感の最大化を目指した第5巻
――5巻はロシア編ですね。見所はいかがでしょうか?
「諸葉、一人で戦争に挑む!」の回です。無双感、蹂躙感ではワルブレシリーズで一番じゃないか……と思いましたが、一回やられてるのでそんなでもないですかね? やはり作品テーマが「前世で孤独に戦っていた男が、現世で仲間たちに恵まれる」お話なので、最後まで無双と蹂躙だけで通すのも違うな、ということでAJサンに癒されたり、ストライカーズの皆が駆けつけてくれたりという展開にしました。
――初の外国編でもありますが、何か気をつけて書かれたことなどありますか?
ロシア料理を取材しようとわざわざ上京してロシア料理店さんをいろいろ回ったんですが、とても美味しかったです!!
――……あわむら先生の作品には食事のシーンがよく出てきますよね。この巻では特に印象的で、ロシア料理が魅力的に書かれていました。
美味しかったです!!
6巻
2014年1月刊行
同時刊行:ワルブレドラマCD第1弾!
書きたかったもう一人のライヴァル
――続いて6巻の見所を教えてください。
シャルル登場巻です。エドワード同様、構想段階からずっと書きたかった男です。それから元素衆登場巻でもあります。実はヴァシリーサとその部下たちは、このフランス支部の噛ませ犬でしかなくて、このワルブレ世界においても図抜けて強いシャルルとその一党が大暴れし、それを亜鐘学園生たちが立ち向かうという、諸葉だけじゃない皆の大激戦を描いた巻であります。そして最後に降臨する魔神級メタフィジカルの圧……!
――シャルルはすごく良いキャラですよね。セリフが素敵なんです。
ありがとうございます。キャラの決め台詞がかっこよく書けると気持ちがいいんです。「ここで何か良いセリフが欲しいんだけど、しっくりくるのが思い浮かばない」ってウンウン悩むことが多いあわむらですが、シャルルの「世界最強の《闇術の使い手》は――このオレだ」は別でした。あの場面で、ああいう風に決めるのは、シリーズ構想段階から思いついてまして。もう早く書きたい書きたいってずっと悶々としてました。5巻執筆中にその悶々が溢れ返り、6巻でピークに達して、ついに書けた時は最高の執筆カタルシスでした。
――それはさぞ快感だったでしょうね!
あと、シャルルがフラヴィに作ってもらって飲んでたカクテルは「パリジャン」と言います。ざっくり言うと、マティーニにカシスリキュールを足したようなカクテルです。僕はすごく好きなんですが、バーのメニュー載ってることは稀です。バーテンダーさんってものすごくプロで、載ってなくても言えば「ああ、あれですね」って作ってくれるんですけど、やっぱどうしても完全網羅は不可能で、たまにご存じないバーテンダーさんもいて、お互い気まずくなるのがイヤで、どうしても注文できない男がこの僕です。
7巻
2014年5月刊行
同時刊行:悪逆皇帝の絶対魔装《ブラックドレス》、ぼくらのクロニクル<因果魔法大戦>
書き上げてから壁に当たった第7巻
――さて、第7巻についてですが、まずは見所をお願いします。
この巻は、炎の悪魔・熾場亮の登場巻です。……と言いつつ、ここではまだ活躍しません。
なので見どころとしては、卑怯な策略を仕掛けられた諸葉が怒りを爆発させるところや、シャルルが諸葉に対して天邪鬼な態度をとりつつも、だんだんと認め始める辺りではないでしょうか。
――なにやら思い入れが深い一冊とのことで……?
実はこの巻は、ワルブレシリーズで最もプロット(小説の設計図)をしくじった巻だったりします。難産だったという点ではシリーズ構想段階や最終巻がそうなんですが、この7巻は「行ける行ける」って楽観して書いてみたら、ゴミのような初稿が錬成されて、まいぞーさんと頭を抱えたっていう唯一の巻です。
――電話口でおたがい沈黙しましたよね、長時間。なかなかお力になれずはがゆい思いをしたことを覚えています。端的に言うと「諸葉がいないワルブレがどうすれば面白くなるのか?」みたいな難問でしたね。
もうストレス&ストレス&ストレス展開みたいになってて、初稿では商業レベルの読み物に達しておりませんでした。無論のことストーリー作りにおいて、ストレス展開はカタルシスの味わいをより高めるスパイスです。でもイコール、カタルシスのためという言い訳をし、ストレスフルな物語がなんでも許されるわけではありません。ストーリーの大筋自体は変えたくなかったので、もっと読みやすくなる工夫をしよう、そのためにもっとシーンにメリハリをつけようと、まいぞーさんとシリーズでも一番打ち合わせを重ねました。その苦労の結果は読者さんのご感想にゆだねますが、あわむら自身は最終的にはしっかり面白い巻になったと自惚れております……!
悩みを越えて生まれたキーパーソン
――結局、そうしたお悩みはどのように乗り越えたのでしょうか?
ストーリーの大筋を変えないまま、新しいキャラを出すことにしたんです。具体的には、ネリーこと白井宇佐子が初登場します。ありがたいことにご好評を得たキャラなのですが、実は初稿では影も形もありませんでした。メリハリをつける、もっと面白くする、という工夫を試行錯誤している過程で、その手段の一つとして思いついたキャラだったりします。シリーズ全体でもキーパーソンとなっていくキャラでもありますので、この「咄嗟に思いついた」という裏話をすると、皆さんけっこう驚かれます。いやあ、お話はどう転ぶかわからない、プロットも失敗してみるもんですね!
――………………………?
嘘ですしっかり練ってがんばります!
――諸葉と初対決が実現した、ヂーシンについては?
僕はゲッスいキャラを書くのも読むのも大好きです。で、この7巻には僕が勝手に「ワルブレ三大ゲスキャラ」と認定しているうちの二人、ヂーシンと高梨恭子が登場します。二人ともこの先、延々と諸葉たちを煩わせるキャラです。しかし白状しますと、高梨の方は狂言回し以上のキャラに育たなかったなあと反省頻りです。一方、ヂーシンの方はとにかく愛情がわいて仕方がなくて、最後の最後まで大切に描ききりました。ゲスキャラ界の作者に贔屓された男、それがヂーシンです。……ですが、「ヂーシン最高」「ずっと世に憚って欲しい」と好きな人には超好きになってもらえる、わかってもらえる一方、「さすがにしつこい」という感想も知人たちからいただき、賛否両論分かれております。皆さんはどうでしょうか……?
さて、担当のわたしもびっくりするようなお話もたくさん飛び出した全巻セルフレビューも少々長くなってまいりました。このあたりで一度休憩をはさみまして、8巻から続きの巻は次の記事でお送りしたいと思います。